マネーボイス メニュー

銀行利息5%時代を忘れられないシニアは生涯労働確定。貯蓄から投資へ移行できぬ家庭の子どもも同じ道を歩む=牧野寿和

「貯蓄から投資」と10年前から言われていましたが、その頃は高い利息の銀行預金や保険の残高があり、いずれは利子・利息は高くなると盲信する人もいました。でも、その時代はやって来ません。これからは金融商品の知識が必須となります。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

【関連】仕事は60歳でスパッと辞めよ。人生100年は嘘、死ぬ間際に後悔しない「FIRA60(ファイラ60)」の人生プラン=榊原正幸

プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

この10年で変わった資産形成の方法

2012年9月から、週に一回発行しております、このメルマガ「人生の添乗員(R)からのワンポイントメッセージ」は、今回、通算500回目の発行です。

この10年を振り返ると、世の中は変わりました。それに伴って、私のところに相談にみえる内容も変わってきています。

そこで、今回は、生涯の家計収支の流れを、特に、資産形成をすることを中心にお伝えいたします。

簡単にお金が増えた時代

10年前も現在と同様に「貯蓄から投資」と言われていました。

すでにこの頃には、預け入れたお金が、その金額以下にならないように元本が保証されている銀行の預貯金口座に預けて、利子、利息が増えていく時代が終わっていました。

しかし、その当時、1990年代の後半までは、銀行の預貯金の利子利息が年利5%くらいで貯めていた方や、定期(死亡)保険や養老保険といった保険の商品に、保障とともに貯蓄目的で加入していた方も貯蓄の成果として、満期解約金などで、現在では考えることができない金額を得ていた方もいました。

今後、またこのようなお金を銀行に預けておいたり、保険に加入したりしておくだけでお金が増える時代が戻ってくる信じていた方がいたのも事実でした

貯蓄から投資を自覚する時代

このような経緯もあり、元本の保証のない株式、投資信託といった金融商品で資産形成をしていくことには、躊躇している方が多くいました。

しかし、現在では、

・NISA(少額投資非課税制度)
・iDeCo(個人型確定拠出年金)

といった税制優遇を利用して、資産を形成していくことが可能です。

ただ、これらの制度で、運用できる金融商品のほとんどは、運用次第で損益が変わっていきます。

したがって、それこそ10年前にも言われていた「貯蓄から投資」自己責任で資産を形成することを自覚して、金融商品の仕組みといった資産運用の知識を得ることが必須です。

Next: 育った家庭環境が決める子どもの投資への姿勢



資産形成の方法は千差万別

とはいうものの、元本の保証のない金融商品で運用しなくても、銀行に預けておけば、お金は盗まれることなく、預けた金額は増えていきます。

金融商品で元本が減るかもしれないリスクを取りながら、収益(リターン)を求めるか、単にお金を銀行に預けて増やすかは、人それぞれ、千差万別の考え方があります。

その方の今までの生活から、影響されることもあるでしょう。

たとえば、親が株式投資をして、その仕組みを子どもに教えていれば、その様子を見ながら育った子どもは、元本が保証されていない金融商品で運用することに、ためらいはないかもしれません。

家計環境で決まる子どものお金の考え方

私は、この10年の間に、日本学生支援機構のスカラシップ・アドバイザーとして、奨学金の仕組みや生涯のライフプランの話をしてききました。

また、母校に中学のPTA会長を務め、地元の自治会や行政の会議などに出席にすることで、10代から90代の老若男女まで、様々な年代の方との交流の機会を得ることができました。そして、様々な考え方を持ち、生活をしている人々の話しを聞くことができました。

この貴重な体験は、私の宝であります。ひとり占めするのではなく、FP業務を通じて、多くの方に伝えていくのは、私の責務だと自負しています。

特に、家計の環境で、その子のお金への考え方が形成されること。

また、子どもが成人に達した後は、できるだけ早く、自分で資産を形成する考え方を決め、実行していくことです。

つまり、人生の成長に伴い、例えば、結婚、住宅購入、子どもの成長、老後の生活といった、生活の環境が変わることでは、時にはパートナーとともに修正しながらも、根本的には変えない人生の軸を作ることが、大切だと痛感しました。

Next: 終身雇用、定年の崩壊で、生活レベルも自分で決める時代へ



生活のレベルを自分で決める時代

現在は、すでに、生涯同じ企業に勤めあげる終身雇用の時代は、終焉を迎えつつあります。

また、定年の概念も崩れかけていて、自活して生活できる健康寿命の年齢である、おおそよ75歳までは、働いて年金以外の収入を得ることも可能になってきています。

つまり、周りの人の生活に合わせようとすることなく、また、周りから自分がどのように見られているのかも気にすることなく、自分で自分の生活のレベルを決めて、生活していく時代になり始めています。

今までは、試験を受けるために勉強して点数で評価されていました。
社会人になって同じようなこともありました。

しかし、これからは、自分が必要だと考えたことは、自発的に、勉強してより深い知識を得て、生活に生かしていく。そこには、点数も他人からの評価もない。

といった時代にすでになっています。

10年後に、1000号を発行するとき、どんな世の中になっているのか?

少なくも、私の著述の「人生旅読本」は、現在の2倍以上のページ数に、なっていることでしょう。

楽しみであり、一抹の不安もあります。

自分の人生の行程を描いて、それを軸に生活をしていけば、世の中の変化を、受け入れることもできます!

【関連】いくら貯めれば老後破綻しない?生活レベルに合わせた必要貯金額の算出方法=牧野寿和

【関連】ドケチな青春、惨めな老後?「働きたくない」FIRE志望20~30代が早期リタイアで失う幸せの種とは=午堂登紀雄

【関連】日本人の8割が加入する生命保険はムダだらけ。対策すべきは不慮の事故より長生きリスク=俣野成敏

image by:Tirachard Kumtanom / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2022年7月27日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ

[無料 週刊]
ご自身の描いた老後の生活を実現するために、 40代から、退職・完全リタイアをするまでに、 やっておくべきことがあります。 そんなことはわかっているよ!! でも、行動に移せないんだよね…… 実は、何から始めようか迷っているんだよ!? そもそも、何をしたらいいのかわからないんだよね??? そんな方のために、同年代の私、 「人生の添乗員(R)」が、 ファイナンシャルプランナーとして13年の実績と、 自身の人生経験から、 40代から、退職・完全にリタイアをするまでにすべき、 「貯蓄」と「節約」について、 毎週、1テーマずつお伝えします

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。