なぜ楽天モバイルは「0円プラン」を廃止するのか?
2021年に開始したばかりにも関わらず、一体なぜ楽天モバイルは「0円プラン」を廃止するのでしょうか。
上図は楽天モバイルの四半期売上と営業損失の推移です。売上は右肩上がりに伸びているものの、営業損失がそれ以上に拡大しており、FY2022 Q1(2022年1月-3月)の営業損失は1,350億円にまで膨らんでいることがわかります。
三木谷社長は今回の0円プランの廃止、つまり新プランへの自動移行について、電気通信事業法に抵触する可能性があり、0円プランを既存ユーザーへ提供できなかったと説明しています。
一般的に携帯事業者が新プランを導入する際は、新規契約については新プランとなるケースが殆どで自動移行は珍しいです。実際にはこのままでは事業としての継続が難しく、今回の変更に踏み切ったと思われます。
楽天モバイルは2019年に携帯事業に参入以降、基地局整備に予想以上の時間を要してしまい、KDDIとのローミングで通信を担保していました。しかしユーザー数の増加とともに、その費用が莫大になり、2021年10月からローミングエリアを縮小して収益改善をはかっています。
FY2022 Q1(2022年1月-3月)の楽天全体の売上が4,371億円、コア事業の営業利益が423億円、全体の営業利益は楽天モバイルの1,350億円の損失の影響で、983億円の赤字となっています。全体から見ても、楽天モバイルの損失額はあまりに影響が大きく、対策を打つ必要がありました。
「0円プラン」の利用割合を推定
1か月のデータ通信量を1GBに抑えているユーザーはどの程度いるのでしょうか。
楽天モバイル契約数(2022年2月時点): 550万件
上記のデータを参考にすると、ARPUは 804億円 ÷ 3ヶ月 ÷ 550万件 = 487円 となります。
有料プラン利用ユーザーのARPUを3つのプランのうち中間の2,178円と仮定し、有料プランの利用ユーザー率をX%とすると、0円プランの利用ユーザー率は 1 – X% となります。
2,178円 * X + 0円 * (1 – X) = 487 という方程式を解くと、有料プランの利用率は22.4%、0円プランのユーザー率は77.6%です。
仮定からの算出ではありますが、0円プランのユーザー割合が4分の3を占めていると推測されます。
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