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ピザハット“配達料導入”に広がる消費者の戸惑い。「配達代込みだから高かったんじゃ?」宅配ピザの“適正価格”を見直すべしとの声も

宅配ピザチェーンの「ピザハット」が、これまで無料だとしていたピザの配達料を、一律250円にすると発表したことが波紋を呼んでいる。

報道によれば、今回の配達料の導入は人件費や物流費の上昇を受けたもので、今月18日からすでに1都1府10県の約50店舗においては先行導入されているとのこと。今後、2023年6月19日には全国の店舗へ拡大する予定だという。

ピザハットのウェブサイトには、「『焼きたて』で『早くて安心』。その品質を守るために、これまであらゆる策を検討してきました。けれど人件費や燃料代が上がるなか、無料で続けることは、どうしても難しくなってしまいました。」と、消費者に対し今回の値上げに関して理解を求める文章も掲載されている。

今年1月にも値上げをしたばかりのピザハット

「ピザーラ」「ドミノ・ピザ」と並んで、日本における宅配ピザ業界“御三家”の一角とされるピザハット。今年で日本上陸50年目だという同チェーンといえば、あのケンタッキー・フライド・チキンの日本法人が事業を展開しているといったイメージも強いのだが、どうやら2017年に投資ファンド「エンデバー・ユナイテッド」系の特別目的会社に譲渡していた模様。

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さらに2022年8月には、九州地方を地盤とする食品商社「ヤマエ久野」の持ち株会社「ヤマエグループホールディングス」が、このファンドから数十億円で全株式を取得。現在は同HDの完全子会社となっているようだ。

宅配ピザチェーンといえば、コロナ禍でも比較的好調だった業態で、店舗数の推移をみてもピザハットを含めた“御三家”に「ナポリの窯」をくわえた大手チェーンは、軒並み店舗数を増やしている状況

ただ、そのいっぽうで折からの原材料費等の高騰とは無縁というわけにはいかず、特にピザ生地の原料となる小麦の大幅値上がりには、大いに悩まされた様子。実際ピザハットでは、小麦の代わりに国産米を生地に使った「ごはんピザ」を登場させるという“奇策”も繰り出しているほどだ。

しかし、それでも長引く原材料費などの高騰には抗い切れなかったのか、ピザハットでは今年1月にピザ単品からサイドメニューに至る幅広い商品の値上げを行ったばかり。

その際のリリースには「昨今の経済環境の変化に伴う原材料費や物流費、人件費やエネルギーコストの高騰により、自助努力だけで吸収することが極めて困難な状況」とあったのだが、なかでも人件費やエネルギーコストの上昇は依然厳しいということで、今回の配達料の新導入に繋がったとのことのようだ。

広がる「宅配ピザの適正価格っていったい…」との声

このところは宅配ピザに限らず、あらゆる飲食店において価格改定という名の値上がりが相次いでいる状況とあって、消費者の間でもその手の話に対しては寛容というか、もはや諦めムードが漂っているといったところ。

しかし、今回のピザハットによる“配達料導入”に関してはちょっと趣が異なり、なかには批判的な声も聞こえてくる状況。というのも、宅配ピザに関しては「配達代込みだから高いのでは?」という見方が、消費者の間でかなり広まっていたからだ。

たしかに宅配ピザは、デリバリーではなく店舗に赴いてテイクアウトにすると、キャンペーン時などだと半額に近い値段になることもしばしば。この決して小さくはない価格差を、デリバリー時にかかる人件費や燃料代だと捉えていた向きにとっては、今回改めて配達料を有料にするという話に、いささか違和感を感じるというのも無理のないところだろう。

そして、さらにSNS上でみられるのが「宅配ピザの適正価格っていったい…」といった意見。

宅配ピザといえば上記の“テイクアウト半額”もそうだが、2枚目を頼むとが半額、あるいは無料といった大出血キャンペーンを、かなり高頻度で行っているといった印象もあるなか、今回は配達料を新たに導入して徴収するということで、「値引きするとこ、お金とるとこ、何か間違ってないか」といった声もあがっているのだ。

ちなみに今回取沙汰されている配達料だが、テイクアウト時には当然ながら加算されないようで、そういった意味では、なんでもかんでも商品価格に転嫁されるよりかはマシだという気もしなくもないところ。とはいえ今回の件で、今まで「ちょっとお高いんじゃ?」との見方も正直多かった宅配ピザの価格設定に対し、改めて訝しげな視線が向けられる事態になっているというのも事実のようだ。

Next: 「今まで配達料を取っていなかったとでも?」



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Image by:Shaun in Japan / Shutterstock.com

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