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楽天モバイル「0円廃止」で1,350億円の損失は埋まるか?決算から読み解く売上アップ効果=シバタナオキ

楽天モバイルは2022年5月13日、契約者数の拡大に大きく寄与していた「0円プラン」を廃止すると発表しました。楽天全体の営業利益は楽天モバイルの1,350億円の損失の影響で、983億円の赤字となっています。全体から見ても、楽天モバイルの損失額はあまりに影響が大きく、対策を打つ必要がありました。今回の「0円プラン」廃止で取り戻すことはできるのでしょうか?(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

(※筆者注:この記事はMihoさんとの共同制作です。)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2022年5月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

Q. 楽天モバイルが「0円プラン」廃止、1,350億円の損失はどこまで改善される?

A. ユーザー離脱が起きないと仮定すると138億円の売上が生まれる。現実的には、75%が離脱したとしても30億円以上の売上が見込まれると推測でき、収益改善インパクトは大きい。


楽天モバイルは2022年5月13日に、契約者数の拡大に大きく寄与していた「0円プラン」を廃止すると発表しました。

2019年10月に携帯キャリア市場に新規参入した楽天モバイルは、競合他社と比較して安いプランを打ち出していましたが、その後、政府主導で3大キャリアをはじめとする携帯各社へ料金引き下げ要請がなされました。

三大キャリアはサブブランドの料金を引き下げ、2021年にはメインブランドでも料金を引き下げました。そこで楽天モバイルが発表したのが、1か月のデータ通信量が1GB以下であれば0円というプランです。これは2021年開始当時には大きな話題を呼びました。

しかし先日、開始から1年で、0円プランを廃止するという発表がなされ大きな波紋を呼んでいます。この記事では、楽天モバイルが0円プランの廃止に至った背景、それによる業績インパクトなどを考察します。

楽天モバイルの「0円プラン」廃止を発表

まずは楽天モバイルの現行プランと、今回発表された新プランを簡単に紹介します。

現行プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」​​は、1か月のデータ通信量が1GBまでであれば0円で、1GB以上の場合はデータ使用量に応じて3段階の課金があり、最大3,278円でした。

新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」は、1か月のデータ通信量が1GB未満の場合でも、通信量が1~3GBのユーザーと同様に月額1,078円となります。

この料金変更は2022年7月1日から予定されており、既存ユーザーも新プランに自動的にアップデートされます。そのため、ユーザーからは「裏切られた」という声も多くあがっています。

楽天モバイルは契約者に対して無料で国内通話ができる「Rakuten Link」を提供しています。つまり、wifiを使用するなどでスマホのデータ通信量を1GB以下にすれば、基本料金0円に加えて、無料で国内通話することもできていました。

またデュアルSIM対応のスマホであれば、楽天モバイルをサブ回線として契約しておくことで、0円で楽天市場での買い物時のポイントアップするなど、楽天グループの他サービスのメリットを享受することができていました。

そういった背景もあり、ユーザーからの反響は大きなものでした。

Next: 大半が0円ユーザー?なぜ楽天モバイルは「0円プラン」を廃止するのか

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