日銀の緩和政策継続で、急速に円安が進行しました。2022年はインフレの波が日本を襲うことになります。このような状況下で、どうやれば資産を作り、守ることができるのか?海外在住FP・花輪陽子さんと、カリスマ公認会計士の山田真哉さんのお二人に、日本人が今から取り組むべき資産防衛術を伺いました。※今回は有料メルマガ読者限定の対談内容の一部を無料公開しています。(司会:内田まさみ)。
※本記事は有料メルマガ『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』2022年6月登録者向けの記事の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
円安・インフレなのに「貯金」は危険。日本人が今やるべき資産防衛術
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
芸能文化税理士法人 会長CEO・公認会計士・税理士。1976年兵庫県神戸市生まれ。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール勤務を経て、公認会計士試験に合格。中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て、独立。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は160万部を突破するベストセラーとなる。また、YouTube「オタク会計士ch 少しだけお金で得する」は登録者数42万人を超える。株式会社ブシロードの社外監査役や政府の外部有識者、経済番組やドラマの監修等も務めている。
シンガポール在住FPとカリスマ会計士の意外な出会い
内田まさみさん(司会者。以下、内田):今回のまぐまぐLive!の対談企画は、花輪陽子さんと山田真哉さんです。お願いします。
お二方とも非常に有名なので、私が説明をするまでもないとは思いますが、簡単にご紹介をさせていただきます。まずは花輪陽子さんです。外資系投資銀行を経てファイナンシャルプランナーに転身しました。2015年からシンガポールに移り、海外から多数の書籍を発売。メディアにも多く出演されていらっしゃいます。
最近では世界三大投資家のお一人、ジム・ロジャースさんの書籍を監修するなど、世界を舞台に活躍。まぐまぐ!ではメルマガ『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え・海外投資&企業実践編』を発行していらっしゃいます。
どうぞよろしくお願いします。そして、山田さんのご紹介もしておきましょう。すでに、ほとんどの方がご存知かと思いますけれども、大ベストセラーとなりました『竿竹屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問から始める会計学』の著者であり、最近は42万人もの登録者がいるお金系YouTuberとしてもご活躍ということでございます。山田さん、42万人も登録者がいらっしゃるんですか?
山田真哉さん(以下、山田):お陰様で、つい最近も「インボイス制度」の動画や「マイナンバーカードで2万円ポイントもらえる」とか、そういう動画が跳ねているので、お金系と言いつつも、凄く狡いというか、ちっちゃいネタが多いんですけどね。
内田:でもやっぱりお金に関心のある方が多いんですね。今日もいろいろ教えて頂きたいと思います。
お二人は共著で『手取り10万円台の俺でも安心するマネー話を4つください』という書籍も発売されているんですね。花輪さん、これはどんな本なんですか?
花輪陽子さん(以下、花輪):この頃はリーマンショックで、貧困女子とかがかなり騒がれていた頃で、アベノミクスの前だったので、すごく不景気で手取り10万台の人でも、お金の4つのテクニックを覚えることで、資産防衛できますよという内容の本でした。ふるさと納税とかちょっとした技や給料明細の見方とかを解説しています。
内田:花輪さんのメルマガも非常に人気のようですが、メルマガの内容も簡単に教えていただけますか?
花輪:私はシンガポールで、ウェルス・マネジメントに力を入れています。ファミリーオフィスや様々な専門家と一緒に働くことが多いんですけれども、スイスの金融機関のマーケットコミニティーにも入れていただくと、世界中から最新の情報がアップデートされます。そこで学んだ情報や海外のニュースを翻訳して、メルマガで発信しています。
海外の一次情報をメルマガで発信しているので、ピンポイントな情報が読めるのが有料メルマガの特徴ですね。マーケットのことは無料で載せてるんですけど、そこから先のかなり具体的な部分は、有料メルマガの方で知りたい人だけに読んでいただく形にしています。
内田:ぜひぜひ興味ある方は、登録していただければなと思います。
シンガポールから見た日本のインフレ・円安の実態は?
内田:山田さん、今、お金のこと考えるならば、日本だけを見るのではなく、世界を見なきゃいけないですよね。
山田:世界を考えずにお金のことを考えるのは不可能ですね。今日のテーマのインフレにしても円安にしても、日本の国力と世界との差から起きているんですから。
内田:では、本題に入りましょう。今日(2022年6月9日)も、為替が134円台に突入し、かなりのスピード感で円安が進んできています。お二人はまずこの円安、インフレの状況を、どのように見ていらっしゃいますか?
