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コロナ終焉を見据えてニーズ急増「DX関連銘柄」狙い目の日本企業4社はこれだ!チャート分析=田嶋智太郎

7月1日に発表された日銀短観で、2022年の設備投資計画が大幅に上昇修正された。とりわけDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資を急ぐ企業の需要は旺盛。DX化の推進で恩恵を受ける4企業の特徴と現状を、チャート分析も合わせて紹介する。(『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年7月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

企業のデジタル化投資の本格化で注目度高まる銘柄は?

日銀が7月1日に発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、2022年度の設備投資計画は、全規模全産業で前年度比14.1%増となった。前回3月の0.8%増から大幅な上方修正となる。新型コロナウイルス禍で先送りされた投資が再開され、脱炭素やデジタル化に向けた投資も本格化する。

製造業の設備投資は全規模で20.5%増を計画。3月調査では9.0%増だった。非製造業でも全規模で10.5%増と、前回の4.0%減からプラスに転換した。グリーン化やデジタル化といった景気に左右されにくい投資が、着実に進む見込みとなっている。

雇用面では経済活動の再開に伴い、非製造業の人手不足感が強まっている。人員が「過剰」と答えた企業から「不足」の割合を差し引いた雇用人員判断指数(DI)は、全規模でマイナス30と2ポイント悪化した。先行きもマイナス35と悪化を見込む。

つまり、いま多くの企業は人材確保とDX推進のニーズを高めている。そうしたニーズに応え、顧客企業の大々的な変革を後押しする企業とは?以下にあらためて整理しておきたい。

ディップ<2379>:中小企業へのDX化を推進

今、多くの企業が高める人材確保とDX推進のニーズ。その双方に応えることで大きく成長している企業の一つがディップである。同社の22年2月期決算説明資料を見ると、ディップは人材サービスとDXサービスの提供を通して労働市場における諸問題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指すとある。

主力の人材サービス事業はアルバイト求人の「バイトル」や「はたらこねっと」などを中心に、介護や保育向けに掲載案件数が回復。派遣求人も高水準持続している。

また、DX(支援)事業では、最新のテクノロジーを活用した業務効率化・営業支援などのDXツールを、ワンストップのSaaSモデルで提供し、主に中堅・中小企業のDX化を推進。月額課金の対象社数が増える。

23年2月期の純利益は59億円~111億円と予想しており、仮に予想ゾーン上限であればEPSは199.80円で、予想PERは18.5倍程度となる。

ディップ<2379> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は、コロナ・ショック時の安値から、21年11月高値までの上昇に対する61.8%押しの水準で調整一巡して切り返し。当面は、一目均衡表の週足「雲」を上抜けるかどうかに注目しておきたい。

Next: 行政に強い「富士通」とDXのインフラを支える「インターネット・イニシアティブ」



富士通<6702>:行政のDX化支援の需要増加

いまやDX支援事業を営む企業と言えば、富士通の名を外すことはできない。同社は、かつて携帯端末や個人向けパソコンなどのハードウエアを主力としてきたが、米アップルや中韓勢などとの競争激化で、2010年代から事業再編を進めてきた。ハードウエアから脱却し、ソフトウエアを軸とした「DX企業」への転換を経営戦略に掲げる。

2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)が、前期比53%増の2,800億円になる見通しだと発表。前期に早期退職を募集した影響で人件費が減るほか、海外拠点などを活用した開発の効率化で、IT(情報技術)システム開発の採算が上向く。

営業利益は82%増の4,000億円となる見込み。企業や行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の需要が増えるほか、半導体部品子会社の堅調が続く。

富士通<6702> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は、コロナ・ショック時の安値から、21年2月高値までの上昇に対する50%押しの水準で下げ止まって切り返し、以降はもみ合う展開。当面の焦点は、一目均衡表の週足「雲」を上抜けるかどうか。上抜けると、週足のMACDがプラス圏に浮上すると見られる。

インターネット・イニシアティブ<3774>:DX推進を支えるインフラ企業

同社はネット接続の草分けで、法人向けシステム構築、クラウド、セキュリティに強い。
足元は、企業の旺盛なデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を背景に、法人向けのネット接続サービスの販売や、システム開発の受注が伸びる。言うなれば、同社は多くの企業のDX推進を、インフラ面から支える役目を果たしているわけである。

主力のSIも大型案件の受注残が豊富。システム運用等の継続課金が伸びる。結果、23年3月期の通期業績は2桁増収増益が見込まれており、株価は昨日(7日)年初来高値を更新する動きとなった。

インターネット・イニシアティブ<3774> 週足(SBI証券提供)

長らく一目均衡表の週足「雲」に下値を支えられながら、上昇基調を継続しており、なおも強気の展開が続くものと期待される。

Next: DX化のコンサルティング「TIS」と経営・会計システムに強い「アバント」



TIS<3626>:DXをコンサルティング

同社はデジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティング機能を強化するため、24年3月期までに500人超のDX人材育成を目指している。

足元は、「サービスIT」と「金融IT」が好調で、増収増益に貢献。サービスITでは、決済やデジタルマーケティング関連の顧客のIT投資が旺盛。金融ITでは、クレジットカード関連の顧客のIT投資が活発化している。もともと、クレジットカードなど決済向けが強い。

三菱UFJ銀行や凸版印刷など5社間で企業DX支援に関し業務提携。同行顧客にサービス導入等進めるほか、カード会社向けSaaS新サービス投入にも意欲的。

TIS<3626>週足(SBI証券提供)

株価は年初来高値に顔合わせする水準まで上伸してきており、強気の展開が続く。

アバント<3836>:経営・会計システムに強みあり

同社は、連結経営・会計システムのパッケージソフト開発、ライセンス販売、導入サービスなどを展開する。10月1日付でグループ組織を再編し、社名を「アバントグループ」に変更する。傘下の子会社の一部も社名を変更し、子会社間で親和性の高い事業をまとめる。

連結決算などの「創造的開示推進事業」、データ分析などの「企業価値可視化事業」、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「DX推進事業」の3分野に、子会社の事業を再編する。アナリティクス分野の有力企業SASと、中小企業向けDX推進支援で協業。

22年6月期決算の発表は8月5日を予定しており、売上高は前期比で15.1%増の187億円、営業利益は同11.9%増の31.3億円を見込んでいる。

アバント<3836>週足(SBI証券提供)

株価は、コロナ・ショック時の安値から、21年4月高値までの上昇に対して76.4%押しの水準まで大きく調整した(22年1月)ところからの切り返しで、目下は一目均衡表の週足「雲」上抜けにトライしている。昨日(7日)年初来高値を更新する動きとなっており、一段の上値余地拡大が期待される。

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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』(2022年7月8日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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