オミクロン株の発生で世界が混乱したが、日本は一番パニックを起こした国と報道されている。日本着の国際線「新規予約」を即座に停止し、またすぐに取り下げた。今回、南アフリカがすぐに発表したことは良いことであり、その良いことをした国に対して、配慮のない行動に出たイギリスと日本は、もう少し、科学者と相談して、どのような選択肢があるかを考えるべきだったのだ。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)
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オミクロン株に世界混乱
イギリスのジョンソン首相が、最初にパニックを起こした。南アフリカが科学的なデータを発表し、科学者の間では、すぐに称賛された。
しかし、これまでのコロナ対策で、必ず科学者の言うことの反対を選んで、初期行動を間違え、イギリスを2020年度の負け組のトップ3に入れてしまったジョンソン首相がまた、科学者のいうことの反対をしてしまった。
どこの国よりも早く、南アフリカなど9ヵ国からのフライトをすぐにすべて受け入れないと発表し、実行してしまった。
これについては、短期的には正しいという意見が出るかと思いきや、科学者の間では、あのように南アフリカがちゃんとした報告書を出すころには、今までのイギリスの水際対策のいい加減さから言って、当然、すでに、イギリスに入り込んでいるはずと、短期的な対策としても科学者からは、まったくサポートされなかった。
日本・イギリスの渡航禁止発表は世界にとって大きなマイナス
WHOや科学者が、イギリスや日本が行った発表は、長期的に世界善に対してはマイナスであると発表している。どういうことか?
今回の南アの件で、今後、 オミクロンよりも感染力がある変異株を見つかった時に、発表しない国が出てくる可能性が増えてしまうという懸念である。
南アの科学者(免疫学者)たちは、世界中の医療機関に、デルタに替わり、 オミクロンが主流になるから、世界中で、科学的なデータを集めましょうという意図で行われたわけである。
その後、南アで オミクロンが発生したのではなく、オランダで南アで発見されるかなり前に オミクロンに感染した人がいたという報告まで出て来た。
南アフリカは褒められるべき
このように世界中にCOVID-19が広がってしまい、科学的なデータを使った水際対策をしないでいたら、 オミクロンに続き、同じような問題が毎年起こる可能性がある。
その時に、新たな変異株を見つければ、すぐに報告した方が、世界全体としては良いはずである。
なので、南アがすぐに発表したことは良いことであり、その良いことをした国に対して、配慮のない行動に出たジョンソン首相は、もう少し、科学者と相談して、どのような選択肢があるかを考えるべきだったのだ。
ジョンソン首相は、他人の心理が分からないのである。
Next: 日本が最もパニックを起こした?株式市場も大混乱
オミクロン株に対するパニック
オミクロンに対するパニックは、株式マーケットでも顕著である。デジャヴである。
2年前のCOVID-19が発見された後、世界中がロックダウンされるのではということをいう人が出て来たとたん、実際には世界中のロックダウンを2ヶ月した方がよいにも関わらず、マーケットは下落するのである。
本当にCOVID-19を世界から撲滅したいと考えるのであれば、飲食料品を十分用意し、エッセンシャルワーカーだけは働いてもらい、それ以外の人々を1月1日から2月末まで、2ヶ月間移動をできるだけ減らすということをやれば、世界から撲滅できるはずである。
しかしながら、このアプローチはあまりにも過激すぎる発想ということで、民主主義の国々からはサポートされないため、我々は、大多数にサポートされる案を考えなければならないのだが、まだまだCOVID-19 については、科学者が知りたいことの90%以上分かっていないため、今後10年間以上、ワクチンを毎年1回か2回打ち続けなければならない状況が予想される。
そんななか、原油価格が28日には1バレル77ドルだったのが12月2日の段階で67ドルまで落ちていた。13%の下落である。 オミクロンにとって、パニックを起こす必要はないとのWHOなどからの公表もあり、その後、翌3日には久々に1%以上原油価格が上がったが、これは、原油を空売りしていた人々が買い戻しをしているだけのような気がする(編注:原稿執筆時点12月3日。その後に再び原油価格は下落し、きょう12月6日現在のWTI原油先物価格は1バレル67円台で推移しています)。
私が日本政府のお金を預かっていたら、今回の日本鎖国の発表をする前に原油市場で大量の空売りをする。そして、短期的な利益を上げて、国家の財政赤字を少しでも減らす。
なぜなら、オイル市場や為替市場には、インサイダー取引という概念や規制がないからだ。
国交大臣の謝罪
世界がオミクロン株に対するパニックを起こした。
30日からは、日本が一番パニックしたと海外では報道されている。世界で少なくとも先進国では
最初に全世界から鎖国してしまったからだ。
これが、正しい選択だったかは、2週間ほどすればわかると思っていた。が、日本の鎖国ニュースが出た次の日に、WHOなどから、鎖国をすぐにするのは解決案にならないと発表され、すでに、日本での感染者がいることが判明した。
すべて、科学者が指摘していた通りである。
ここまで書いたところで、YouTubeで国交大臣が謝罪をするのを知った。今月中は、各航空会社に新たな予約を受け付けないようにと国交省が指導していたのを、大臣は知らなかったという趣旨のことが報道されている。
皆さま、どうでしょうか?違和感を感じませんか?本当に大臣は知らなかったのでしょうか?
Next: 日本政府はガバナンスが効いていないガバメント
日本政府はガバナンスが効いていないガバメント
首相が「鎖国をする」という趣旨のことを発表したのに対して、大臣の知らないところで、事務方が航空会社に指示をすることがあるのだろうか?
そうだとしたら、アメリカの上場企業に比べてガバナンスが効いていないガバメントである。アメリカの上場企業にはSOXと呼ばれるルールがあり、会社の中で重要なことが決定される前には、責任者が知る必要があり、そのルールが文書化されている。そうでなければ、ガバナンス上問題ありということで、CEOとCFOと会社が責任を取らされる。
菅総理の時には、すべての決定が遅かった。今回の決定の速さはなかなか今までにないスピードで、好意的な意見が出てくるかと思いきや、まったく逆で、財界からは非難ごうごうであったらしい。
科学的なデータを集め、分析できる日本政府が誕生するのはいつごろなのだろうか?
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『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』(2021年12月3日号)より一部抜粋
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