コロナ禍で消費者も店員も疲弊しているためか、「悪質クレーマー」の報道が目に付きます。お店側のスタッフは、お客さまから難癖をつけられたとき、どうすればスマートに解決できるのでしょうか?ビジネス心理研究家の神岡真司氏が、「社長を出せ!」「土下座しろ」などの具体的な事例を挙げながら悪質クレーマーの撃退法を伝授します。(『神岡真司の人生逆転の心理術』)
※本記事は有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年10月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。
ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベーショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミナーなどで活躍。著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニック』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒になる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。
「悪質クレーマー」が続出
今回のテーマは、「悪質クレーマーの撃退法」です。これまで当メルマガでは、学校や職場での意地悪な人間やタチの悪い人物からの「何らかの攻撃(嫌味や嘲笑・悪口・罵倒など)」を受けた時の対処法について解説してきました。
今回は、お客の立場を悪用して、理不尽な要求を突き付けてくる悪質クレーマーへの対処法について解説していきます。
悪質クレーマーのように、相手がこちら側に対して威嚇的な態度だと、大抵の人は怖くて委縮したり、あるいは反発心から警戒的な強張った態度で相手に臨んだりしがちです。
しかし、これらはもちろん誤った対処法になります。
前回までで何度かお伝えしてきたように、「パッシブな対応(消極的・従属的)」もよくなければ、「アグレッシブな対応(積極的・攻撃的)」もよくないからです。
クレーム対応においても、あくまでも、第三の対処法である「アサーティブな対応(中立的・客観的・冷静沈着)」が望ましいのは言うまでもありません。
悪質クレーマーというのは、「お客側」という自分の立場を悪用して、サービス側にあれこれと難癖をつけ、自分の理不尽な要求を通そうとします。対処の仕方を間違えると、たちまち「態度が悪い」「何だ、ここの応対は!」「責任者を呼べ!」などと、本来のクレームを超えて、2次クレームさえ引き起こしかねないものなのです。
「アサーティブな対応(中立的・客観的・冷静沈着)」が望ましい
通常のクレーム(苦情)ならば、サービス側にとっても、オペレーションを向上させる、改善点などの有益な指摘が含まれているケースも少なくありませんが、悪質クレームになってしまうと、もはやイチャモンの類にすぎませんから、余計に注意が必要なのです。
低姿勢で謝罪を続けても解決しませんし、警戒して強張った対応をしても、悪質クレーマーは、容易に引き下がらないからです。
あくまでも、冷静なアサーティブ対応をすることを忘れてはいけません。
ただし、悪質クレームと判断した場合には、必要以上に「お客さま対応」に気を遣う必要もなくなります。毅然としたアサーティブ対応のほうこそが重要になるからです。
もっとも、次のようなふつうの「お客さま」を悪質クレーマーに仕立てかねない「5大フレーズ」には、通常クレームであっても、初期段階でのお客さま対応には十分な注意が必要です。
Next: お客さんを悪質クレーマーに豹変させる5大NGワードとは?
お客さまを悪質クレーマーに豹変させる「5大フレーズ」
「クレーム(苦情)」を持ち込むお客さまが怒り出しかねないのは、次のようなフレーズになります。
・疑いフレーズ……「お客さん、それってホントですか?」
・対等フレーズ……「それってマジすか?」「うっそー!」
・他人事フレーズ……「それ、使い方が悪いのじゃ……」
・開き直りフレーズ……「レベルはこの程度のものですよ」
・責任回避フレーズ……「なにぶん新人の説明ですから」
サービス側が、不用意にも、こんなセリフでの対応をしてしまったら、お客さまはすぐさま怒りを覚えるでしょう。
お客の側にしてみれば、クレームをわざわざサービス側に伝えるだけでもストレスなのですから、お客の主張を疑ったり、タメ口での対応や、不親切な言い方をすれば、「何だ、その態度は!」などと怒らせてしまいかねないわけです。
その辺は十分に注意が必要なのです。
海外とは異なる日本のクレーム対応
まずは、お客さまの主張を真摯に傾聴する姿勢が大事なことと言えるのです。
お客さまの苦情に対しては、最初からクッション的な意味合いで、「いつもご利用いただきありがとうございます」と“感謝”を口にしてアプローチし、次にクレームに対して、「これは大変申し訳ございませんでした」などと“謝罪”の言葉をかけることから始めなければなりません。
一般に外国のクレーム対応では、因果関係が判明し、「サービス側に非がある場合にしか謝罪はしない」――というケースが多くなっています。
一方、日本ではまず、お客さまの言い分を尊重することが求められるため、はじめにお客さまの主張を尊重して謝罪を述べること――それが一般的な消費者対応として習慣化されています。
ここを間違えると、最初からトラブルの元になりますから、くれぐれも用心してください。
続いてお客さまの話に耳を傾けながら、「大丈夫でしたでしょうか?」などと“気遣い”し、「おっしゃる通りと思います」「ごもっともなお話です」と“共感”し、「お客さま、どのようにいたしましょうか?」と“受容”を示し、「今後は二度とこのようなことがないように」と“自省の意”を表し、最後に「この度は、本当にご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした」と“謝罪”で結ばなければならないのです。
これが、通常のクレーム対応です。
通常クレームであれば、謝罪の上、相互信頼の話し合いで、「サービス不備のお詫び」「商品の修理対応」「商品の交換対応」「返品・返金対応」「弁償対応」などといった形で収まるものです。
「悪質クレーム」は撃退するしかない
しかし、悪質クレームになると、サービス側のこうした対応では馴染まないことが発生していきます。たとえば、次のような例です。
・謝罪しても「それでは納得いかない。納得いく対応をしてくれ」と執拗に粘り続ける
・大声で怒鳴り、非難を続ける
・「ああ言えばこう言う」式に話を展開し、絡み続ける
・暗に金品を要求する
・「土下座して謝れ!」「社長を出せ!」「詫び状を書け」などと要求する
・毎日サービス現場に登場し、皮肉や嫌味をスタッフに言い続ける
・ホームページに謝罪文の掲載を要求する
・「納得いくまで帰らない」とその場に居座り続ける
こうした常軌を逸した要求を行う悪質クレーマーには、対応に不慣れなスタッフほど、どうしてよいかわからず、疲れ果てて、要求に屈してしまうことさえ起きかねないでしょう。
では、アサーティブな対応としての「悪質クレーマ─の撃退法」はどんな形で行えばよいのか、事例を中心にいろいろと見ていきましょう。
Next: 「どうしてくれるんだよ! おいコラ!」には質問返しが有効
「どうしてくれるんだよ! おいコラ!」……対処法は?
