カレーチェーン大手のココイチの期間限定カレーが話題です。ライスよりも大きい肉塊が乗ったボリュームたっぷりのこのカレーは、お値段なんと2,371円!一番大きいサイズの値段ですが、従来のカレーでは考えられない値段です。しかし、このカレーが一部店舗で販売終了を前倒しするなどヒットしています。なぜこのカレーが売れるのでしょうか?今回はこの脅威のカレーを生み出したココイチを分析します。2,400円カレーがヒットした理由を分析すると、ココイチが成長してきた軌跡がわかります。早速見てみましょう!(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
働く「野郎メシ」としてニーズを掴む
話題になっている「ココイチ」のカレーを見てみましょう。
出典:ココイチ番屋HP
改めてこのボリュームに圧倒されますが、なんとこれでも中サイズ(1,951円)です。2,371円の大サイズはさらにお肉の量が増えます。
ある記事では、来店者の8割が注文していたという話もありますから、とても人気です。ではいったい誰がこのカレーを食べているのでしょうか?
そもそも、あなたはココイチにどんなイメージを持っていますか?
おそらく「具がない」「チェーンのわりに高い」「トッピングがたくさん」こんなイメージをお持ちではないでしょうか?この決して安いわけではないカレーを食べている顧客の中心は30〜50代の男性です。
※参考:ファン層の拡大を目指し2年連続で「日向坂46」を起用 – 宣伝会議
つまりこのカレーの肉肉しいボリュームが、お金に余裕がある男性のニーズを掴んだためヒットしたのだと推察します。
お金がある男性と値下げしない方針が合致している
では、30〜50代のニーズはなんでしょうか?それは「多少お金を払ってもガッツリ食べたい」だと思います。
そして、ココイチのカレーはトッピングの多さが魅力であり、揚げ物やチーズをトッピングすれば1,000円を簡単に超えてしまいます。逆に言うと、トッピングをしなければ具なしのカレーとなり、ココイチへ行く意味はほとんど見出せません。
また、ココイチは1978年に創業し45周年を迎える企業です。そして、創業者の宗次 德二氏のモットーは「薄利多売は不幸になる。だから値下げは絶対にしない」です。このモットーは2023年現在も受け継がれており、やや高めの価格設定を行っています。
だからこそ、学生など若年層ではなく、働く男性に受け入れられるのだと思います。
このように経営と顧客がうまく噛み合い、高めの価格設定と顧客のニーズがハマっているのです。
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