衆議院選挙は自民党が安定的過半数を取りました。そして株価が上昇したのは、意味不明です。岸田政権が何をするのか、公約などをみていると何も決まっていない状態です。何を行うのかがわからないのに、なぜ株を買うのか。私にはよく理解できません。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)
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プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
「分配」されたお金はどこかで返済を迫られる
個人的な感想としては、「分配」を政策の目玉に掲げる岸田政権にはあまり期待をしていない、というのが本音です。
普通の人は、真面目に働いて、いくばくかの賃金を得て、人並みの暮らしをしたい……というのが希望だと私は思います。
自分が働いて、投資をして得た資金であれば、自由に使うことができるものですが、古い言い方ですが、お上からお金を恵んでもらうような形でのお金というのは、なんだかすっきりしない。そう思うのは私だけなのかな、と思います。
人並みの暮らしをするためのお金というのは、ひも付きのお金、つまり「政府に感謝をしなければいけない」ようなお金ではなく、自分で働いた結果、堂々と受け取ることのできるお金で、私は胸を張りたいとは思います。
いわば、古い考え方なのかもしれませんが、ひも付きのお金というのは、どうせどこかで返済しなければいけないお金と考えると、なんだかなぁ~という気分になるのです。
去年、現金給付の10万円をもらって、複雑な感情になったものです。
要は、「どこかでこの借金を返済しなければいけないんでしょ?」と思うと、複雑な気分になるのです。
与党勝利で株が買われる謎
こういう個人的な感情はさておき、岸田政権は「分配」を重んじると公約としています。
その結果、選挙から一夜明けた11月1日(月)の日経平均株価は前週末比754円高と大幅に続伸しました。
正直な話、公約などをみていると何も決まっていない状態で「なぜ株を買うのか?」ということです。
何を行うのかがわからないのに、なぜ、株を買うのか。私にはよく理解できません。
たとえば、分配は行うのでしょうが、それは財政緩和ということになるでしょう。日銀を巻き込んでの金融緩和には、おそらくならないでしょう。
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回収見込みのない投資を行う岸田政権
この財政緩和の中身は、去年の10万円と同じで、その場限りの経済効果しかないものがほとんどだと思います。
たとえば、投資家が1,000万円を投資するのであれば、株式であれば年間10%くらいの利益を期待して投資をするのが当然のことだと思います。10年投資して、最終的にはその投資金額の2倍・3倍になることを期待していると思います。
このような政策が効率的な投資だと私は固く信じています。
10万円を給付して、国民が10万円を使っておしまい…というのは、結局、何のためにもならないのです。
その間、国に入ってくる税収は消費税の10%だけでしょう。10万円を使って1万円しか回収できない投資など、誰がやるのか、ということです。
限られた資源を有効に使うという意味を、もっとみなさんに考えてほしいと思います。
回収できない投資を、国民が積極的に支持することに、何の意味があるのか。私にはよくわかりません。
もちろん、もうどうにもならない人に援助をするのは当然のことです。しかし、たいていの人にとっては、「10万円あれば多少は助けになる」というような感じだと思います。
そんな場面、人生には何度もあるではないのでしょうか?そういうことです。
借金しても、税金で回収できる政策を望む
つまり、岸田政権の目指していることは、投資回収がほとんど不可能なものを目指しているといっても過言ではないと思います。
たとえば菅さんの携帯電話料金の値下げは、消費を押し下げる効果はあると思いますが、その可処分所得の増加による経済効果というのは、決して侮れないものです。しかも、それは単年で効果が終わるものではなく、継続的に可処分所得の増加につながるものです。
そもそも公共料金で月1万円を平気で超えるような料金を請求している携帯電話会社の感覚がおかしいでしょ…と私は思いますけどね。
今回、岸田さんは多数を取り、思い通りに政策運営はできるでしょうが、もう少し、お金の使い方を考えてほしいとは思います。
国は一番の信用力があるのですから、借金をしても、それ以上に税金で回収できるのであれば、株価は自動的にあがります。
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政策が見えないのに株価が上がる不思議。2〜3日後には逆に行く?
今の状態で、株価が上昇しているのは、意味不明です。
なぜなら、自民党が安定的多数をとっても、何をするのかわからないのですから(笑)。
たぶん、2~3日後には逆に行くと思っています。なんの根拠もありませんが、そもそも株価が上昇している意味も不明です(笑)。
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『角野實のファンダメンタルズのススメ』(2021年11月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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