10月1日から実施が予定されており、今のところ止められる見通しがまったくたっていない「インボイス制度」。実はこれが始まると、国内の声優業界ではフリーの声優たちの仕事が立ち行かなくなり、廃業を決断する人も激増し、アニメ業界は深刻な状況に直面しつつあります。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
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10月開始「インボイス制度」で声優の3割が廃業?
10月から実施が予定されており、今のところ止められる見通しがまったくたっていないインボイス制度。
実はこれが始まると、国内の声優業界ではフリーの声優たちの仕事が立ち行かなくなり、廃業を決断する人も激増し、アニメ業界は深刻な状況に直面しつつあります。
『ガンダム』シリーズなどのアニメプロデューサーの植田益朗氏、『機動戦士Zガンダム』エマ・シーン役で知られる声優の岡本麻弥氏、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』キャラクターデザインや『呪術廻戦』総作画監督を務めたアニメーターの西位輝実氏らは6月22日、東京の日本外国特派員協会でインボイス制度の中止を求める記者会見を開きました。
その中の発言では、インボイス制度の導入によって実に国内声優の30%が廃業を検討するという厳しい話もでてきています。
国内声優にとっては適格請求書発行事業者になるのは至難の業
インボイス制度を乗り越えるなら「課税事業者になればいいだろう」と気楽なことを言う向きが多いのには閉口させられます。
まず、この課税事業者になるためには「適格請求書発行事業者」の登録が必要となります。
しかしながら、その登録適用要件は「年間の課税売上高が1,000万円以上」であること、「正しく帳簿を記帳していること」となっています。
若手声優にとってはとてもクリアできず、結果的に取引先から消費税の仕入税額控除を受ける
ことができなくなり、自動的に消費税分の所得が減額されるという危機に直面することになるわけです。
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クールジャパンの目玉コンテンツだった「アニメ」は立ち行かない
2013年、安倍元首相のもとで政府と電通など官民ファンドによる海外需要開拓支援機構が設立され、クールジャパン戦略は「クールジャパン機構」が管轄することとなりました。
このクールジャパン戦略では、外国人が「クール!」ととらえる日本の魅力を積極的に情報発信
していくとともに、海外への商品・サービスの展開、インバウンド消費の効果的展開などが盛り込まれていました。
その軸になったのが、食やポップカルチャーとともに「アニメ」であったわけです。
当該戦略にのっとれば、本来「アニメ産業」はもっと大切にされるべき貴重なコンテンツプロバイダー産業であるはず。
しかし、岸田政権はインボイス制度の導入にあたっては、こうした声優の仕事に一切配慮をみせず、十把一絡げ(じっぱひとからげ)にぶった切ろうとしていることが見えてきます。
これがバイデン政権からああだこうだと指図されるような領域の話ならば、対米従属から諦めざるをえないこともあるのでしょう。
しかし、自国の独自戦略の要であるアニメ産業を維持拡大するという名目でも、なんら個人
事業主としてやっている声優たちに配慮すらしない岸田首相の超冷たい対応は、業界を一気に冷え込ます重要な局面に陥らすことは必至。
いま一度「インボイス制度」の実施を考え直すことを強く要望したい状況です。
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『
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』(2023年7月2日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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