東京五輪が終わったあとで気になるのは、国内経済にお決まりの「五輪後の不景気」がやってくるのかどうかです。経済効果の試算は多くて2兆円、費用に4兆円以上かかったとされています。「儲からなかったから、落ち込みもない」という楽観論も聞かれますが、果たしてそうでしょうか?(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
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五輪のあとには「不景気」がやってくる
東京五輪のオリンピック部分がようやく終了しました。
無事に開催できたと言えるのか、コロナ新規感染の爆発に寄与したのかは、はっきりとはわかりません。
ひとつ気になるのは、このあと、国内経済にお決まりの「五輪後の不景気」がやってくるのかどうかということです。
これまでの開催国では、必ずと言っていいほど、開催後にはかなりの景気後退を余儀なくされたもの。
本邦も64年の五輪の翌年には不景気に見舞われ、金融業界では深刻な証券不況に見舞われたものです。
経済効果は“ほぼゼロ”に等しい
今回の東京五輪の経済効果については、複数の金融系のシンクタンクがその額を算定しはじめています。
少ないところでは1.6兆円、多くても2兆円程度とされています。
五輪費用が最終的に4兆円以上の支出となれば、この経済効果の部分は収支のプラス部分だけ取り出したものにすぎません。
つまりは、何ら儲かっていないことを示唆することになっている点が気になります。
こうなると五輪後に景気後退を心配するかどうかは、かなり微妙な状況になっているといえます。
Next: 「儲からなかったから、落ち込みもない」という楽観論
「儲からなかったから、落ち込みもない」という楽観論
金融市場では、五輪によるご祝儀相場は一切見られず、大した経済効果もありませんでした。
そのため、ここから景気が落ち込むことを「心配する必要なし」といった楽観論が出ています。
しかし、この1年半以上、中小企業をはじめとして飲食業などはできる限りの借入をしており、もはや経営は限界に達しているという見方もあります。
五輪開催のために抑制した企業活動の結果が、「負の経済効果」として噴出する可能性を指摘する声も高まりつつあります。
不況は3か月遅れでやってくる?
一般的には、不況は3か月遅れてやってくるとされています。
ですから、日本の経済がもっとも様子がおかしくなるのは、11月あたりになることが予想されます。
こうなると、内閣府が第3四半期に飛躍的な経済回復を遂げて、コロナ前の景気に戻すと予測した内容は、そっくりそのまま嘘になる可能性も高くなってきます。
五輪後は「景気後退の影響なし」とする楽観論も、すべて否定される可能性が残されていることがわかります。
景気後退はないのか、はたまた深刻な景気の落ち込みを示現するのか。
それは、ここからの経済状況を粒さに観察していればわかること。景気の先行きを取り込んで数字で示すのが株式市場ですから、本当に景気悪化が現実のものとなる場合には、株式指標が先んじて下落する危険性がありそうです。
為替がその巻き添えを食らうリスクも、常に意識しておくことが重要になりそうです。
ドル円は秋口、とくに感謝祭以降は確実に上昇する傾向がありますが、今年は真夏にドル高が出るなど、必ずしも例年のサイクルにはマッチしない動きを見せています。そのため、完全に別の動きになることも覚悟しておかなくてはなりません。
Next: 楽観論と悲観論が混在する状況はかなり危険。株価急変に備えを
楽観論と悲観論が混在する状況はかなり危険
そもそも国内景気とは別に、米国株にそれなりの調整や大幅下落が示現した場合、日経平均はひとたまりもありません。
やはり相場の下落については、常に意識しながらトレードをすることを余儀なくされそうです。
市場参加者全員がリスクを感じている場合は、往々にして相場の下落は起きないものですが、楽観論と悲観論が混在する状況はかなり危険です。
いいことが起きるよりも、悪いことが起きることを想定しておく心がけが重要な時間帯です。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年8月12日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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