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海外投資家が日本国債を3週連続で買い越し!出口政策への影響に懸念=久保田博幸

12月2日~8日の対内中長期債投資は、過去最高の買い越し額になったと財務省の発表がありました。海外投資家によるこの買いが、日本に与える影響を解説します。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

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海外投資家が日本国債を大量買いした背景とは?

対内中長期債投資は、過去最高の買い越し額に

財務省が13日に発表した12月2日~12月8日の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、対内中長期債投資は1兆7,175億円の買い越しとなった。買い越しは3週連続となり、2005年1月までさかのぼる財務省のデータによると、これは過去最高となるそうである(ロイターとブルムバーグの記事参照)。

財務省の対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)をあらためて確認すると、12月2日~12月8日は短期債も1兆9,616億円買い越しており、短期債も加えると3兆6,791億円もの買い越しとなっていた。

日本の債券市場は10月下旬あたりから上昇基調となっているが、この背景にはこのような海外投資家による根強い買いとともに、米国債の上昇があった。さらに債券先物はナイトセッションの出来高も多くなっていることから、海外投資家は債券先物にも仕掛け的な買いを入れていたように思われる。

海外投資家が中短期債を主体に日本国債を購入しているのは、ドル円ベーシススワップの上乗せ金利が拡大していたことが背景にあった。ドルを円に替えて投資すると上乗せ金利が発生し、多少のマイナス金利でも利ざやが稼げるという仕組みとなっている。

これに対して日本国内の投資家にとっては、すでに10年近い金利がマイナスとなっていることで、10年未満の国債で満期資金運用するとマイナスの収益となってしまう。このため、日銀担保などの用途以外ではマイナス金利となっている中短期債には投資しづらい環境にある。

Next: 日本国債がここまで買われるのに、どんな意味があるのか

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