花輪:2年前は、米ドルは100円ぐらいだったんですけれども、それから比べると同じ10万円でも、約1,000ドルだったのが、今だと約740ドルとか、30%ぐらい目減りしています。日本円でアメリカの物やサービスを買うと、1.3倍ぐらい値段が高くなります。アップルのMacの価格が衝撃的な値段になったとニュースになっていますが、あまりに急激なので、凄いことですね。
インフレについては、日本はかなり緩やかですけど、海外、特にシンガポールでは、この2年で家賃や光熱費が1.5倍になっているんです。そうなると、かなり生活が難しくなります。
私自身は電気代に関してはヘッジをしていて、ETFでコモディティ・インデックスを買ってるんですけど、それの値上がりと電気代の値上がりをヘッジしています。そういうのをしないと結構暮らしていくのが難しいです。あとは節約もかなり徹底してやってます。
内田:確かに、日本に居るとインフレは世界に比べるとまだまだ伸び率は、小さいかもしれませんけれど、確実に進んでいて、そういうヘッジは何か必要なのかもしれないですね。
花輪:やっぱり、資産の通貨も考えないといけないと思います。私は2020年に、円からUSドルやシンガポールドルにほとんど移し替えたり、「金」などに分散してるんですけれども、日本円は日本で使うぐらいしか持っていません。
山田:それならば、花輪さんは、円安の影響を受けないじゃないですか。
花輪:日本円でわずかながら収入が入ると真っ先に使うか、ドルに変えたりとかしていて、インドネシア在住の日本人みたいなことをやっていますね。
Next: マーケットの大きさが段違い。お金を稼ぐならシンガポールより日本
GDPの上昇で賃金もアップしているシンガポール
山田:2点ほど気になったので聞いていいですか?シンガポールって、前から物価が高いという話があるじゃないですか。今年に入ってから、それがさらに高くなったんですか?それとも順調に高くなってるって感じなんですか?
花輪:急激に高くなりました。1.5倍というのは、元々コロナで落ち込んでた時と比べると1.5倍になっているのもあるということなのです。長く見れば緩やかで、平均的には2%前後のインフレ率かと。今年のコアインフレ率の予測は3.4%ぐらいなんです。ですが、GDPの成長率も約3.8%なので、経済成長も伴っています。また、来年からインフレは緩やかになると予測されています。
山田:日本では、結局賃金が同時に上がらないから「やばいじゃん!」って話になってますけど、GDPが成長しているなら、シンガポールは賃金も上がっているんですか?
花輪:賃金は上がってますね。2021年は前年比3.9%上昇と発表されました。もちろんコロナの2020年は前年比1.2%と低かったですが20年で賃金は約2倍になっています。
山田:ということは、きちんと働いている人や資産運用してる人にとっては、今のそのシンガポール物価高は、日本ほどひどくは無いっていう印象でいいんですか?
花輪:それでも、物価上昇の方が早いので、富裕層はあまり影響受けてないですが、低所得の人には厳しいです。もちろん仕事は今いっぱいありますし、最低賃金も上がっていますが、インフレのほうが常に先に進みますよね。
山田:あと、もうひとつ。単純に知識不足なんですけど、シンガポールドルと米ドルっていうのは変動する為替ですか?
花輪:シンガポールドルは、通貨バスケット制度で主要貿易相手国の通貨を貿易量で加重平均しているようです。。日本円から考えると、米ドルは1.3倍ぐらいですけど、シンガポールドルは1.2倍ぐらい高くなったイメージです。約80円でずっと計算をしていたのが、、今は97円前後になっているので、100円で私は換算しなきゃです。昔の円米ドルレートくらいになったイメージですね。
山田:じゃあシンガポールに普通に住んでいて、日本が関係ない人にとっては、シンガポールとドルは通貨バスケット制で、そこまで変動があるわけじゃないんですね。
花輪:もちろんUSDとシンガポールドルも完全に連動していないので変動はあります。ただ、シンガポールドルは、米ドルほどではないですけど強くなっています。米ドルの割合が高いので、周辺のアジアの国と比較すると安全と考えられていることもあるかと。
山田:じゃあ、今日の結論はシンガポールに移住してシンガポールで稼いで、日本を捨てたらいいじゃないかって話になっちゃう(笑)。
シンガポールより稼ぎやすい!?マーケットが大きい日本
花輪:ただ、シンガポールはマーケットがもの凄く小さいので、稼ぐのが大変なんです。特に日本語しかできないと。大変なんですけれども、シンガポールでも語学を磨いて切磋琢磨して外貨を稼げるようになった方がいいなと思います。
山田:花輪さんは、シンガポールで稼いでいらしたけど、日本向けでも稼いで、今回の有料メルマガでもそうですけど、日本向けの仕事だと、割が合わないことはないですか?
