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老後の正しいお金の減らし方は?必死に貯めた老後資金、「足りなくなったら…」という不安を感じずに使う方法=牧野寿和

「老後のため」と必死に貯めたお金ですが、いざ老後になると「使い切ってしまったら、その後はどうする?」といった不安から、なかなか貯めたお金を使えない高齢者が多いようです。そこで今回は、どうすれば不安なく計画的にお金を使えるのか、老後生活での“正しいお金の減らし方”を解説します。(『 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

「老後のために」と必死に貯めたきたお金、どうやって使って減らしていく?

「お金の心配のない老後を暮らすためには、主な収入が“年金だけ”になっても支出の不足分を補えるよう、お金を貯めておくこと」。

これはよく言われていることで、間違いではありません。

しかし、家計の支出を補うために、貯めたお金を取り崩して使っていくことは、頭では理解できても「いつ、いくら使ったらいいのか」「使い切ってしまったら、その後はどうする?」といった不安から、「なかなか貯めたお金は使えない」といった声を高齢の方から聞くこともあります。

そこで今回は、老後生活での「正しいお金の減らし方」を解説します。

記事の構成は次の通りです。

1. 復習:老後の生活費
2. 自分たちの老後の生活費はいくら?
3. 貯蓄の減らし方を決める
4. 準備はいつから?

1. 復習:老後の生活費

よくお聞きになっているとは思いますが、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査《速報版》」によると、

夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額23.2万円、ゆとりある老後生活費は月額37.9万円です。

ゆとりある生活のための上乗せ額(差額)14.7万円は、
・旅行レジャー
・日常生活費の充実
・趣味や教養
・身内とのつきあい
といった費用に必要なようです。

自分たちの老後の生活を送るのに、参考になる数字ですね。

2. 自分たちの老後の生活費はいくら?

では、実際に自分たちの老後の毎月の生活費としては、いくら使っているのでしょう。

すでに老後の生活に入っている方も、これから老後の生活に入る方も、その金額を知るためには、まず現在の家計支出額を把握します。

家計簿を付けている方や各種家計アプリを使っている方は、すぐに把握できると思います。

しかし、わからない方も、定期的な収入のある方なら、そのお金が振り込まれる口座のたとえば、今年の10月末の残高と、昨年の10月残高を差し引いて、その数値がプラスであれば「年間の家計収支はプラス〇○○万円だった」とわかります。

また、昨年の11月から1年間の収入を手計算で足せば、年間の収入を把握できます。

そして、その収入から年間収支を引いて、12か月で割れば、1か月平均の家計支出額を、把握することができます。

Next: せっかく貯めたお金は自分のために。貯蓄の減らし方はどう決める?



3. 貯蓄の減らし方を決める

現在の毎月の家計からの支出額を参考にして、老後生活での「貯蓄の減らし方」を決めます。

減らし方はすごくシンプルで、貯蓄額が底をつかないように、家計の支出額を調整しながら、毎月の収入と家計の支出額との差額を貯蓄から取り崩していきます。

エクセルなどの表計算ソフトを利用して、年齢・収入・支出・貯蓄額・備忘録の項目を、現在の年齢から100歳くらいまでの枠を準備します。

そして、各年の家計収支と貯蓄額を、家庭ごとのライフイベントに沿って入れていきます。

入力した各年・各項目の数値の推移や、自分で最低限必要だと思っている費用(例えば毎月の生活費に3か月分)を下回らないように、支出額を増減していきます。

なお支出額は、高齢になるとともに社会状況や自身の身体の変化することで生じる可能性があります。従って、定期的に見直すことや、必要な場合は後見人を決めて託すといった、柔軟な対応が必要になります。

参考までに、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によれば、家計の支出額は、以下のように年齢とともに減っていきます。

・65~69歳:26万1,123円
・70~74歳:23万9,704円
・75歳以上:21万0,024円

4. 準備はいつから?

老後の生活は「勤めを辞めたと同時に始まる」といった明確な節目があります。しかし、生活費の支出は、現役から老後へと絶え間なく継続していきます。

従って、家計の収支の変化に対応できるようにしておくためには、その準備を、現役のうちから、またすでに老後の生活に入っていても今からするべきです。

そうそれば、自分の家計に適した正しいお金の減らし方が身につきます。もし急にお金がいるときにも、慌てることなく対応できるでしょう。

支出額を知れば、お金を正しく減らしていけます。

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image by:mapo_japan / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 』(2022年11月23日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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