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【米雇用統計】ドル円はいつ130円台の壁を突き抜ける?展望と今夜のトレード戦略=ゆきママ

今週は再び急激な円安となり、1ドル=130円台をつけることになりました。ここ最近は円安、それに伴うインフレに対する懸念も高まって、為替レートの注目度は日に日に高まっているように思います。そして、今日は相場の鍵を握る月に一度のビッグイベント米国雇用統計が21:30に発表されますので、展望などを含めて解説していきます。(ゆきママ)

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ドル円上昇の流れが復活!背景は?

先週までの懸念が一服といった感じで、今週は一転してリスクオンになりました。為替相場としては円独歩安の展開です。

背景は主に、以下の3つが挙げられるでしょう。

1. 中国が6月1日から上海市のロックダウン解除したことで経済持ち直し期待高まった

2. ウォーラーFRB理事のタカ派発言、米国経済指標が予想を上回るこう結果となったことによる米金利の上昇

3. 欧州のインフレ加速に伴う世界的な金利高、日本と海外の金融政策スタンスの差が改めて意識された

そして、これらの流れが継続するかどうかが、ドル円の一段高の条件となりそうです。

したがって、中国が再度ロックダウンにならず回復期待が継続することが条件となるでしょうし、今夜の雇用統計においてもほどよい賃金上昇と雇用者数の堅調な数字、労働参加率の上昇など、満点に近い結果が求められそうなので、ハードルは高そうな印象です。

もっとも、過度なリセッション(景気後退)懸念というのはいったん払拭されたようですから、よほど悪い結果にならない限り下値も限定的と考えられます。

Next: 雇用指標は全体的に悪化傾向で雇用市場は頭打ちか。きょうの展望は?



雇用指標は全体的に悪化傾向で雇用市場は頭打ちか

それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望を考えていきたいと思います。

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

全体的に雇用指標は悪化しており、そろそろ雇用市場の加熱も頭打ち感が見られるといったところでしょうか。特にISM(全米供給管理協会)が発表した製造業指数はトータルでは予想を上回る56.1ポイントと予想を大きく上回りましたが、雇用に関しては2ヶ月連続で大きく低下しており、今回は節目である50ポイントを割り込んでいます。

民間のADP社の雇用報告においても、低調な前回を大きく下回っていますし、新規失業保険申請件数もこれまでと一転して増加しています。

今日発表される雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)は+32.5万人増と比較的強目の数字が期待されていますが、これを下回ってくる可能性は割とありそうです。

一方で+10万人増を下回る、マイナスになるという衝撃でもなければ、相場に与える影響は小さいでしょう。

また、平均時給は前月比で+0.4%、前年比で+5.2%となっています。前年比で見るとピークアウト感が出てきていますが、依然として高い水準でこの予想並なら金利が大きく下がることなく、ドルもまずまず堅調な推移でドル円をリードしそうです。

この平均時給が予想を下回った場合は、やや金利が下がってドル安になるかもしれませんが、反発基調にある株式市場の状況を踏まえると、金利低下を好感して株高になりそうで、円安がドル円相場を支えそうです。

しかしながら、平均時給が予想を上回った場合、インフレ継続観測で金利上昇してドル高にはなりやすいですが、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ継続観測にもつながります。

過度な利上げによる経済のハードランディングの可能性への懸念が高まる可能性がありますから、平均時給が予想を上回った場合は、株安からの円高、今の相場の流れの逆流に警戒しましょう。

Next: ドル円は流れに沿って押し目買い戦略!1ドル=128.70〜131.30円を想定



ドル円は流れに沿って押し目買い戦略!1ドル=128.70〜131.30円を想定

ドル円は上値を探る値動きではありますが、130円台の重さは明らかですし、週末かつ株価が自律反発的に上昇を続けてきたことを踏まえると、高値で突っ込んでいくのは厳しいように思います。

ドル円チャート(日足)

具体的なトレードとしては、平均時給の極端な上振れ、前年比で+5.6%以上となって前月からインフレの加速が見られるということにでもならない限りは、基本的に押し目を狙っても良いでしょう。

ごく短期的には129.40〜129.50円がサポートとなっていますので、雇用統計発表前にこの水準なら軽めに買って雇用統計ギャンブル、また非農業部門雇用者数が予想を下回って+10〜20万人前後となって下がった場合でも、このレベルがまずは押し目となるでしょう。

また、よほど平均時給が上振れない限りは、下がっても21日移動平均線のある128.70円が底となると考えられますので、128.90〜129.20円ではポジション追加を検討したいところではあります。

利食いは130円台で伸び悩めば一旦ポジションを落としていくイメージでしょう。高値の131.30円を更新するのはなかなか厳しいように思います。

以上が今日の戦略となります。いずれにせよ、6月、7月と0.50%の利上げが連続することは確定していますので、米ドルが買われやすい地合いは続くでしょう。

さらに昨日、ブレイナードFRB副議長が「(9月の利上げ)休止の可能性は非常に低い」としたことが話題となりました。

マーケットは、タカ派のブレイナード副議長の発言なので、いったん停止の可能性もあり得ると織り込んだようですが、やはり経済指標が堅調である、インフレ継続であれば9月も利上げがあるわけですから、ここ数ヶ月は米ドルそのものは強めで底堅いとの認識でトレードを考えていただければと思います。

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image by:beeboys / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2022年6月3日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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