花輪:だから、収入が入ったらすぐに外貨に変えるとか色々工夫をしています。でもやっぱり、日本って凄くマーケットが大きいのです。単純な話をすると、日本だとメルカリに出品すればすぐ売れますけど、シンガポールのフリマアプリは無反応というか、売れるのに時間がかかります。日本と同じように写真をきれいにとって、同じように載せていても、日本だとすぐ売れるし、高い値段で買い取ってくれます。シンガポールは値引きも凄いので、日本の方がやっぱりまだ稼ぐのは楽だと思います。
山田:やっぱりそういう人口のアドバンテージってあるんですね。
花輪:あります。日本には1億人はまだいるので、シンガポールの600万人弱のマーケットはかなり小さいです。
Next: 黙っていてもお金が増える輸出業。神に祈るしかない輸入業
日本国内では2極化する円安の影響
内田:ありがとうございます。山田さんはどうですか?やっぱり日本に今住んでるわけじゃないですか。
山田:日本に住んでいて、100%日本の収入で円でもらっていますね。
内田:そうすると、円安は深刻になってきますよね。
山田:やばいですよね。今回の円安は初めての経験だと思ってます。僕は今45歳ですけれども、こんな形の円安って今までなかったですから。1998年や1999年とか辺りの円安は、その前が円高が行き過ぎていただけで、その反動でした。アベノミクスがスタートした時も円安は急激でしたが、民主党時代が80円ぐらいだったのが、一気に120円になったのがありましたけど、あれも反発だよねっていう説明がついたんです。でも、今回は全然反発でもなんでもないじゃないですか。
純粋な円安という初めての状況になってきているので、本当にどうしようかとなと思っています。僕は会計士事務所をやっていて、色んなところの会計を見てるんですけども、日本の会社は本当に両極端になっています。
すでに発表されている情報なので言いますけど、僕が社外役員をやっている「ブシロード」というゲームソフト会社は、海外向けにもカードゲームやアプリゲームとか提供しているので、現地で稼いで外貨は置きっぱなしにしているので、ただただ為替差益が出まくる。
そういう会社もあれば、海外のアートを輸入するような会社は困っている。例えば2年ぐらい前に分割で払いますと買う約束をしている。そういう場合、製造業や輸出業の大企業なら為替の対策をしているから、当時の110円なら110円のまま3年間分割で払います、となるのですが、中小企業だと為替の対策はやっていないんです。そうなると、最初110円の計算で3年間分割で買い始めたら、今月末の払いは135円で払うことになる。もう、ただただ地獄というか、ずっと祈るしか方法がない。
内田:結局、赤字になっちゃう可能性がありますよね。
山田:赤字です。資金繰りが持たないので融資を受けなきゃいけないけど、緊急の円安の融資もどこまで対応するのかっていうのもあるので、本当にただただ困っている。何もしなくても、ウハウハな会社もあれば、ただ困っているっていう会社、というように二極化が日本では起きています。
内田:結局、輸入して国内でビジネスしている会社が厳しくて、コロナ禍もあって、ずっとここ2~3年も苦しいままできた中で、また円安が追い打ちをかけてる感じがしませんか?
今回の円安は長期的に続くものなのか?
山田:この円安には見方が二つあって、これが一瞬のことなのか、ずっと続くことなのかで、話はだいぶ変わってくると思ってます。
内田:花輪さん、どうですか?これは一瞬のことで終わるのか、長期化しそうなのか。どのように見ていますか?
花輪:マクロ的には長期化しそうです。日本の財政、世界との物価の違い、あとはチャートを見ても、もっと円安は進みそうだって言ってる方が多いです。直近、ジム・ロジャーズさんにも取材しましたが、彼もマクロ的に円安になると言っていますし、円安に向かうという見方が多いです。
内田:ちなみにどれぐらいまで、円安が進むという目安はありますか?
