NHKのニュースでも「世界的にインフレが進行」という話題がトップニュースになりました。インフレを認識した社会は、供給不足を埋めるために増産します。そのため、次に来るのは世界的なデフレです。コロナ初期のマスク価格を見ても、1枚70〜100円に急騰したのち、現在では3円〜10円に落ち込んでいます。同じことが世界的に起こると見ています。そのとき、日本株はどう動くでしょうか。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)
※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2021年11月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
マーケットが動く場合は「コンセンサス」が必要
マーケットが動く場合には、コンセンサスが必要。というのが、私の意見になります。
たとえば、コロナ・ショックやリーマン・ショックのような急降下というのは、コンセンサスなしで、いきなり下がり始めたものです。
しかし、あれだけの長期間で下げ続けるのはやはり、コンセンサスがあったからであろうと思います。
物価が上昇しているのは、アメリカだけではありません。日本、中国、挙げればきりがないくらいの国々で、物価が上昇していると思います。
私が「コンセンサスになったな」と感じたのは、NHKのニュースで「世界的にインフレが進行」という話題がトップニュースになったことです。
相も変わらず、NHKが左派的な内容なのは気に入らないのですけれど(笑)、世の中の人々はそう認識しつつあるよね、という認識をしていた方がよろしいかと思います。
NHKのトップニュースでこういうことを報道するのは、世間にはその認識ができあがると私は考えています。つまり、コンセンサスが形成されるということです。
インフレを認めた社会はどう動く?
こういうコンセンサスができあがってくると、マーケットもインフレ対応になってくるということです。
具体的には、まだ思考中ですが、現象としてはマスク価格の騰落のようなことが起こると考えています。
たとえば、マスクはピーク時で1枚あたり70~100円しましたが、現在は2~10円くらいで売られています。
たった1年でこの振れ幅というのも、驚きませんか?
もともと3~5円くらいだったものが、70~100円に。金額ベースでは大した値段ではありませんが、上昇率にすると、ビットコインもびっくりな急騰を演じています(笑)。
そして、暴落しています。
Next: 原油高もすぐに解消?OPEC諸国が増産に応じないワケ
原油高もすぐに解消?OPEC諸国が増産に応じないワケ
これを原油で考えていきます。
バイデン大統領は、サウジとロシア、主に「OPEC+」を批判をしています。しかし、「間違えているのはバイデンさん、あなたでしょう」というのが、私の素直な感想です。
前述のマスクの例でもわかるように、足りないからといって一生懸命に作ると、市場にそれを投入する頃には、もう値段が下がっているのです。
OPECは過去の数々のオイル危機で学習をしていますので、だいたい「もっと増産せよ」と言われるときがピークだということを、わかっているのです。
別にバイデンに意地悪をするために言うことを聞かないわけではなく、増産圧力が高まっているときに増産をしても、安い値段で売らなければいけないことがわかっているから、増産をしないのです。
おそらく、このまま価格が下がらなくても、増産はおそらくしないでしょう。
OPECというのは、最近は消費国の要望は聞かない傾向にあります。そもそも原油など世界中で有り余っていることは、彼らの方がよく知っているからです。
要は、誰かが寒い冬に備えて、買い占めをしているだけの話です。
米国のシェール業者も、過去に原油が高値をつけると一斉に増産をしたのですが、増産をし始めたときにはだいたい価格は下がってきているもの。
だから、今回は慌てて増産などしようとしません。ゆえにインフレが高進をするというのが、バイデンさんの主張なのです。
コロナ初期のマスク不足と同じ現象
みなさん、ここでよく考えてください。
マスクは、皆で「足りない、足りない」と騒いだときに、ものすごい勢いで中国が生産を開始して、どうなったのか。それを考えてみてください。
そして、同時期に紙製品(トイレットペーパーやティッシュ)も、原油と同じように潤沢に在庫があるのに、なぜか店頭から消えました(笑)。
マスクは大暴落をしていますが、紙製品は変わらずの値段です。
この間、紙製品のメーカーは消費者に落ち着いて購買するように求め、特段の増産などは行っていないと思います。
結果の価格をきちんとみてください。
Next: インフレのあとに来るのは、世界的なデフレ経済?
インフレ経験のない国は物品を大増産中
では、今回はあらゆるものが足りないと騒いでいますが、その物品を製造する業者は何をするのか。
日本などは、ここ何十年もインフレなど経験していないので特にそうですが、大増産します。で、それが市場に供給される頃には、すでに価格は下がっている。
そういう循環になるだけの話です。
いまや、マスクは50枚入り300円で売っていたら、皆さん買おうと思いますか?家に在庫がある場合、見向きもしないという状況になるでしょう。200円でも、私は買わないと思います。足りなくなったら買えばよい、と思います。
インフレのあとに来るのは、世界的なデフレ経済?
今は「インフレ!インフレ!」と騒いでいますが、今後の展開は、企業が大増産して価格は大暴落、そのうちに、どんな変な価格になっても誰も買わなくなる、ということです。
日本が金融緩和のやりすぎで「失われた20年」と言われたのと同じことが、世界でも起こるよ、と言っているのです。
つまり、デフレ経済です。
その失態を演じた張本人はパウエル議長だよ、と言っているのですが、金融業界ではパウエル議長の信認が厚いという、摩訶不思議な現象が起こっています。
でも、心配には及びません。グリーンスパンもバーナンキも、在職中は褒め称えられていましたが、退職後はボロボロの評価です。唯一、イエレンだけが評判がいいだけです。
たぶん、パウエルさんも、退職後にボロボロに叩かれるだろうね、とは思っています。
デフレとは、通貨高で物価の下落が続くこと
デフレというのはどういう現象かといえば、通貨高で物価の下落が続くことの現象を指します。反対にインフレというのは、通貨安での物価上昇です。
いま、通貨高でのインフレですよね?
現実にドル高(ドルの価値が上昇している)ということは、ドルは基軸ですので、現金の価値が上昇していることを意味します。
つまり、もうデフレが走り出しています。そんなときに、NHKの報道は「現在はインフレ」と事実を報道しているだけなので仕方のない側面はありますが、だいぶ違和感を覚えます。
Next: インフレでもデフレでも経済はよくならない。日本株はどう動く?
調整してこなかった日本株はどう動く?
インフレでも経済はよくならないし、デフレでも経済はよくなりません。
株価は、1年半の間(もうすぐ2年にもなりますが)調整をしなかったことで、ひどい下げになるとは思っています。
自然界では、調整というのが必ずあります。寒すぎるお天気があれば、必ずバカみたいに暖かい日があるように、人間や地球の世界はできています。
それなのに、調整がないことは素晴らしいことだと、パウエルを褒めそやす金融関係者は、そもそも間違っているとは思います。
自然界に調整があるのに、人間が作ったマーケットからそれを排除できると考える方が、私からみれば何を勘違いしているのかな、と思います。
景気の流れから「不景気」を排除できるのであれば、私たちの人生の落ち込み期もなくなるということなのですが、そういうことがあって、人間は強くなっていくということを理解していれば失敗最高、なんて境地にはなるのでしょうね。
私はまだ、その境地には至っていません(笑)。
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『角野實のファンダメンタルズのススメ』(2021年11月12日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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