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中国「eスポーツ」の独走に日本は追いつけるか?2022年アジア競技大会の公式種目入りで市場急拡大、北京大学が選手育成に本腰

日本でも耳にする機会が増えた「eスポーツ」。中国では北京・上海などを中心に本格的なスポーツとして広がりを見せています。日本は追いつけるのか?中国eスポーツの最新事情と今後の展開について解説します。(『中国ビジネス自由研究所~中国株・中国ネタで儲ける~』)

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プロフィール:中国ビジネス自由研究所
世界第2位の経済大国である中国は、地理的にも近く、少子高齢化社会の日本が無視できない巨大マーケット、ビジネス・投資で儲けるうえで有望なマーケットです。皆さんのビジネスや資産にプラスの影響を与えられるメルマガを発行。著者は過去、大手投資会社にて、中国人投資家向けの投資アドバイザーとして従事。中国へ2度留学(①中国語語留学、②経営学修士MBA留学)、中国政府公認 中国語HSK6級・HSKK(口述試験)高級合格

中国のオタク文化「eスポーツ」が世界を席巻する

今回は比較的新しいビジネスである、中国「eスポーツ」を特集します。

皆さんは「eスポーツ」という言葉を聞かれたことはありますでしょうか?「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称のことを言います。オリラジ中田敦彦さんのYouTube大学でも特集されていました。

コロナ禍による外出自粛、巣ごもり需要、運動不足、娯楽不足といった需要から、このeスポーツは一気に知名度が上がったように感じています。オリンピックや大学・高校、福祉目的の「eスポーツ」の採用も議論されています。中国も日本に負けず劣らずのオタク文化が形成されており、eスポーツも盛んになりました。

拡大を続ける中国「eスポーツ」市場

中国のeスポーツ市場は、以下のように拡大すると予想されています。

2020年:1450億元(約2.5兆円)超
2021年:1800億元(約3.1兆円)超
2022年:2150億元(約3.7兆円)超

成長の主な要因は2つ。ひとつは、モバイルeスポーツ市場。もうひとつは、eスポーツエコロジー市場です。

中国のeスポーツ市場は、主にモバイルeスポーツと、eスポーツエコロジー市場の急速な拡大により、2020年も高成長を維持。

コロナパンデミックの影響を受け、オンラインエンターテインメント時間が大幅に増加したことが要因となり、モバイルeスポーツゲーム市場の成長率36.8%、eスポーツエコロジー市場の成長率は45.2%、となっています。

最近のトピックとしては、eスポーツは、杭州アジア競技大会の正式種目となり、国際オリンピック委員会が初めて、オリンピック・バーチャル・シリーズを開催。これをきっかけに各地で大会が開催されています。

また最近では、eスポーツへの投資も増え、eスポーツイベント運営会社、eスポーツコンテンツ会社、eスポーツクラブなどが主なターゲットとなり、有力なプラットフォームはM&Aによって規模を拡大しています。

また、最近では、eスポーツ業界に参入する人材も増加。Eゲームのライブストリーミングや、eスポーツのトレーニングパートナーが誕生し、雇用を創出し始めています。

eスポーツに従事する人が増え、ますますeスポーツが一般的になっています。

Next: 急拡大期に入った中国のeスポーツ。投資も大盛り上がり



急拡大期に入った中国eスポーツの沿革

eスポーツの簡単な沿革を記載します。大きく4つの期間に分けられます。

<(1)1998年~2008年:開拓期>

・eスポーツゲームの第一弾が中国に登場
・イベントが各地で開催され始める
・中国でeスポーツクラブが誕生

<(2)2009年~2013年:発展期>

・中国eスポーツ協会設立
・ゲーム会社がeスポーツイベント多数開催

<(3)2014年~2017年:成長期>

・ライブストリーミングeスポーツ開始
・eスポーツ大会や、専門企業が多数設立

<(4)2018年以降:急拡大期>

・杭州アジア競技大会の公式協議へ
・eスポーツモバイルゲームが続々誕生
・eスポーツ産業の整備が進展
(例、eスポーツの職業基準が設定)
・eスポーツのプロ選手、トレーナー誕生
・eスポーツの商業化加速

どうやって発展してきた?

