今日は月に1度のお祭りイベントである米国の雇用統計発表が21:30から予定されています。夏時間に移行していますのでご注意ください。また、今日はイースター休暇に絡んでグッドフライデーでドイツや英国が休場となる他、米国も株式市場は休場、債券市場も短縮取引となっており、場合によっては大荒れも…嵐を感じさせるイベントになりそうなので、戦闘体制で臨みましょう!(ゆきママ)
市場の興味はインフレから米国の経済見通しへ
先月のシリコンバレー銀行から始まった金融不安は、FRB(米連邦準備制度理事会)当局による異例の大規模資金供給という形で懸念一巡という流れとなりました。
また、この金融不安からの信用収縮は米国経済に利上げと同じような引き締まり効果をもたらすと考えており、市場の興味もインフレから経済へと移行しつつあります。
実際に最近の米国の経済指標は冴えない数字が並んでおり、インフレもピークアウトし、少なくとも再加熱するような状況にはありませんから、もはやインフレ云々よりも米国がハードランディング(強行着陸)するのか、それともソフトランディング(軟着陸)するのかという議論になっています。
そういった意味で、今回の雇用統計が予想に反して弱かった場合、市場の懸念というのは強まりそうですし、FRBの資金供給で支えられている株式市場にも大きな影響を与えそうなだけに警戒が必要です。
なお、本日は米国を含めた海外の主要な株式市場は休場ですので、影響が週明けに残ることも頭に入れておきましょう。
インディードのリストラは気掛かりだが、引き続き雇用そのものは堅調か
日本でもお馴染みの求人情報・あっせんをしている米インディードが、3月22日に全従業員の約15%にあたる2,200人の従業員を削減する方針を明らかにしました。理由は雇用市場の縮小を上げています。
実際に、今月4日に発表された2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が2年ぶりに1,000万件という大台を大幅に割り込んだことからも分かるように、広告費や賃金アップをして何が何でも労働者を確保するというタームは徐々に終わりに向かっていることが推測されます。
インディードは労働市場の生データを扱っていることから、先を見据えた動きをしているわけで、今後は雇用関連の経済指標も弱い数字が出てくることを想定しておく必要がありそうです。
もっとも、JOLTS求人件数はコロナ直前が750万件前後であり、最新のデータが993.1万件ですから、まだまだ人手不足は続いていますし、先月の雇用統計の労働参加率の改善を見ても、コロナ給付金が尽きた層が、ボチボチ労働市場に参加していることが予想され、雇用者が大きく減るような状況でもないということは注意しておきましょう。
Next: 先行指標は全体的に悪化傾向…雇用統計の結果とトレード戦略は?
先行指標は全体的に悪化傾向、米雇用統計はどうなる?
先に発表された雇用関連の経済指標は、全体的に悪化傾向ですから、あまり強気になれる状況ではありません。一方で、予想は非農業部門雇用者数が+23.9万人増、平均時給が前月比+0.3%・前年比+4.3%とまずまず堅調な数字が並んでいます。
やはり減ったとは言っても求人件数は未だに歴史的な高水準が続いていますから、雇用者数は無難に増加することが予想されています。ただし、平均時給については前年比で+4.3%と減速感のある予想で、ガンガン賃金を上乗せして人材を確保する状況は終わりを迎えつつあると言えるでしょう。
ちなみに金融不安の影響については、今日発表の雇用統計に関しては、あまりなさそうです。雇用統計は12日を含む週の調査で、シリコンバレー銀行の破綻は3月10日ですからね。
即座に大きな影響があるというものではないので、今回に関してはそこまで気にしなくて良いと思います。
どちらにしても下方向?基本はドル円ショート!
仮に非農業部門雇用者数が予想を上回り、なおかつ平均時給も予想を上回るという強い数字が並んだとしても、ドルが極端に買われて円も売られるということはなさそうかなと。上値は限定的な想定で見ています。
雇用が強いことは喜ばしいですが、そうなるとFRBの利上げ継続、高金利継続が織り込まれて、高金利の影響による景気悪化が想定され、最近のゴルディロックス(適温相場)気味の株式市場には冷や水を浴びせられることとなります。
また、悪ければ悪いでドル安にはなりやすいですし、特に初動は非農業部門雇用者数の数字に振られやすいので、それを意識してトレードを考えていきたいところでしょう。
市場の想定としては、雇用者数はまずまず堅調に推移、平均時給は弱めとなっています。最近の経済指標を見るとインフレのピークアウト感は明らかですから、平均時給が強いというのは考えにくい。もし仮に平均時給が強くてドル高でも、株価にとっては押し下げ要因で円高要因でもありますから、トレード的にはやはり戻り売りを意識したい。
さらに、サプライズで雇用者数が大幅に下振れるようなことでもあれば、ドル安からの円高で底抜けもありますから、やはり発表直前に131円台後半から132円という水準にあれば、ショートポジションを持って結果を待ちたいところでしょう。
Next: 基本は「戻り売り」、今夜の想定は1ドル=130.00〜132.50円
今夜の想定は1ドル=130.00〜132.50円
結論としては、平均時給も含めて全体的に予想並のちょうど良い数字が出ないと、ドル円の上昇にはつながりにくいということで、発表直前のレートを見てショートするか、発表前に131円台前半から下のレベルであれば、結果を見てから戻り売りを狙いたいところでしょうか。
雇用者数が予想を上回って発表直後は上昇したとしても、平均時給が強くても弱くても結局は下げやすそうではありますからね。強ければ強いでインフレ継続で株安の円高、弱ければ弱いでインフレピークアウトが織り込まれてドル安です。今回は雇用統計にありがちな前戻しが想定されやすいでしょう。
ただし、瞬間的な値動きはともかくとして、ジリジリと133.00円レベルを上回ってくるのであれば、様子見するかポジションを持ってる場合は一旦損切りで。
また、今回はイースター休暇で海外勢がいないということで薄商いでレートが飛びやすく、かつ約定しにくくなる可能性がありますから、ポジションを少し減らすなどして不測の事態に備えましょう。
それから、この週末で雇用統計の消化が足りずに週明け月曜日まで影響が残る可能性も十分ですので、なるべくポジションを持ち越さないようにしていただければと思います。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年4月7日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による