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保険を解約しても本当に大丈夫?もう悩まない家計に合わせた保険見直しの最適解=牧野寿和

「保険に入る本当の理由がいまひとつわからない」との相談をよく受けます。ファイナンシャル・プランナーの視点から、保険に入る目的・必要な保険金額について解説します。(『 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

「保険に入る本当の理由がいまひとつわからない」

「家計支出を見直したいので、現在加入中の保険が適切か見て欲しい」「保険は必要だと思うが、どんな保険に入ったらいいのか教えて欲しい」といった相談をいただくことがあります。

ほかの件で相談にみえた方にも、現在の家計を見直す提案のなかに「保険」の項目を入れることがあります。

このように「家計と保険」もっと言えば家計と保険料の負担は、密接なつながりがあるといえます。

また、相談者さんにぽつりと「保険に入る本当の理由がいまひとつわからない」と言われることもあります。

そこで、なぜ保険に加入するのか。その理由を、家計の負担を含めて、生命保険を例に考えていきます。

保険は、貯蓄と保障を兼ね備えた金融商品

保険商品とは、貯蓄と保障を兼ね備えた金融商品です。

「貯蓄」の面では、近年、銀行の預貯金に預けても利息がほとんど付かない状況が続いています。同じ金融商品である保険商品でも同じように、貯蓄の機能は果たすのはむずかしい状況です。

ただ、外貨建て保険商品の中には、収益が見込める商品もあります。ただし、為替変動や地政学的なリスクを伴います。

なお、最近は国内でも、長期国債の金利が上昇しているように、今後の市場の動向を注視することも重要です。

また、保険の「保障」の面では、生活をしていくうえで万が一のことが起こったとき、その保障を得る機能です。保険に加入するなら、その人にとって、保険に加入する目的に合致した、しかも保険料の負担が少ない、家計に優しい保険商品に加入すべきです。

この先は、この保険の機能について、話を進めます。

なぜ保険に入るのか?

保険に加入する目的は、たとえば、死亡保険に加入する場合であれば、残された遺族の生活の保障のためと、亡くなった方の葬式や法要の費用。事業主で、その事業を清算する費用といった整理資金のためにです。

金額に換算していくらの保障、つまり死亡保険金が必要かは、実際に、計算してみることが大切です。

<必要な死亡保険金額の計算方法>

死亡保険金額はいくらが妥当なのか、その計算方法は、次の通りです。

(1)前述のように、その方が亡くなった時、残された子どもの教育費や生活費といった遺族に必要な金額。そして、亡くなった方自身の整理資金を確認します。

(2)以下など、遺族がこれから得るであろうお金を確認します。

・遺族基礎年金(※1)、遺族厚生年金(※2)の受給額
・勤務先からの死亡退職金
・亡くなった方の配偶者のこれからの収入
・亡くなった方に子どもがいて、またその方の親が存命で、その親からの将来、金銭的に把握できる遺産相続があるときの金額
・そのほか家計に入ってくる根拠ある予定額

(1)-(2)の金額が、必要な保険金額です。

(遺族年金について補足)
遺族基礎年金は、子どものいる配偶者と子どもが18歳(高校を卒業するまで)。遺族厚生年金は、厚生年金加入者の遺族が、受給の対象です。

※1:遺族基礎年金の詳細は、日本年金機構のHP「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」を参照してください。
※2:遺族厚生年金の詳細は、日本年金機構のHP「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」を参照してください。

Next: 保険のかけ過ぎはもったいない。必要な金額をしっかり把握すること



お金が足りているなら保険は不要

保険商品に加入すれば、その保険料の総額は家計支出の結構なウェイトを占めます。支払った保険料に見合う保険商品に加入したいものです。

そのためには、どの保険商品が自分に適しているのかを選ぶことが重要です。

多数の保険商品から選ぶのが難しいのであれば、前述の(1)(2)を自身で計算しておいて、複数の保険外交員や保険ショップで適切な保険商品を選んでもらうのも、ひとつの方法でしょう。

その時には、(1)(2)の計算もしてくれると思います。その計算結果と、自身で計算した結果の違いがないかを確認してみることです。もし違っていれば、その理由が明確であれば、その保険に加入してもいいでしょう。

このように、死亡保険を例にお話してきましたが、保険に入る本当の理由は、万が一のその時に、またはその時以降も生活をしていくために、必要な資金の足りない分を補ってもらうために加入する。これが、保険に加入する理由です。

従って、家計の負担になるような無駄な保険商品に加入することなく、吟味して加入することも大事なことです。

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image by:Chaay_Tee / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 』(2023年1月11日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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