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買えるマイホーム価格の計算式は?退職金・ボーナス頼みは10年後に泣きを見る=牧野寿和

マイホームを住宅ローンを使って購入する場合、いくらまで出せるのでしょうか?シンプルな計算式と、返済額・期間を決める際の重要なポイントを解説します。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

住宅ローンを組む前に準備しておく3つのこと

住宅ローンを組む前に準備しておくこととして、以下の3つのことがあります。

1. 最長返済期間を決めておく
2. 毎月の返済額を決める
3. 資産価値のある住宅を購入する

今回は住宅ローンを組んでマイホームを買うとして、実際にいくらまでの価格の住宅が購入できるのか、マイホーム購入価格の算出方法をお伝えいたします。

意外に簡単!住宅購入価格の基本算出式

住宅ローンを組んだ場合の住宅購入価格を算出する式は、いたってシンプルです。

<住宅購入価格の基本算出式>
住宅購入価格 = 毎月の返済可能額 × 12カ月 × 返済年数

この式が基本になります。つまり、毎月の返済額と返済年数は、対をなしているのです。

住宅ローンの毎月の返済額を決めることは、返済期間中に無理のない範囲内で、毎月家計から支出できる金額を決めることです。

従って、この基本式は、家計収支、家族構成といった家庭の事情で、決めていくものです。

それでは、まず「返済期間」についてお話いたします。

返済期間はどう決める?退職金はあてにしないこと

住宅ローンの契約するときには、返済中の生活費はもちろんのこと、完済後の生活維持のことも重視しなくてはいけません。

住宅ローンの返済期間は、契約者の年齢にもよりますが、通常は35年以内です。

返済期間が長くなれば、その分、借入金の残高に対する利息の支払いが多くなります。ただし、返済開始から10年〜13年間は、所得税が軽減される「住宅ローン控除」制度の活用も念頭に、返済期間を決めても良いでしょう。

また、何歳まで現在の収入が維持できるか、つまり、何歳まで現役で働き、何歳から年金生活に入るか、ご自身の人生プランに従って、返済期間は変わります。

このように考えると返済の期間は、返済開始後15年くらいから、現在の収入が確保できるまでになります。

この返済期間を決めるのに、注意いただきたい方は次のような方です。

例えば、現在の勤務先では55歳で昇給ストップ、60歳に定年その年に退職金がもらえる。その後、現行では65歳まで再雇用、ただし給与は60歳定年時の半額になるといったケースです。

このような方は、住宅ローンの返済のための資金が確保できていれば別ですが、通常、返済期間は55歳までにします。なぜなら、その後は家計から、住宅ローンを返済できるお金は、ないからです。

退職金は、老後の生活用の資金です。ここを間違えると、70・80歳代になってから、家計が取り返しのつかないことになりかねません。

ここは、住宅ローンの返済期間を決める大切なポイントになります。

Next: 毎月の返済額にボーナスを含めるのは絶対NG



毎月の返済額の決め方は?ボーナスは絶対に含めないこと

次に、毎月の返済額の決め方です。

毎月の返済額は、次の(1)(2)の手順で算出していきます。

1. (自分で決めた)返済期間中、無理なく返済できる金額を算出する
2. 毎月のローン返済「以外」の住宅費も算出する

住宅を購入したら、返済完済後も住宅所有中には、毎年、固定資産税などの納税が必要です。また、戸建て住宅であれば、所有中の修繕費などの住宅費の確保。マンションであれば、所有中の修繕積立金などの毎月の支払い。このような住宅にかかる費用が、家計からいくらなら支出が可能なのか、その額を計算します。

(1)(2)の手順で算出した額が、毎月の返済額になります。

ここも重要ですが、住宅ローンの支払いに、ボーナス払いの契約はしないこと。なぜなら、ボーナスは、その年の勤務先の業績などにより、毎年定額もらえるものではなく、もらえない年も考えられるからです。

計算式に当てはめれば買える住宅価格がわかる

ここまでで計算した数値を、「毎月の返済額 × 12カ月 × 返済年数」の式で計算すれば、住宅購入価格の基本を決めることができます。

無理してでも欲しい物件があったら?

ところで、理想の物件が見つかったが、物件価格が高い…という場合はどうするべきでしょうか。

どうしても購入したいならば、まず、販売業者に値引きの交渉をすることです。また、住宅ローンの査定後に、返済金の金利を下げることができないかを交渉してみることです。

この交渉には費用はかかりませんし、販売価格や返済金利が少しでも下がれば、儲けものです。

また、住宅ローンの毎月の返済額以外の家計からの支出を減らすことが現実的でしょう。今までの家計の支出を見直し、思い切って家計支出を減らすことです。

Next: まずは生活の見直しを。背伸びしてマイホームを買った夫婦の実例



背伸びしてマイホームを買った夫婦の実例

ここからは、まさに今回の内容を実践されていたご夫婦の実例を紹介します。以前、どうしても欲しい物件を見つけ、予算オーバーながら購入した方のご自宅に訪問したときの話です。

希望のマイホームを購入したご家庭のリビングには、椅子テーブルと床にテレビだけで、部屋を持て余しているようなご家庭でした。

実は、ほかの件での相談を受けるために伺ったのですが、この家の購入に際して、ご主人は次のように言っていました。

「マイホームを持つことは夫婦の夢でした。しかし、住宅を購入しても、万が一、家計が回らなくなったときのことを考えると、持ち家はお重荷になり手放さなくてはならないと考えていました。そのためには資産価値がある家が必要で、この家が気に入り欲しくなった。もともと狭い部屋に住んでいたので、家具は少ないようにみえるけど、不自由はしていないです」

その方の奥さまは、以前は、新聞の折り込みチラシで1円でも安いスーパーを見つけて買い物していたとのこと。しかし、それは節約には程遠い努力だったとわかったそうです。そこで夫婦で根本的に、家計の支出を見直しを行いました。そのおかげで家が買えて、快適に生活できている。の生活を老後の生活でも続けていきますとおっしゃっていました。

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image by:metamorworks / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2021年6月23日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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