今回は百貨店の三越伊勢丹ホールディングス<3099>についてです。百貨店というと、“オワコン”と言われて久しいですが、足元で百貨店の業績や株価は非常に伸びています。コロナ禍からの反動というところはもちろんありますが、三越伊勢丹の経営は百貨店復活を期待させるものでした。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
コロナ禍からの百貨店の再興
まずは株価を見てみましょう。
コロナ禍で一時は500円台まで下がりました。
その後、コロナ禍の終焉(しゅうえん)とともに上がってきていましたが、特に今年に入ってからの上昇が凄まじいです。年初には1,500円くらいだった株価が今は3,000円くらいと約2倍になっています。
次は業績を見てみましょう。
コロナ禍の2021年3月期は赤字でしたが、黒字に転換して以降はぐんぐん上がり、2024年3月期には最高益を計上しています。
この最高益というのも、今までの最高益のほぼ倍という大幅な更新です。
グラフでは「売上高」が減っているように見えますが、2022年3月期に会計基準が変更され、それまで売上高に計上されていたものが計上されなくなりました。
実際の売上としては、横ばいか少し減っているかというところです。
売上はほとんど変わっていない中で、利益が大きく伸びたということです。
売上は変わらずに利益が増えたということは、コストが減ったということですが、明確に減ったコストがありました。
2018年3月期には1万4,000人いた従業員が一気に減っていき、直近では9,467人となっています。
従業員が約5,000人減っていて、かなり大鉈を振るったことが見て取れます。
地方の店舗を多く閉店し、いわゆるリストラを進めてきたのです。
一方で、都心部の店舗に資源を集中させています。