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一蘭「490円カップ麺」独禁法違反か。値下げさせずに評判を落とす本末転倒、売り場に山積み状態との情報も

とんこつラーメンチェーンの「一蘭」が開発し販売しているカップ麺などを巡って、小売店の販売価格を不当に拘束した疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で同社を調査していることが判明した。

報道によると同社は、カップ麺を含む自社商品を販売する際に、小売店に対し価格を維持するように指示し、値下げをしないよう圧力をかけていた疑いがあるとのこと。独禁法では、新聞・雑誌・音楽CDといった著作物を除き、メーカーが正当な理由なく自社の製品を指定した価格で販売させることを原則禁止している。

公取委が昨年から任意で調査を実施したところ、商品のブランドイメージを維持するなどの目的で、小売店による値下げを防いでいた疑いがあると判明。今後は同社と小売店との具体的なやり取りなど、さらなる調査を進めるという。

売り場に山積みも一向に値引きされず

今回取沙汰されている一蘭のカップ麺だが、2021年2月から発売されているもの。具材は一切なしで、同店のラーメンの特徴である赤い秘伝のタレがかかるのみの、いたってシンプルな一杯のそのお値段は490円(税込)。カップ麺としてはかなり強気な価格設定だが、それにもかかわらず公式通販サイトや実店舗では不定期に販売するも即完売という大きな反響となり、わずか2か月ほどで累計出荷数100万食を突破する大ヒット商品に。ちなみに同社のサイトには、すでに500万食を突破しているとも記載されている。

最近では、全国の有名ラーメン店が監修したカップ麺などの存在はさほど珍しくもないが、一蘭のカップ麺が他のその手の商品と大きく異なるのが、食品会社やコンビニなどとのコラボではなく、自社で独自に開発し、自ら販売もしているという点。同社サイトの紹介によると、20年以上も前からカップ麺の開発を重ねてきた末にようやく発売にまでこぎつけたということで、その気合の入り具合たるや並々ならないものがあるようだ。

いっぽうで、一蘭が自ら販売までを手がけているということで、一蘭サイドの意向が小売店にまで直接届きやすい格好となっていたようだ。発売当初は、売り場に出せば即完売といった状況だったとあれば、小売店としてはどんどん出荷して欲しいといったところで、一蘭サイドとしても強気な姿勢に出やすい状況だったことは想像に難くない。

ただ、ここ最近は“売り場に並べば即完売”といった以前の状況は、すっかり落ち着いてしまっていた模様。それどころか各地のスーパーなどでは、一蘭カップ麺が売り場に山積みにされていたといった声も、チラホラと聞こえてくる。

しかも、その商品の山がなかなか小さくなっていかないにもかかわらず、一向に値引き販売がされず、強気な価格設定のままという状況に対し、今回の報道以前から違和感を感じていたという向きも結構多かったようだ。

インバウンド需要を取り込み大行列も…

いまや日本人にとっての国民食のひとつと言っても過言ではないラーメン。ただ、その人気に伴い価格もどんどんと上がっていき、このところはちょっとトッピングを加えれば、すぐに1,000円台に……といった店も少なくない状況。

さらに昨今の小麦など原材料の高騰によって、個人店・チェーン店を問わず値上げに踏み切るところも多くなっている。さらに即席麺のほうも、日清食品サンヨー食品などが近々値上げに踏み切ると、相次いで報じられている。

そんななか一蘭に関しては、味そのものに対しては批判的な意見は少なく、むしろ美味いとの声が多いのだが、その価格に関してはトッピングや替え玉を頼むと1,500円超え、下手をすれば2,000円ぐらいに……というように、他のラーメン店と比べてもかなり割高だという評価が、かなり以前から定着している印象。特にコロナ禍以前、インバウンド需要を大いに取り込む施策が当たり、各店で外国人観光客が行列を作っていた頃から、その割高感がより顕著になったという見方をする向きも多いようだ。

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そう考えれば、具なしのカップ麺に500円近くという値付けをする一蘭側の感覚も、分からなくはないところだが、とはいえ直営の実店舗で一杯のラーメンを売るのとは違って、スーパーなどの小売店を通じてカップ麺を売るとなれば、普通ならその価格は自在にコントロールはできないもの。

だが一蘭はそこを曲げて、価格を維持するよう小売店に指示していたものと、今回は疑われているわけだが、その結果が各地の小売店で発生しているという“売れ残りの山”。どうやらブランドイメージの維持どころか、逆にイメージダウンを招いている状況となっているようだ。

Next: 「小売りに不当な圧力をかけるとか味で勝負しろや」



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