「0円プラン」廃止による売上増をシミュレーション
0円プランを廃止してもユーザーは離脱せず、新プランに全ユーザー移行すると、550万件 * 77.6% * 1,078円 = 46億円となり、月次で46億円の売上貢献があります。
四半期では138億円の売上貢献となります。それでも現在の1,350億円の営業損失を補うことはできず、基地局整備などのコストが抑えられない限り、赤字構造は続きそうです。
現実的なシミュレーション
0円プランの利用ユーザーが離脱しないという仮定は現実的ではありません。実際に楽天モバイルが0円プランの廃止を発表すると、競合他社はSNS等で自社PRを加速させています。
KDDIの格安スマホプラン「povo」は、基本料金0円で利用できるプランへの申し込みが急増し、本人確認に時間を要する旨のプレスリリースを出すほどです。その後、メディアの取材に対して、高橋誠社長は申込数が以前と比べて2.5倍に増えたと答えています。
前項で推定した楽天モバイルの0円プランユーザーの解約率を25%、50%、75%のそれぞれのパターンで売上に対するインパクトを算出してみます。
550万 * 77.6% * (1-25%) * 1,078円
= 34.5億円
四半期あたり売上: 103.5億円増加
550万 * 77.6% * (1-50%) * 1,078円
= 23.0億円
四半期あたり売上: 69.0億円増加
550万 * 77.6% * (1-75%) * 1,078円
= 11.5億円
四半期あたり売上: 34.5億円増加
結果は上記のようになります。
0円プランユーザーの75%が解約しても、四半期で34.5億円の売上貢献があります。
一般論としては、価格優位性を強みとしたビジネスは価格競争に巻き込まれます。今回、楽天モバイルの最低料金が1,078円に引き上げられたことで、最低料金0円のpovoの申込件数が急増していることからも、楽天モバイルが価格競争に巻き込まれていることは明白です。
しかし、楽天は楽天経済圏が大きく、楽天の他サービスも利用しているユーザーにとっては、1,078円であれば継続するという合理性もあり得るでしょう。いかに解約を防止しつつ、新プランでのユーザー獲得を進められるかが重要です。