では、どうやって中国のeスポーツは発展してきたのでしょうか。これも4つ動きで説明ができます。

<(1)政策のサポート>

多くの地域で有利な政策が発表されました。上記の2022年杭州アジア大会の公式競技として承認される等が典型的な例です。

<(2)eスポーツのプロ規範・基準の設定>

「全国職業能力開発促進法に基づくeスポーツ選手のための国家職業技能基準」が公開されました。これにより、eスポーツを職業として収入を得る人の基準が定められた形です。また、中国国家eスポーツサッカーチームが設立されました。

<(3)eスポーツイベントの多様化・大衆化>

現在、中国各地で様々なeスポーツイベントが開催されています。また多くのゲーム会社がこぞってeスポーツ専用ゲームの開発に取り組んでおり、eスポーツの知名度・競技人口は増加しています。

<(4)eスポーツ派生コンテンツ隆盛>

映画、テレビ、漫画、アニメ、音楽等、eスポーツの関連コンテンツが、知的財産権ビジネスを加速させています。

盛り上がるeスポーツ関連投資

eスポーツ関連の投資は2011年から上昇。ライブストリーミング事業への投資が増加した2017年、2018年にピークを迎えました。

その後はやや減少基調だったものの、コロナ禍で外出なしでの健康管理や、人とのつながり(コミュニティ管理)の観点で、様々なEコマースイベントが開催され、世界的な注目を集めました。

eスポーツコンテンツは、引き続き、ホットな投資対象となっています。

<(1)2017年>

・投資件数:86件
・投資額50億元(約862億円)
・投資された代用例:DouYu, PandaTV等

<(2)2018年>

・投資件数:42件
・投資額100億元(約1788億円)
・投資された代表例:Huya、BIXIN等

<(3)2019年>

・投資件数:19件
・投資額9億元(約150億円)
・投資された代表例:Victory Five、WUCG等

<(4)2020年>

・投資件数:21件
・投資額23億元(約396億円)
・投資された代表例:All Games、MAX esports等

Next: 中国政府も全力支援、今後はどう発展する?日本は追いつけるか



今後の中国eスポーツ展開

FIFAがeスポーツ大会を企画することを見据え、中国サッカー協会が代表チームの募集を開始。今後、国や地方自治体によるeスポーツ導入が益々発展していくことが予測されます。

また、eスポーツの今後の成長には、技術の発展も欠かせません。具体的にはゲーム機やVR等の発展により、eスポーツがよりリアルのスポーツに近づき、競技としてより一層発展していくこと、eスポーツを前提としたゲーム機やVR関連事業がより一層拡大することが予測されます。

とはいえ、中国eスポーツ業界は急速に発展を遂げていますが、その需要を満たすだけの人材がいません。その現状を踏まえ、現在は少しずつeスポーツ人材育成のプログラムがスタートしています。

その代表的なものが、大学教育。北京大学ではeスポーツの授業が新設、eスポーツ大手Huyaがeスポーツ研究所設立、eスポーツ大手BIXINが採用・育成計画発表などです。

世界のメジャーブランドが「eスポーツ」とタッグ

現在、様々な産業の企業がeスポーツを用いた自社ブランドマーケティングに興味を示しています。代表的な企業を列挙します。

<自動車>

・ベンツ、BMW、KIAほか

<銀行>

・CITIC、平安グループほか

<スマホ>

・OPPO、エクスペリアほか

<Eコマース>

・JD、Suningほか

<外食>

・マクドナルドほか

<日用品・化粧品>

・ロレアルほか

<飲料>

・コカ・コーラ、ビールほか

今後、日本の企業もeスポーツを用いた自社のブランディング、マーケティングを模索していく傾向が強くなると考えています。

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中国eスポーツ都市別の特徴

中国eスポーツ今後の動向

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