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儲けすぎのNHKはいつまで受信料を取り続けるのか。英・仏が「強制徴収」廃止も、日本の公共放送だけ改革進まず=原彰宏

NHKが“お手本”としてきた英国BBCが、受信料徴収制度を見直す方針を打ち出しました。一律徴収制度を「終了する」というのです。フランスもマクロン大統領の公約によって受信料徴収をやめる決定をしています。さあNHKさん、この世界の流れを受けて、デジタル化の波を受けて、どのように改革をしていくのでしょう。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2022年5月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

受信料「強制徴収」で嫌われるNHK

「NHKをぶっ壊す」……強烈なインパクトで世間の注目を集めた「NHKから国民を守る党(N国党)」の決まり文句ですが、最大唯一の公約は「NHKのスクランブル放送化の実現」となっています。

NHKの受信料未払いに罰則規定があることを問題視したN国党は、強制徴収制度を廃止させ、NHKを見たい人だけお金を払ってみれば良いというシステムにしようというのです。

それがスクランブル放送、「限定受信システム」と呼ばれるものです。

ケーブルチャンネルがこのシステムで、WOWWOWと同じと言えばおわかりいただけるでしょうか。「お金を払えば番組を視聴できる」ということです。

受信料で成り立っているNHKにとっては、その公共性を維持するために「受信料徴収は必要」と、スクランブル放送化には否定的です。

でも、どうやらそういうことばかり言っていられない状況になってきたようです。

英も仏も、公共放送受信料徴収制度「廃止」の方向へ

NHKが“お手本”としてきた英国BBCが、受信料徴収制度を見直す方針を打ち出しました。一律徴収制度を「終了する」というのです。

現在、世界の公共放送でも受信料を徴収しています。

英国では受信料として、世帯当たり年159ポンド(約2万5,000円)の支払いが義務付けられていて、違反者には罰金刑を科されることもあります。受信料を決める権利を持つ英政府とBBCの取り決めで、現行制度は2027年12月末まで存続が保証されています。

NHKの受信料徴収制度は、この英国公共放送BBCのシステムを真似たものです。

そのBBCが、先月、受信料制度などを含む放送に関する白書を公表しました。それは、BBCの一律徴収制度が2027年にも終了する可能性があるというものです。

近年のインターネット動画配信サービスの普及により、BBCなどの視聴者が減少し、不公平感が高まっていることなどが主な理由と報じています。

ジョンソン政権は2028年以降、視聴者からの徴収をやめ、課金制度に移行させる方針とみられます。

実は、英国だけではなく、フランスでも国営放送局が受信料を徴収する制度を“やめる”動きが出ています。仏フィガロ紙によれば、5月11日の閣議評議会において2022年から公共放送の受信料を廃止することになったようです。

Next: フランスでは大統領の選挙公約で受信料廃止へ。日本は?



フランスでは選挙公約で受信料廃止へ

そもそも、公共放送の受信料廃止は、4月に再選されたマクロン大統領の選挙公約でした。

フランスでは、テレビを所有している人は年間138ユーロ(約1万9,000円)の受信料負担義務となっています。

これまで、受信料は住民税とともに徴収されていました。

実はフランスでは、2023年から住民税が撤廃される予定となっていて、今後の公共放送受信料のあり方が議論となっていたとのことです。

住民税を撤廃?

フランスでは、共和国大統領の要請により、特に主要な住宅に対する住宅税の段階的な廃止により、地方税を大幅に改革しました。具体的には、世帯の80%が2018年に本拠地の住宅税を30%削減し、2019年に65%削減したとのことです。

所得などを考慮しながら段階的に廃止へと進めていき、2023年には完全に廃止します。2020年には8割の世帯で「住民税0(ゼロ)ユーロ」の明細書を受けとっていました。

しかし、住民税ゼロと思いきや、明細書には「138ユーロ」の請求額が…。そうです。公共放送受信料だけが残っているのです。

「世帯購買力促進のため、コロナでダメージを受けた家計を助ける」。マクロン大統領は、再選のための公約として、公共放送受信料徴収廃止を訴えたのです。

でも、公営放送が民営化されるのではなく、国家予算で補填されます。

国家の意向が強く反映されるのではないか?
公営放送の独立性は担保されるのか?

などなど、様々な批判もありました。課題は山積でしょうが、受信料徴収制度廃止というのは、かなりのインパクトになるでしょうね。

チャンネル統合、ネット放送に舵を切る英国BBC

さて、話を英国BBCに戻しましょう。

「懸命に働く世帯の財布をこれ以上圧迫することは政府として正当化できない」。これは、英国公共放送BBCの「受信料徴収制度」に対するドリス文化相の発言です。
※参考:フランスで公共放送受信料の撤廃へ、マクロン大統領が選挙時の公約果たす – SAKISIRU(サキシル)(2022年5月13日配信)

BBCのティム・デイヴィー会長は5月26日、テレビ・ラジオチャンネルの改革を発表しています。

それによれば、子ども向けなどのチャンネルを従来の放送からオンラインに移行するほか、イギリスと国外向けで別々に展開しているニュースチャンネルを統合するとしています。

デジタルへの移行が決まったのは、子ども向け番組「CBBC」と、ドラマやドキュメンタリーなどを専門とする「BBC Four」で、これらのチャンネルの番組は今後も制作され、イギリス国内からはオンラインアプリ「BBC iPlayer」で視聴できるようです。

さらに、ラジオの「Radio 4 Extra」は、オンラインでポッドキャストなどを配信しているBBCサウンズに移行するとのことです。

イギリスと国外向けで別々に展開している2つのニュースチャンネルは、ひとつに統合されます。

受信料徴収制度廃止と放送のデジタル化は、大いに関係しているでしょう。

Next: NHKはデジタル化の波を見ないふり?どうなる受信料問題



どうなるNHKの受信料問題

日本でもNHKは、テレビ放送と同時放映をネットでも行っています。

「NHK+(プラス)」で、一定期間ですが、放送日以降でも見ることができます。ただし、「NHK+」を見ることができるのは、NHK受信料を払っている人に限ります。

さて、このイギリスとフランスの公共放送変革、受信料徴収制度撤廃を受けて、NHKは今後どのような対応をしてくるのでしょうか。

NHKが受信できないテレビも登場しています。

先程の英国ドリス文化相のTwitterで、「(受信料不払いを理由に)高齢者が実刑判決で脅かされ、裁判所職員がドアをノックする時代は終わったのだ」と述べたと報じています。

さあNHKさん、この世界の流れを受けて、デジタル化の波を受けて、どのように改革をしていくのでしょう。私たちは見ていますからね。

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らぽーる・マガジン』(2022年5月30日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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