カメラが壊れて、新婚旅行の写真が台無しになったぞ――などと、暗に旅費を弁償しろといった理不尽な要求をしてくる悪質クレーマーには、逆に質問してやりましょう。
「お客さまは、どうしてほしいのでしょうか?」と応じます。
法外な要求は、脅迫や恐喝になりかねないので、悪質クレーマーは、自分からは言い出しにくいものです。
ゆえに、こちらから逆に質問をし、相手に無茶な要求を言わせ、「お客さま、それは社会常識に照らしましても、とてもお客さまのご要望にはお応えできかねます」ときっぱり断る状況へと導きます。
「最初に非を認めたから謝ったんじゃないのか?」
化粧品を使って、肌にブツブツができた――などと苦情を伝える電話をしてきた悪質クレーマーには、最初に「それは大変申し訳ございませんでした」などと応じているケースが多いものです。最初のお詫びを逆手にとって、責任追及する悪質クレーマーには、次のように応じましょう。
「お客さまのご意見を尊重し、道義的責任から最初にお詫びを申し上げた次第で、弊社製品に非があることを認めて申し上げたものではございません」と応じます。
このように、サラリとお客さまの言い分を尊重し、お見舞いの気持ち代わりに謝罪していることを伝えるべきです。
「誠意を見せろよ!誠意を!わかるだろ?」
暗に金品を要求するケースで多いのが、このセリフです。
脅迫や恐喝にならないように、サービス側に「誠意」として何らかの補償を言わせようと迫る言葉です。これも逆に質問することです。
「お客さまのおっしゃる誠意とは、どのようなものでしょうか?」。こう切り返すことで、相手の理不尽な要求を炙り出せます。
そして、「私どもにとりましては、〇〇が最善の誠意と心得ております」と応じ、シャットアウトすることです。
「表沙汰になったら困るだろ?どうするんだよ!」
暗にネットに書き込みするぞ――といった脅し文句ですが、こんなセリフにひるんではいけません。開き直ると同時に、釘をさすことが大事です。
「お客さまのいかなるご対応も自由です。ただし、私どもに実害が生じた場合は、しかるべく対応させていただきますことを申し添えておきます」。
こちらからも、釘をさして、牽制しておくことを忘れてはいけません。
Next: 「お前じゃ話にならん!社長を出せ、社長を!」どう対処する?
「あいつをクビにするか、俺の前で土下座させろよ!」
サービス側のスタッフにミスや落ち度があった場合、こちら側もスタッフになり代わって謝罪するのは、言うまでもありません。
しかし、スタッフへの嫌がらせで、こういう要求をする悪質クレーマーもいるものです。 こんな時には、きっぱりと次のように遮断するべきです。
「お客さま、従業員の服務規程などは、社内規定で律しております。なお、土下座は人道的見地からも応じさせることはできかねますし、土下座の無理強いは強要罪にも該当してしまいます。私がこうして本人に代わってお詫びしております」。
あくまでアサーティブにあっさり断りましょう。
「お前じゃ話にならん!社長を出せ、社長を!」
これも、悪質クレーマーのよく吐くセリフです。「お前の上司に代われ!」というのもよくあります。
「今回の件は、私が会社を代表しまして、責任をもって対応させていただいております。ゆえに私以外の者が、対応に応じることは許されません。悪しからず、ご承知おきくださいませ」。
悪質クレーマーは、こちらの一従業員という立場の足元を見て、何でも大袈裟にして要求を通そうとしますが、たじろいではいけないのです。
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・「お前と俺との個人の問題なんだよ、お前の携帯番号教えろ」
・「訴えるぞ!裁判で白黒つけたらどうなると思ってんだ!」
・「お前、ぶっころされてーのか?」
・「これは法令違反だろ!不法営業じゃないか!」
・「誰に断って、ここに店出してんだよ!」
・「これが客に対する態度かよ!」
・「納得いく回答が出るまで、俺はここから一歩も動かないからな!」
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- 悪質クレーマーの撃退法(10/4)
※本記事は、神岡真司氏のルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年10月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。
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『神岡真司の人生逆転の心理術』(2021年10月4日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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