花輪:目安としては、極端な人だと1ドル365円とかもっといくと言ってる人もいますね。でも、もしそうなったら、日本の借金が目減りして海外純資産がすごい増えるから、日本の収支は良くなるのかもしれないんですが、国民にとっては最悪ですよね。本当にそういう時代も歴史の幅を広げるとあったので。175円に行っても不思議ではないチャートの形もしていますし。
内田:山田さんはどうですか?金融政策も中央銀行によって全然違いますよね。日本がまだまだ緩和政策を取っている中で、他の国々は引き締めに入ってて、そこも大きく影響していると思うんですけれど、他にもいろいろ問題があるんですかね?
山田:逆に僕は、そこが一番でかいと思っています。明らかに政策が違う。今は日本円を売ってドルを買ったら、それだけ金利差で儲かるよねっていう、わかりやすい状況なので、長期化するか、一瞬で終わるのかっていうと、多分一瞬では僕も終わらないと思っています。ただ、一瞬で終わる可能性があるとしたら、今の日銀の黒田総裁の任期が来年の4月で切れるので、新しい人に変わるタイミングがポイントだと思います。アベノミクスの時も白川さんから黒田さんに日銀の総裁が変わった時に一気に円安になったのと同じように、日本もインフレ退治をやるんだっていう風になれば、一気に110円とか120円に戻る可能性もあると思いますし。
内田:巻き返しが起こると。
山田:そう、巻き返しです。結局、急に来るものって急に戻る。過去のアベノミクスもそうですし、その前の時もそうだった。基本的には、じりじり円安になっていくんでしょうけど、ここまで早いことはないと思います。
あとは参院選ですね。参院選が今、自民党圧勝の流れの中、ここでいやいや岸田インフレ、黒田円安っていうのが意外な重圧となって、参院選で野党が善戦するようなことがあると、自民党が黒田さんに圧力をかけて、黒田さんが、すみません、家計のこともちょっと見てみましょうとなる。そして今回のことを撤回して、一気に引き締めに入る。もしくは、可能性は少ないけど、めちゃめちゃ米国債を売りまくる。そういうことが選挙か黒田さんの任期満了のタイミングで起こる可能性はあると考えています。
内田:花輪さんも、流れが変わるタイミングとしては、そういう選挙だと考えていらっしゃいますか?
花輪:日本だけではなくて、為替は世界との相対的な関係なので、10月に中国の共産党大会もありますし、11月にアメリカの中間選挙がありますので、やっぱり中間選挙に向けてバイデン政権はインフレと戦う姿勢を取っているので、そこからの方向転換があれば、巻き戻る可能性あると思います。でもマーケットは今の時点で12月まで織り込んでいるので、選挙で凄く結果が変わるとか、織り込んでないことが起こると動く可能性はあると思います。今年は、株式や為替は動きやすいと思います。
Next: 転職したがらない日本人の性質が、賃金上昇を押さえている
山田:僕もよく分かっていないのは、アメリカの景気がいいっていうことなんですよ。
花輪:景気はいいです。雇用統計を見ても凄くリカバリーできていますし、やっぱりコロナが平常化していて、マスクも皆さん付けていないですし、これまで子どもをケアするのに学校に行けなかったかことがあって、働けなかった女性が労働に戻っているという統計が出ていますし、ものすごく景気はいいです。移民も受け入れているので、アメリカにシンガポールから戻る人も多いですし、アメリカもシンガポールも景気は凄くよくて人手不足。レストランなんかも、サービスが間に合っていない感じです。
山田:大体、最近は全世界的に好景気だったり、全世界的に不景気だったりっていう連動することが多かったんですけど、今の流れは、アメリカとかは景気がよくて、日本が景気が悪くなるみたいなことは起きちゃうんですかね?
花輪:でも、円安になると、日本の株は上がりやすくなりますよね。日本の製品は安くなることになるので。
山田:輸出は大企業が多いですからね。
花輪:不動産もそうですよね。そういう形で景気は悪いけれども、株や不動産は上がるような状況は続くんじゃないですかね。
内田:確かに株は戻り歩調な感じがします。そうすると、株や不動産、あと輸出企業は、すごく良くなるけど、厳しくなるセクターもやっぱりあって、そこがさっき山田さんが言ったように両極端になっちゃうってことですよね?
山田:私は、国内の分断みたいなことが経済によって起きると思います。コロナの時も結局、BtoC的なリアルな事業はバーンと下がって、その他はそうでもないみたいな。
内田:国内の企業が苦しくなっていくと、この後の、日本の景気に大きく影響を与えるものなんですか?
花輪:全て繋がってますので、景気が悪くなる企業があれば、そこで雇用されている人の収入が厳しくなりますし、すべて繋がっているので、どうしても連鎖は起きます。
なぜ日本人の賃金は上がらないのか?
