マネーボイス メニュー

すし銚子丸、人手不足でGW休業も調子は良好?井戸実が飲食店経営者の目線で企業分析

回転寿司チェーンの“すし銚子丸”が人手不足でGW期間中の店内営業を休止とのニュースが話題になりました。“働き方改革”“人手不足の深刻化”という面でニュースでは取り上げられましたが、その実態はどうなののか?謎に包まれた“すし銚子丸”の経営状況の実態に迫ります。(『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』井戸実)

※本記事は有料メルマガ『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』2023年5月3日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にご購読ください。

プロフィール:井戸実(いど みのる)
神奈川県川崎市出身、1978年1月19日生まれ。川崎市で一番偏差値の低い工業高校を卒業後、寿司職人の修業を経て、数社の会社を渡り歩いて26歳で目黒区祐天寺に居酒屋を開業。2006年7月に「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」を開業し、同年9月に㈱エムグラントフードサービスを設立。現在は事業譲渡をして、株式会社TWENTY NINEで「肉流通センター」の焼肉店をチェーン展開する。

すし銚子丸人手不足でGW休業の衝撃

回転寿司チェーンの「すし銚子丸三鷹店」が、5月3日から7日までのGW期間中に、お店を休むという発表がニュースになってました。
参考:すし銚子丸・三鷹店 GW中の店内営業を休止 人手不足が原因 テイクアウト営業のみ-TBS NEWS DIG(4月26日付)

90店舗以上運営している同社が、GWという超繁忙期に店を開けられないって、どんだけそのエリアのマネージャーが無能なんだよ、という話ではあるのですが、情報番組のニュースでは「働き方改革」みたいな偏向報道がなされておりました。

路上インタビューで「GWに飲食店従業員に休暇を取得させるのはどう思いますか?」なんてバカなインタビューを撮っていたのですが、インタビューされた人が「いいんじゃないですかね?いいことだと思いますよ」みたいな回答をしていたのです。

そらぁ、お前からすりゃどうでもいいことだろうけど、郊外で商売してて、GWという最高の稼ぎ時に営業ができないとか、致命的だっていうの!郊外のGW明けの平日なんか、GW時のお金が控えられることで、一気に寒くなります(売上が下がります)。

そんなところで店を開けててもしょうがないですし、休むならGW明けの平日に連休を取るというのが定石です。

GWの期間なんかにどこに行ったって狂ったように混んでるし、ホテルも飛行機も高くなるし、サービスも悪くなる。いいことなんか何もありません。

若い頃は周りの人と休みが合わないので、土日休みに憧れを持ったこともなくはありませんが、歳を重ねると、関わる人の生活習慣などが合う人に絞られて来るので、平日休暇の良さに徐々に気付いて行くこととなります。それに子供の運動会が日曜日に開催されるという時は、休暇を取ればいいだけだしね。

そんなGW休暇の応対をしなければならない「銚子丸」の企業経営の調子はどうなんだろうか?と気になり、経営状況を覗いてみることにしました

超安定企業で盤石な“すし銚子丸”

売上/純利益

12年 179億円/4.3億円
13年 179億円/5.5億円
14年 183億円/6億円
15年 190億円/6.4億円
16年 197億円/5.1億円
17年 195億円/4.5億円
18年 187億円/3億円
19年 193億円/5億円
20年 180億円/▲9300万円
21年 177億円/3.7億円
22年 170億円/10億円

この10年だけのスコアとなりますが、売上は横ばいの状態が続き、コロナで減少しましたが、コロナを軽く乗り切っていることがわかります。直近の22年6月期は、過去最高益を叩き出しましたが、これは14億円の給付金の受給があったためです。

現預金は67億円あり、短期借入金は1.2億円だけしかないので、実質無借金経営です。自己資本比率は71%となっており、超優良企業です。M&Aもやらなければ、海外進出もせず、創業家の親子を中心に経営している実に固い会社です。こうなるともはや揺るぎないですね。

