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ロックダウンできぬ理由は法律ではなく給付金の出し渋り?財務省が猛反発か=今市太郎

コロナ感染爆発とも言える現在の状況で、封じ込めに有効なはずの「都市封鎖(ロックダウン)」の議論がまったく政治家から出てこないのはなぜでしょうか?その裏には、財務省の給付金出し渋りがあるとの噂が聞かれます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年8月12日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

なぜロックダウン実施を検討しない?

国内の新型コロナ感染者数の増加と、医療にアクセスできず自宅で療養という名の放置に苦しむ人達の数が、爆発的な状況になってきています。

まったく罹患せず、しかも外にも出ないでエアコンの効いた部屋でFX取引に興じていれば、そんなリスクは微塵も感じないもの。しかし、実はリアルな世界は、とてつもない修羅場に直面しています。

政府は自治体の要請に応じて緊急事態宣言の地域をどんどん増やしていますが、もはやなんの危険喚起効果もなく、人流を抑えることもままならずに、闇雲に感染者を増やす状況になっています。

ニュージーランドなどの例を見ますと、1か月程度の短期のロックダウンを感染者発生から完全に履行しますと、やはりワクチン接種に頼らない感染抑止が実現していることがわかります。

日本もどこかで、これを実施する必要に迫られていると理解できます。

しかし、菅政権は法的問題を理由にして、一切、これに手を付ける気配をみせていません。すべては国民の自助努力で、人流を抑えることだけを連呼しています。

ただ、このロックダウンの問題の背後には、これ以上一切、コロナの給付金を出したくない財務省の存在があるからだ……という指摘も、日に日に強まり始めています。

いったいどういうことなのでしょうか。

余剰予算30兆円で1人20万の給付金支給が可能。しかし財務省が猛反発?

菅政権は、新型コロナの対策予算のうち30兆円を余らせたまま、何に使うでもなく放置しています。

2020年に安倍政権で配布した10万円の給付金は、12.8兆円ほどかかっています。ですから、単純に計算しても、30兆円あれば、国民ひとりに20万円程度支給することは十分に可能です。

現時点でも即日実行できるはずなのに、国民に現金支給をすることを、財務省が強烈に拒絶しているという情報が伝わってきています。

たしかに麻生大臣は、前回もしきりに10万円給付の効果が感じられないと財務省のスタンスを代弁していましたが、今回はさらに強烈に、この現金給付に反対しているようです。

本来ならカネを配れば、かなりの支持率回復がはかられるはずの菅首相も、まったく抗することができないまま、現金給付は政権の誰の口からも出てこない話になってしまっているようです。

Next: 都市封鎖には補償が必要。現金給付を「効果がない」と言い張る財務省



現金給付を「効果がない」と言い張る財務省

米国の現金給付による効果を見ますと、消費の回復にも間違いなく寄与しています。

日本の足もとのクリティカルな状況下では、確実に現金給付が効力を発揮するのは間違いありません。

ロックダウンを無理やり実施するためには、やはりセットで国民に現金を給付することが必須の条件なわけですが、強権の菅首相をもってしても、財務省によるブロックの姿勢を崩せていません。

このことが結局、ロックダウンを実現できない最大の問題になってきているようです。

物理的なロックダウンは公共交通機関・高速道を制限すれば実現可能

ロックダウンについては人権の制限に繋がることから、確かに法整備ができないと簡単に実施できないといった話は、常につきまとっています。

しかし、東京五輪の期間中、首都高の料金が法外に値上げされたり、夜中にJRの列車が走るという企画も出ていたわけです。

国土交通省が、その管轄下にある鉄道会社に協力要請をすれば、県境を跨ぐ路線を一定期間停止するとともに、高速道路もロジスティックスを担う運送業以外は通行禁止にするといった強引な策に出ることもできます。

その際の損失を給付金で補えば、物理的にロックダウンを実現するのは可能な状況です。

ただ強引にこうしたことをしでかせば、国民の生活は成り立たなくなりますから、そこで威力を発揮するのが「現金給付」ということになるわけです。

つまり、現金支給さえ実現できれば、一定のロックダウン実施はできるはずです。

ワクチン以外のコロナ対策を打ち出すべき

「MMT理論」のような発想で闇雲に現金を給付するというのは、たしかに様々な問題が発生するリスクを伴うでしょう。

しかし、足もとの断末魔の状況では、現金給付を実現することが最大の国民救済になることは間違いありません。

菅政権は、すでにワクチン接種だけをコロナ対策の一本柱としていますが、デルタ株のまん延では、必ずしもワクチンが効力発揮するわけではないことも鮮明になってきています。むしろ、接種による副反応のリスクのほうが、日に日に高まる状況です。

残された効率的対策は、いよいよロックダウンに絞られてきている点が気になるところです。

Next: このまま何もしなければ人命も経済も共倒れ



このまま何もしなければ人命も経済も共倒れ

このメルマガでは金融市場を通して、社会と経済を見ています。

デルタ株まん延の災禍にあって、いまのまま何ひとつ新しい対策を行わないのであれば、日本経済は未曾有の破滅的な展開になることは間違いありません。

コロナ感染者も死にそうになるまで医療を受ける機会を失わせるといった滅茶苦茶なやり方を貫徹している限り、多くの人命が失われ続けます。しかも、経済はロックダウンをするよりも壊滅的な状況に陥っています。

証券業界では「年末にはまた日経平均が3万2,000円超に回復」などとおめでたいことを口走る向きも目立ちます。しかし、このままでは回復どころか、破滅にひた走っているようにしか見えないのが現実です。

国破れて海外資産も多い財務省だけが生き残っても、なんの意味もありません。どうしてこういうことになってしまうのか?非常に不可解なものを感じるところです。

安倍政権以降、すっかり役人はすべからく忖度して、何でも為政者のいうことを聞くかのような社会になってしまった感があります。財務省のこうした抵抗を見るにつけ、核心的な部分は、依然として役人に抑えられていることが見えてきます。

菅首相は総裁選前の解散見送りで、コロナ対策に専念すると発表していますが、もはや何もしないでやっているふりをするのは、国民的には大変な迷惑です。支持率的には、この政権はもはや風前の灯です。最後くらいは国民の役に立つ存在として、有終の美を飾ってほしいものです。

法律改正をしない物理的ロックダウンを実施し、止まった経済下で応分の現金給付金を即日国民に配布することこそ、残された首相の最大の決断ではないでしょうか。

もっとも現金支給で急に支持率が盛り返して、政権続投というのもひどく迷惑な話ではありますが…。

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今市太郎の戦略的FX投資』(2021年8月25日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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