fbpx

円大暴落を招く日銀債務超過の危機目前。「円安地獄」で沈む日本から脱するためのポートフォリオ=吉田繁治

円安が進行する中、日銀は利上げに動きません。しかし利上げは「できない」のです。わずか0.3%の利上げでも、日銀は債務超過に陥り、日本の信用は失墜、円は大暴落となってしまうからです。今後、円安、インフレ、財政崩壊へと日本が進んでいくのは間違いなく、もはや我々は日本からの脱出を計画するしかないのです。『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2022年6月26日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

日銀は0.3%の利上げで債務超過

日銀は、5年以下の短期債をマイナス金利に、10年債を0%~0.25%に抑える量的緩和のため、口座をもつ銀行に540兆円の当座預金を持たせています。

普通、この当座預金は、銀行が資金繰り難に陥ったとき引きあてる強制的なものです(準備預金という)。ただし法定の準備率は、日銀に口座をもつ銀行の資産(=負債)の0.7%程度でしかない。総金額で7兆円程度でしょう。準備預金の金利は0%です。

2013年4月以降の異次元緩和では、日本の金利を0%にするため、日銀は、政府から国債を引き受けた銀行から、即座に、その国債を買って現金化(マネタイゼーション)し、当座預金として。預かっています。金額が564兆円に膨らんでいます。そのうち、マイナス預金が5兆円、他は、ほぼゼロ金利です。この当座預金のゼロ金利が、日本のゼロ金利政策の意味です。

問題はここから生じます。日銀が、インフレと円安対応から、仮に0.3%の利上げをすると、0.3%の金利を559兆円の当座預金に対して付けなければならない。

0.3%の金利の中で、日銀の当座預金だけが0%だと、銀行は一斉に当座預金を引き出すパニック流出が起こるからです。当座預金は、金利がつく外銀の預金や、0.3%の金利に上がった国債買い(=日銀当座預金の減少)になっていくでしょう。

日銀が0.3%に利上げをしたときは、この当座預金に0.3%の金利つけて、銀行に払わねばならない。その金額は、559兆円×0.3%≒1.7兆円になります。

日銀は、1%をはるかに下回る0.3%の利上げでも、約2兆円の利払いが必要になります。日銀の自己資本は、引当金・準備金の全部を含んでも11兆円です。

参考:日本銀行・営業毎旬報告(令和4年6月20日現在)

日銀は0.3%の利上げをすれば、以下の2つの要因から自己資本がなくなって、債務超過に陥ります。

(1)日銀の保有国債540兆円×(1+0%×8年)÷(1+0.3%×8年)=540×1÷1.024=527兆…13兆円の含み損

(2)559兆円の当座預金への、金利支払い1.7兆円/年。
  合計で14.7兆円の損失

日銀は0.3%であっても金利を上げることができない。日銀が債務超過になれば、政府が10兆円出資すればいいという話があります。政府は10兆円の国債を発行し、それは、結局日銀が買います。

タコが自分の足を食べて命をつなぐことと同じです。このタコは、早晩、死にます。債務超過になった日銀の信用の低下は、円の国際的な(海外での)通貨信用の低下、つまり、海外の円売りからの円暴落になっていきます。
(注)英米系のヘッジファンドは、この時期を狙っています。

インフレ対策として米国、欧州、英国、スイスがいくら利上げをしても、日銀は、自分が債務超過になってしまうため0.3%の利上げすらできない。

130円を超える「円安」は2023年まで続く

これが、アベノミクスの結果として、日銀が陥った「ゼロ金利からの出口なし」ということです。

・政府財政が破産するか、
・新円の通貨を切り下げるリセットして、
・通貨と財政がご破算になる日まで、日銀には出口がない。
利上げの出口がないことは、確定しています。

米欧が、インフレ対策として利上げをする2022年と2023年の半ばまでは、1ドル130円を超える「円安」で行くこともほぼ確定しています(最短なら2022年11月まで)。

米国との金利差が、現在の約3%から拡大すれば、金利がマイナスからゼロの円売りが、外為市場で増えるので、1ドル140円、150円にも向かう円安が続くでしょう。(注)過去、日米の金利差(スプレッド)は、最大でも1.5%付近で、110円付近の通貨レートが均衡していたからです。米国も短期金利がゼロだったので、2021年3月までは、1ドル=110円台だったのです。

ドル/円週足(SBI証券提供)

ドル/円週足(SBI証券提供)

少なくとも2022年、2023年半ばまで、海外の金利はどんなに上がっても、日銀に利上げの出口がない円金利は、ゼロと見なければならない。

具体的には、

(1)米国の景気後退が、FRBに認識され、
(2)物価の上昇率(5月=8.6%)も低下に向かい、
(3)現在のFRBが、2023年6月までは予定している利上げを止めるまで、円安の傾向が続くと見ておかねばならない。

Next: 「円安」の打撃は秋から。避けられない日本のインフレ貧困

1 2 3 4 5 6 7
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー