さくらインターネット(3778)の株価が、2026年4月初旬にわずか数営業日で53.4%急騰しました。きっかけは米マイクロソフトによる日本への約1兆6,000億円の投資発表と、さくらインターネットとの協業報道です。しかし「現時点で具体的に決まっている事項はない」との開示もあり、買い一巡後は売りに押されています。今回は、「なぜ急騰したのか」「会社の実態はどうなのか」「これから買っていいのか」を順番に解説します。この記事を読み終えれば、さくらインターネットに対して自分なりの投資判断ができるようになると思います。(『勝ち株ガイド | Invest Leaders公式メルマガ』金融ライター K.Y)
プロフィール:金融ライター K.Y
金融ライター、日本投資機構株式会社 経済メディア『インベストリーダーズ』執筆。2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。
データセンター・クラウドの老舗
さくらインターネットは、1996年創業のデータセンター・クラウド会社です。
東京・大阪・石狩(北海道)にデータセンターを構え、企業がインターネットサービスを動かすための「土台」を提供しています。
サーバーの貸し出し、データの保管、システムの稼働環境など、インターネットインフラを支える事業を行っています。
「日本のデータは日本で管理すべきだ」という信念のもと、国内基盤の整備を続けてきた点が特徴です。
国産クラウドとして、外資系サービスへの依存を減らしたい企業や官公庁から支持を集めています。
さくらインターネットの株価が動いた3つの材料
続いて、これまでのさくらインターネットの株価推移を振り返っておきましょう。
2023年の年初に498円だったさくらインターネットの株価は、同年末には2,209円まで上昇しました。
その後、2024年3月7日には高値10,980円を記録しています。この上昇を引き起こした主な材料は3つです。

【3778】さくらインターネット 週足チャート 2023年5月15日~2026年4月16日
※TradingViewより引用
<(1)政府クラウド(ガバメントクラウド)への選定>
2023年11月、デジタル庁が主導するガバメントクラウドに、国産事業者として初めて条件付きで選定されました。
その後、2026年3月27日には正式採択が発表されています。
23年3月期と24年3月期は業績が伸び悩み、あまり注目されていない銘柄でしたが、これを機に「国策」銘柄としての期待が一気に高まりました。
<(2)NVIDIAとの連携発表>
2023年12月、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来日し、さくらインターネットと連携する意向を示しました。
生成AIブームの中で、GPU基盤を持つ国産クラウドとしてさらに注目を集めるきっかけとなりました。
<(3)生成AI向けGPU基盤への大規模投資>
さくらインターネットは、経済産業省から約565億円の補助金を受け、2028年までに合計1,000億円規模を投じてGPUを1万基整備する計画を発表しました。
石狩データセンターを拡張しながら、エヌビディアのGPUをH100・H200・B200と段階的に積み上げる構想です。
これら3つの材料が重なり、2024年3月に株価は高値10,980円まで上昇しました。
しかし2024年末は4,450円、2025年末は2,780円まで下落しています。
<PER1,000倍超え|テーマ株としての評価>
2026年4月16日時点のさくらインターネットの株価指標は、PER1,110倍、PBR4.92倍です。
現在の利益水準で見れば割高ですが、これは市場がさくらインターネットを「安定成長株」ではなく「テーマ株」として評価しているためです。
国策・AI・国産クラウドという3つの期待が重なるとき、株価は目先のEPS(1株当たり利益)ではなく、将来の事業拡大を先取りして動きます。
その分、期待が外れたときの下落も大きくなります。
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