このところ食品に限らず、身近なものが値上がりしています。この値上がりを、単に家計を圧迫するものと考えるのか、節約のチャンスと捉えるのかで、今後の家計の運営が変わってきます。今回は「節約のチャンス」と捉えて、今年の家計運営を考えてみます。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。
物価じわり上昇…家計への影響はどれくらい?
報道されているところでは、食パンや菓子パン、小麦粉に食用油などが「原材料の値が上がったため」といった明確な原因によって値段が上がるようです。
単価当たり10円や20円といったわずかな値上げのものもあれば、100円から200円、ものによっては1,000円くらい値段が上がるものもあるようです。
この値上げは。私たちの家計収支にどのくらいの影響があるのでしょう?
まず、そこを押さえておけば、対応もしやすくなります。
実質的な値上げ額を把握する
たとえば、家庭用食用油が、1kg当たり130円〜140円以上の価格が上がったとします。
あなたのご家庭では、食用油を年間どれくらい購入しているでしょうか?その実績から、家計での実質的な値上げによる影響度を把握できます。
値段が上がる商品や、ここのところ値上がりが続いている電気・ガス代といった生活に密着している値上げの項目は、その一部の商品をピックアップして、実際にどのくらい家計支出に影響するのかを計算しておくことです。
この計算の結果、家計にとってダメージのない金額(最近は機会が少なくなった家族での外食1回分のくらい)なのであれば、値上げの報道を見ても神経質になる必要はありません。
このままの家計収支で家計運営を続けていってもいいでしょう。
Next: 物価上昇は家計見直しのチャンス。節約できる部分が見えてくる
物価上昇は家計見直しのチャンス
小売価格が上昇するこの機会に、家計支出を見直して、毎月の支出額を昨年と同じ程度にするために、無駄にお金を使わないことを考えてもいいかもしれません。
無駄にお金を使わなければ、節約につながります。しかし、「無駄使い」の考え方は、その人ごとに違います。
たとえば、パチンコが趣味の夫、小さな財布を買って集めるのが趣味の妻、といった夫婦がいたとします。この夫婦は、お互いの趣味のために、同額のお金を使っていたとします。
家計の節約のために、「毎月の趣味に使うお金を一律半額にしよう!」と夫婦で決めたとしても、実行するのは難しいかもしれません。
夫のパチンコは、支出に対して、不確実な収入も期待できるギャンブルをしている。妻の小物集めも、販売して収入を得ることができるくらい価値ある小物を買っている。
このようにお互いが違う価値観を持っていると、夫婦ともに無駄使いをやめることは、結構、難しいものです。
客観的なデータが必要
上記の夫婦の場合、家計が苦しくなっても、すぐにいくら生活にまわせばいいのか、いくら節約すればいいのか、具体的な金額がわからないことがあります。
そこで、日頃から、家計収支の客観的な数値を把握しておくことが大事です。
その資料として、有効なのが「家計簿」です。
また、「家計簿」を付けなくても、たとえ夫婦がともに収入があっても、家計の「財布」はひとつにしておくことです。
つまり、家計の収支を一元化して、収支や貯蓄の推移を日頃から見やすくしておくことです。
Next: 物価が上がると景気もよくなる!?
物価が上がると景気もよくなる!?
ところで、物価が上がって、企業が儲かり、給与が増えて、家計の収入が増えれば、預金金利も高くなり、銀行にお金を預けておくだけでお金が増える。
そして、世の中の景気が良くなるはずです。
日本も30年ぶりに、景気も良くなればいいのですが……?
世の中の景気上昇を期待する前に、ここは、物価上昇を機会に、家計の無駄使いをやめて、目的のものを買うためにも貯蓄額を増やすことをおすすめします。
まずは家計の景気を上昇させてもいいでしょう。
『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2022年1月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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