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ドル高・人民元高が同時に起こる北京五輪前の異常相場。しわ寄せの「円安」はこの先どう動く?=角野實

オリンピックが開催される国の為替は通貨高になり、株価は1ヶ月前には頭をとるというアノマリーがあります。開催が2月に迫まる北京五輪を例に、オリンピックが世界マーケットに与える影響を解説します。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)

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プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

オリンピック開催国は本番1か月前から通貨高へ

東京オリンピックは7月から開催されましたが、7月の上旬からそこまで円安のトレンドだったものが、反転円高になっています。以下はドル円のチャートです。

オリンピック開催時のマーケットというのは、大きく2つの特徴があります。

1. 開催国の為替は1か月前程度から大きく通貨高になる傾向がある
2. 株価はその前まで上昇し、たいていの場合、1か月前に頭をとってしまう

オリンピックの開催というのは大きなお金が動き、そして人の移動も活発になるという特徴があります。

今まで夏開催のオリンピックでは、前述の傾向が顕著でした。そして、今回の北京オリンピックは、まるで夏開催のような動きになってしまっています。

参考までに、前回の北京オリンピック開催後にはリーマン・ショックが起きました。ロンドン、アテネなどの開催後に大きな経済的打撃が起こったのも無関係ではないと思います。

要はオリンピック前に急激なお金や人の流れ込みが行われるのですが、反面、開催後の流出によって、その効果が失われると考えることもできます。

アノマリー通りなら「人民元高」になるが…

今回の北京オリンピックを見てみましょう。

ドル人民元になります

北京五輪は2月開幕で、その1月から人民元高が開始されると自由国では思われますが、中国は為替が市場に任されているわけではなく共産党の意向で決定をされる側面があります。

通常、ドルが年間7パーセントも上昇すれば、人民元は安くなるはずですが、人民元は上記のグラフの通り、2021年3月以降に人民元高が進行しています。

共産党が操作をしている為替相場ですので何とも言えませんが、中国に人や物資が流れ込んでいる証左ともいえる可能性があります。

Next: 「ドル高なら人民元安」の常識が覆った?あおりを受けて“円安”へ



ドル円は人民元を見ている

通貨というのは相対的なものであり、たとえばドルが高くなれば円が安くなるように、どちらかが高くなれば他方は安くなる側面があります。とくにGDP1位・2位の関係である「米中間」には、その側面が強いものがあります。

参考までに、ユーロとドルは必ずこういった相関関係にあり、ドルが高くなれば、かならずユーロは安くなります。ユーロを国家とみなすならば、ユーロ圏はアメリカに次ぎ世界2位の経済圏です。

そして、米中の通貨関係は、ユーロドルで起こるようなことになるはずなのです。ところが、ならない。こういうところが相場の難しいところでもあり、面白いところです。

要はドル高になるのであれば、人民元安になるはずですけど、実際は人民元高です。

そのあおりを受けているのはドル円であり、両大国が通貨高ですから、円が一方的な円安になっていると考えられます。

上記のグラフを見ていると先週、急激に人民元安が進行したら、急速にドル円も円高が進行し、そして、反転すると円安になり、ということが観察できます。

いまのドル円は、ドルと人民元を見ながら動いていますよ……と言いたいのです。

日米北京五輪ボイコットの意味

たとえば、バイデンも岸田も、北京オリンピックの政治的なボイコットを表明しています。

これはどういう意味かといえば、人民元高において中国のアメリカ向け輸出は値段が高くなります。どの国でもそうですが、通貨高は輸出産品の値上げを意味します。

そしてアメリカは、インフレが高進しているうえに、輸入産品の値上げです。

中国以外の国は、日本などは通貨安なのですから輸出はディスカウントになります。そのほか、カナダ、メキシコなどアメリカ大陸、欧州なども通貨安ですので、安くなるということでアメリカのインフレ抑止には一役買うことになります。

ところが、中国は高い値段のまま入ってくる。それも生活必需品が多数含まれているので、それは止めようがないということです。

結果、インフレの高進につながるということなのであろう、と私は思います。

つまり、アメリカにとってドル高人民元高は、良いことは何もないわけです。それ以前は「人民元安がダメだ」と言いながら、今度は「人民元高を止めよ」なんて言われたら、中国はアメリカの頭がおかしいと思うことは必然です。

結果、アメリカは表立って文句が言えないので、政治的ボイコットを言い始めたのではないか、とは想像しています。バイデンも岸田さん並みに、場当たり的な対処しかしていないな……と感じるこの頃です。

Next: 通貨高の中国はどう動く?マーケット全体も中国を見ている



マーケット全体も中国を見ている

一方、中国は通貨高の局面です。通貨高になると中国は何を行うかといえば、資源の爆買いで、原油を筆頭に何もかもの値段が上昇しました。

今回は、人民元高ドル高ですので、ドル安が発生原因ではないのです。中国の爆買いは、どうやれば収まるのかといえば、北京オリンピック、パラリンピック閉幕後の人民元安へのトレンド変化と仮定するのは合理的だと思います。

いずれにせよ、いま観察していると、人民元高を見ながらマーケットが動いているよね、と思います。

そして、昨日のナスダックの急落も、結局、人民元をみながら急落し、切り返しています。そして肝心なことはナスダック週足、30です。このトレンドを今まで切りませんでしたが、今回の高騰相場で初めて切りました。

人民元も大事ですが、金利もきちんとみた方がよいです。なぜなら、金利の短期の高騰から、長期に高騰に移行する場面ですので。

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角野實のファンダメンタルズのススメ』(2022年1月11日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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