このところ外食に関連する銘柄が年初来高値を更新するケースが相次いでいる。当然、外食会社の収益が好調であれば、そこに食材などを卸売りする各社の収益も好調であると考えられ、目下の市場では食品卸に携わる各社の評価も高まっている。具体的な事例、銘柄を挙げておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2023年4月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
外食銘柄が復調…となれば「食品卸」も!
このところ外食に関連する銘柄が年初来高値を更新するケースが相次いでいる。
その多くが2月本決算で、好決算の発表が相次いだということもある。各社が発表した23年2月期の決算では、原材料高などを転嫁した値上げが奏功し、好業績をあげる企業が多かった。例えば、ドトール・日レスホールディングスは、14日に発表した23年2月期決算を受けて、同社の24年3月期の連結純利益が前期比57%増の53億円になる見通しと発表。新型コロナウイルス禍で苦戦したオフィス街でビジネス客の需要が回復する。22年12月に主力 業態「ドトールコーヒーショップ」などで約7割の商品を値上げしたことも利益を押し上げる。
当然、外食会社の収益が好調であれば、そこに食材などを卸売りする各社の収益も好調であると考えられ、目下の市場では食品卸に携わる各社の評価も高まっている。以下に、具体的な事例、銘柄を挙げておきたい。
トーホー<8142> 4月14日に年初来高値更新
レストランやホテルなど外食産業向けの業務用食材卸の最大手。業務用食材店「A-プライス」は店舗販売で、他にオンラインショップや生鮮3品中心の食品スーパーも展開する。
柱の卸売りは外食・ホテル向けがコロナ影響消えて回復が続く。Aープライスが好調であるうえ、インバウンド需要も復活している。
24年1月期は、売上高が前期比0.7%減の2140億円、営業利益は同4.1%増の38億円、純利益は同98.7%増の20億円と過去最高を更新する見通し。当面は、PB開発を加速し、品目や領域拡大も図る方針。
株価は、昨年1月以降、基本的に右肩上がりが続いており、目先は一旦調整で押し目を形成することが期待される。今期は年60円配と大幅増配(前期は35円)予想で、足元の配当利回りは2.55%になる。
デリカフーズ<3392> 4月21日、年初来高値を更新
青果物の専門商社。外食産業などにホール野菜の販売、カット野菜(調理しやすい状態に加工済食材)の製造・販売を手掛ける。生産者からの仕入れ、カット野菜の製造、店舗へのチルド配送など一貫提供する。
足元は外食主軸に顧客が広がり、カット野菜が想定を超得る高い伸び。売価の改善効果で営業利益の伸びも続く。23年3月期は、売上高が前期比18.1%増の470億円、営業利益は前期3.9億円の赤字から5.5億円の黒字に転換、純利益は前期7.4億円の赤字から5.4億円黒字に転換して過去最高を更新する見通し。
24年3月期はカット野菜を中心に外食、量販・小売り向けが順調する見通し。ミールキット伸びる公算が大きく、株価は21年10月高値から22年12月安値までの下げに対する61.8%戻しの水準を上抜ける勢い。21年10月高値=679円を視野に入れる。
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