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次世代半導体に不可欠「EUV」で躍進する日本企業4社とは?株価動向と投資戦略を解説=田嶋智太郎

高性能半導体の需要が伸びるなか、その生産に必要な極端紫外線(EUV)露光装置に注目が集まっている。EUVで活躍が期待される日本企業4銘柄を紹介したい。(『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年4月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

脚光浴びるEUV(極端紫外線)関連企業

4月14日、台湾のTSMCが22年1-3月期の決算を発表した。売上高は前年同期比+36%、純利益は同+45%増と相変わらず絶好調。売上高・純利益ともに四半期ベースで過去最高を更新した。

主要顧客のアップルが3月にiPhoneやパソコン「Mac」の新製品を相次ぎ投入したこともあり、高性能半導体(5ナノ品)の需要が高まった。

以前から伝えられている通り、年内にも世界最先端の「3ナノ品」の量産を始める。アップルが今秋発売すると見られる新型スマホへの採用が既に決まっている模様。さらに先端の「2ナノ品」についても、新工場の建設が年内に台湾で始めることを決めたという。同社は22年通期で、21年に比べて25~29%かそれ以上の増収を見込む。

3ナノ、2ナノの世界では、当然、オランダASML社製の極端紫外線(EUV)露光装置が必要不可欠となるわけで、20日に行われたASMLの決算の結果も市場予想を上回った。

むろん、EUVに付随する事業を営む国内企業の今後の活躍も楽しみであり、レーザーテックや東京エレク、アドバンテスト、JSRなどの収益拡大も大いに期待されるところだ。

また、他にもEUVに関わる事業が収益に貢献すると思われる企業は数ある。以下にそのいくつかを見ておきたい。

ニコン<7731>:EUV関連コンポーネントが成長

同社の事業は、大きく「映像」「精機」「ヘルスケア」「コンポーネント」「産業機器・その他」に分かれる。

なかでも近年の成長が著しいのは、コンポーネント事業だ。22年3月の同事業は売上高が前期比63.4%増、営業利益は前の期の1億円が125億円に大幅増加となる見込みで、ことにEUV関連コンポーネント=EUV露光装置向けのマスク検査装置用・光学部品の販売増加が見込まれているという。

足元は、カメラは想定を超える拡大を見せており、精機はFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)向けが堅調に推移。精機事業は前期比19.1%の売り上げ増を見込んでいる。

22年3月期は営業利益純利益ともに大きく黒字にV字転換する見込み。23年3月期もカメラやEUV向け光学部品などの伸びが続くと見られる。

ニコン<7731> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は昨年9月以降、18年1月高値から20年10月安値までの下げに対する38.2%戻しの水準(=1350円処)で上値を押さえられ続けていたが、同水準をクリアに上抜ける動きとなってきており、そこから上値余地が拡がっていると見る。

Next: 成長に期待大。まだある極端紫外線(EUV)で注目の日本企業



アルバック<6728>:最先端「成膜装置」の引き合い増加

同社は、EUVを使って半導体を微細化する工程向けの最先端「成膜装置」=マルチチャンバ型スパッタリング装置を開発し、業界の巨人であるところのAMATの牙城を崩してロジックの世界への参入に成功。すでに大手企業への納入実績も上がってきており、今後一層の拡販が期待されている。

足元は、FPD(フラット・パネル・ディスプレイ)装置がPC用などの投資継続で想定を超える伸びとなっているうえ、電子部品装置も自動車のEV化の進展で増が続いている。

22年6月期通期は、部材不足が緩和することで半導体装置が一段と伸長する見通し。会社側は、連結営業利益が前期比54.1%増の265億円、純利益が同21.4%増の180億円と好調な状態が続くことを見込んでいる。

アルバック<6728> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は、17年11月高値から20年3月安値までの下げに対する76.4%戻しの水準を今年1月に達成、そこから一旦調整。目下は、一目均衡表の週足雲下限水準御攻防となっている。

5月12日に発表される3Q決算の結果が楽しみである。

荏原<6361>:真空排気システムに将来期待

同社は、EUV露光装置の需要の高まりを背景に、EUV露光装置に付帯する真空排気システムの販売を行っている。EUV露光プロセスに必要となる大流量水素を排気できる性能を有しながら、省エネルギーかつ省フットプリントを実現しているという。

足元は、データセンターの設置増加による半導体需要の拡大で半導体製造装置が好調。中国で主力のポンプも伸びが続いている。環境プラント事業では廃棄物処理施設の大型案件の受注が続く。風水力事業の継続的な収益性改善や精密・電子事業の増収、円安の影響などが利益面のお幅な改善にも貢献している。

また、日本の国土強靭化関連の公共投資を担っている点からも中長期の活躍が期待される。

荏原<6361> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は、コロナショック後に右肩上がりの推移を続けており、目先は一目均衡表の週足「雲」上限付近まで調整するも、同水準が下値サポートとして意識されやすい。押し目買いのチャンスが近づいていると見る。

Next: 調味料の技術を電子材料に応用した味の素<2802>



味の素<2802>:ABFの活躍の舞台拡がる

同社は、うま味調味料の副産物を使って開発した絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」が今や有名となっている。このABFは、ICチップの保護やICからマザーボードへの信号伝達の役割を担う電子材料で、台湾TSMCを通じて米インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などにも供給されているという。

むろん、ABFは半導体の微細化の流れにも乗る。EUV露光装置の普及で半導体の線幅がナノレベルに達する状況下、配線が微細化するほど加工は難しくなる。ABFは銅線を貼りやすいという特性を含め、加工しやすい点が注目を集めている。

売上高に占める「調味料・食品事業」の割合はこの4年で6割弱と横ばいが続いているが、その一方でABFなどの「電子材料」は2.6%から4.2%に上昇。事業利益で電子材料は全体の2割弱に達する。ABFの出荷数量は20~24年の年平均で15%伸びる見通し。

味の素<2802> 週足(SBI証券提供)

株価は、2,000円割れの水準から20年8月以降に上げ基調を強め、21年9月に3,500円処に到達してからはもみ合う展開。3,500-3,600円処の上値抵抗をクリアに上抜けるかどうかが当面の焦点となる。

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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』(2022年4月22日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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