円安が止まらにゃい!ドル円は24年ぶりに1ドル=137円台に突入しました。しかし、欧州ではリセッション(景気後退)懸念も出始め、21:30発表の米6月雇用統計の数字次第では相場の大きな逆流もありそうです。それでは、今夜の展望やトレード戦略について解説していきます。(ゆきママ)
今夜の雇用統計はいつも以上に警戒を!相場の流れが大きく逆流する可能性も
ドル円は136円台を維持するなど、底堅い値動きが続いています。一方で、ユーロ円は下落が目立ち、138円台とピークの144円レベルから大きく下落しています。
この値動きは言うまでもなくユーロ安であり、背景は欧州発のリセッション懸念というのがあります。先月発表されたユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)の速報値は、物価高騰による消費意欲の減退で2021年2月以来の低水準。
さらにロシアが欧州向けのガス供給を削減を進めていることから、天然ガスの価格見通しが大きく上昇し、これによって一段と消費が悪化、エネルギー不足による生産が落ち込むとの見方が強まっています。
欧州発の景気懸念でユーロは買えなくなり、ご存じのようにボリス英首相が辞任という政局の混乱、そして例外ないく英国も景気停滞の兆候があるためポンドも買えず。リスクオフ時には多少買われる傾向がありますが、日銀の異次元緩和により円も買えずで、消去法的にも米ドルが集中的に買われている現状があります。
潜在的な円売りに加え、ここ1〜2週間は米ドル買いもあってドル円は底堅く推移していますが、今日の雇用統計の数字が大きく悪化することがあれば、米国発のリセッション懸念ということで米ドルも買えなくなります。
仮に米ドルも買えないという話になってしまうと、これまで続いてきた円売り相場が一気に巻き戻される可能性が高いですから、雇用統計の結果には最大限注目と警戒をしておきたいですね。
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先行指標は全体的に悪化も大規模レイオフが影響するほど弱くもない
それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望を考えていきたいと思います。
雇用指標の悪化は顕著ですね。いずれも前回(5月)から悪化しています。一方で、新規失業保険申請件数の数字を見ると依然として堅調であり、極端な雇用減少にはつながらないと思われます。
最近はテスラ社やツイッター社の人員削減が話題となりましたが、テック企業の多くで大規模なレイオフ(一時解雇)が行われていることで、雇用市場に対する懸念が強まっていましたが、トータルで見る限り求人そのものはまだまだ活発に行われているのでしょう。
とはいえ、テック企業の賃金水準の高い人々が職を失うことが想定されるわけで、平均時給、賃金上昇率はややピークアウトも想定されるので、全体で予想を上回るような強い数字というのも想定しにくくなったのが現実かなと思います。
安倍元首相が撃たれたことで円高。短期的には押し目を狙っても良い
安倍元首相が撃たれたことで瞬間的に円高となっています。この値動きは安倍元首相主導の日銀の金融緩和政策終了を意識したというよりは、海外からは重大なテロ事件ということでポジションをフラットにする、巻き戻しということでしょう。
瞬間的に135.30円台まで下落する神経質な値動きとなっています。基本的に21日移動平均線のある135.30円や135.00円の大台節目ラインは意識されやすく、今後も下押しする動きがあれば軽めに買って10〜30銭程度の値幅を狙うトレードはありでしょう。
とはいえ、今回の雇用統計に関しては、ポジションはなるべく持たずに望みたいところでしょう。今回はいつも以上に重要度の高いイベントと言えます。
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今夜の想定は1ドル=134.40〜137.00円
基本的に非農業部門雇用者数は予想並の+20万人前後の増加がメインシナリオで、堅調、タイトな雇用市場が引き続き意識されると考えていますが、これを大きく下回る、+10万人未満の増加となった場合は、133〜134円台への調整も十分あり得ますので警戒しておきましょう。
予想が+26.8万人増ですから、前回分が大きく修正されることなく+20〜30万人増ならドル円の押し目を狙って良いですが、134.30円レベルを割り込んでいく値動きになった場合は一旦損切りでしょう。
また、平均時給がマイナスになるなどした場合も、ドル高の調整が深まる可能性がありますから、そのパターンになった場合も押し目を狙うのは控えたいところです。
相場全体のトレンドが米ドル高、円安なのでショート(売り)から入るのは難しいですが、非農業部門雇用者数がマイナスに落ち込むなどした場合は130円割れも想定されますので、その場合は検討しても良さそうです。
いずれにせよ、予想並の数字が出てトレンドに沿って押し目を狙っていくというのがメインかつベターですから、そのつもりで見ていただければと思います。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2022年7月8日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による