内田:本当だったら、お給料が上がる道筋が作れるんなら、これまた雰囲気は変わってくると思うんですけど・山田さん、日本はまだまだそれが見えない状況にありますよね?
山田:これは政府の施策の問題もありますけど、日本人的な気質の問題でもあると思ってるんです。つまり、今、日本がインフレになっている、円安になっている。ただ、人余りの状況では全くないわけです。人手不足はあまり変わってないし、失業率はどちらかというと下がっている状況だし、有効求人倍率も上がってる。結局、人手不足はあまり解消されていない。
そうなると、普通に理屈で考えたら、自社の給料が上がらなかったら「輸出企業とか、景気のいい事業に転職すればいいじゃん」という話になるわけです。結局、人手不足だったら、だいたい皆さん転職すると給料上がるはずなんですから。それなのに転職をあまりしないのは日本人の国民性です。賃金が上がらないのはそこが凄くボトルネックになっているんだろうと思っています。
若い人は、多少流動性があるとはいえ、やっぱり中堅以上の人は転職すると退職金が減っちゃうとか、住宅ローンが払えなくなるとか、色んなしがらみがあるので、それで労働市場が動かないで、日本が不利になるんです。
花輪:シンガポールだと、月収が1万円でも高い企業を見つけると労働者はすぐ移っちゃう。むしろ経営者の方が大変で、賃金は上がりやすくなってる。福利厚生とかもきちんと付けてあげないと、すぐ辞めちゃうんです。だから、本当に雇用の流動性が高くて、シンガポールに出ている会社って景気がいいところが多いので、すぐわかります。
海運とかもコロナの時も良かったですし、そういうところの企業は人が増えてるなって思うと、株価が上がっている。商社とかも、株が上がるパラメーターとして現地でも確認ができる感じです。
内田:そういう意味でも人材の流動性ってすごい大事なんですね。
山田:大事ですし、それを怠ってきたのが日本。退職金の制度であったり、最近までiDeCoみたいな確定拠出年金を移動できなかったりとか、日本企業の制度の不備がここにきて裏目に出ています。普通なら「家族のために転職して給料を増やさなきゃ」と思うところが「家族のことを考えると転職できない」っていう、不思議な状況になっている。
この状況を打破するために、せめて副業とかで仕事を増やして、輸出絡みの仕事とか、副業をどんどんやっていければいいんですけど、いまだに副業禁止の大企業もいっぱいありますし、本業と似たジャンルでの副業はダメとか縛りもあります。だから所得は上がらない。
内田:1万円でも多く稼ぎたいと思うんだったら、自分も努力しなきゃいけない、そういう人たちを雇えた企業はさらに成長していくという良いスパイラルが出来上がるということですかね?
山田:ミクロレベルで考えると、この円安インフレの対処法って、転職か副業だと僕は思ってるんです。それが手っ取り早い。
内田:確かにそうかもしれないです。そういうのが起きにくいっていうのは、やっぱり昔からの制度をずっと引きずっているからなんですかね、花輪さん。
花輪:やっぱり転職をする場合も、今も夫婦共働きなので、片方が海外赴任が決まってもバラバラになってしまうとか、いろんな問題もありますし、でもアメリカの企業だったらどこからでも働いてもいいということもある。
副業もやってもいいといっても、全く違う業界でないとダメでは、本当に難しいですよね。メルカリで売るとかは誰でもできますが、、それ以外のことで、すぐ明日からできる副業って、手に職とかないと難しいとは思います。
内田:山田さんこれ、日本すぐに変われそうに無いような気がしちゃうんですけれど、どうですか?
外国に「出稼ぎ」に行く日本人が当たり前の時代に
山田:社会が変わらなくても、制度は変わらなくても、個々人の動きが、最終的には自分たちや家族だけでも守らなきゃっていう意思や意欲があればできると思うんです。僕の周りでも、海外向けにYouTubeを配信していて、投げ銭の額が円安になってくると、どんどん収入が大きくなるっていう人もいる。やっぱり海外からどうやってお金、外貨を稼ぐかと考えるのが大事です──
この続きでは、
◆日本円しか持っていない人は、今から何をすればいいの?
◆ジム・ロジャーズ直伝。金投資の分散効果の高さ
◆仮想通貨は資産防衛でも役に立つのか?
◆投資をするお金がない人は収入を多くする努力が一番効率的
◆絶対やってはいけない資産運用とは?
◆お金がグローバル化する動乱の時代へ突入
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※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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