大手回転寿司とは異なり、寿司職人を育てないとできない業態なので、急成長や急拡大を目論むのは難しいオペレーションになってはいるのですが、店舗の隣にスシローが来たとしても戦える体制です。長期にわたって安定経営が可能な会社でありました。

Next: 鰻の産地偽装で破綻した“うな源”社長がさらなる窮地に



鰻の産地偽装で破綻した“うな源”社長がさらなる窮地に

もうひとつ今週気になった飲食業界のニュースがあります。

昨年、中国産の鰻を国産と産地偽装したことが発覚し、経営破綻した奈良県の「うな源」と森本猛央元社長(47)が、法人税法違反の疑いで大阪国税局に告発されました。

森本氏は、レジの現金売上を集計する際に、一部を抜き取るなどをして、売上を少なく見せかけ、2020年9月までの3年間で1億8900万円の売上を隠していました。脱税とされる金額は4,500万円にのぼるそうです。

なかなか荒っぽいよね。破産する前、同社は奈良県の大和高田に本店を構え、あべのハルカスや近鉄百貨店などに、4店舗の弁当店を構えておりました。また、うなぎ加工品に関しては、大和高田市のふるさと納税返礼品にも選定されておりました。

でも、弁当でどんぐらい売れてたかはわかりませんが、仮に1店舗で年商6,000万円を売ってたとしても5店舗で3億円。その規模で年間6,000万円の現金売上を抜くとか、かなりやんちゃよね。

脱税したお金は高級クラブなどの飲食費に充てられていたと報じられております。まぁ事実はどうかわかりませんが、ちょっと酷い印象操作ですよね。

産地偽装・脱税・高級クラブの遊興費と、駄目な飲食店経営者の満塁ホームランな訳ですが、一番のポイントは、大阪国税局が法人税の追徴で勘弁してくれるかどうかです。

法人税の追徴であれば、会社は破産してるので納税原資はどこにもありません。しかし、森本社長が高級クラブで利用して計上した経費を罷免された場合、社長個人の所得と認定されます。そうすると所得税・住民税の追徴課税となる訳ですが、自己破産してても税金に免責はおりません。

まぁいくらか蓄えはあるでしょうから、そんぐらいの納税はできると思いますが、悪いことをすると必ずツケはやって来るもんですね。

続きはご購読ください


※本記事は有料メルマガ『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』2023年5月3日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にご購読ください。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。

2023年4月配信分
  • 井戸実のブラックメルマガVol.596-2/2(4/26)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.596-1/2(4/26)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.595-2/2(4/19)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.595-1/2(4/19)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.594-2/2(4/12)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.594-1/2(4/12)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.593-2/2(4/5)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.593-1/2(4/5)

2023年4月のバックナンバーを購入する

2023年3月配信分
  • 井戸実のブラックメルマガVol.592-2/2(3/29)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.592-1/2(3/29)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.590-2/2(3/22)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.590-1/2(3/22)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.590-2/2(3/15)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.590-1/2(3/15)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.589-2/2(3/8)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.589-1/2(3/8)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.588-2/2(3/1)
  • 井戸実のブラックメルマガVol.588-1/2(3/1)

2023年3月のバックナンバーを購入する

【関連】中国産を国産と偽ったウナギ店、売上も“偽装”で4,500万円脱税。「ウナ丼しっかり食べた」谷国家公安委員長ともども呆れられる事態に

【関連】なぜココイチ「2400円カレー」爆売れ?全メニューが割高でも客が離れない経営戦略=佐々木悠

【関連】飲食店に復活の兆し…投資家は「食品卸」銘柄に大注目!業績拡大が見込める日本企業5社=田嶋智太郎

Image by:Wikimedia Commons

<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』(2023年5月3日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

有料メルマガ好評配信中

<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ

[月額880円(税込) 毎週水曜日(年末年始を除く)]
2010年度外食企業売上高伸長率で日本一となった株式会社エムグラントフードサービスの創業者オーナーです。2011年9月で会社設立から丸5年を迎えます。たった5年で総店舗数260店舗以上。売上高で165億円の社を作った軌跡の一部をメルマガにてお伝えします!

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。