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宮崎駿の新作『君たちはどう生きるか』スラムダンク方式の採用は裏目に?情報統制が完璧すぎて各地でガラガラとの報告多数、『鬼滅』へのリベンジに暗雲か

宮崎駿氏が監督を務めるスタジオジブリ最新作の映画『君たちはどう生きるか』が、7月14日に公開され、様々な反響を呼んでいるようだ。

宮崎氏としては、2013年公開の『風立ちぬ』以来となる監督作品。ジブリ公式サイトにて明かされた制作の経緯によれば、企画書が書かれたのが2016年夏で、2017年8月には作画インとなり、製作が本格的にスタート。そこから足掛け7年で公開日を迎えることになったという。

また、その制作の経緯では「まっさらな状態で映画を観て欲しいという思いから、今回、宣伝をほぼせず、情報もほとんど出さないできました」と、これまでこれといったプロモーション活動がほとんど行なわれず公開日を迎えたことの理由も記されている。

情報漏洩防止のためパンフも作らず?

2013年の『風立ちぬ』公開の際に、長編アニメーション映画製作からの引退を発表していたものの、2017年にスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが新作長編の準備に入ったと語り、事実上の“引退撤回”だと話題になっていた宮崎駿監督。

その“新作長編”が他ならぬ、今回公開された『君たちはどう生きるか』だったようなのだが、2017年時点では“19年完成”を目指しているとの話もあったよう。作品への熱いこだわりゆえの制作期間の延長もあったと思われるいっぽうで、その後のコロナ禍突入も、完成・公開時期の後ろ倒しに影響を与えたとも想像されるところだ。

しかしながら、これまで数々の名作を世に送り出した宮崎駿監督の新作となれば、公開前から大いに注目されてしかるべきといったところだが、今回は事前にあらすじや予告映像、キャスト、主題歌発表など情報が一切ない状態で公開を迎えることに。

作品に関する情報漏洩のリスクを極力抑えたいということなのか、劇場で販売される作品パンフレットに関しても、なんと公開当初には発売されず、後日発売(発売日未定)になっているという徹底ぶりだ。

この点に関しては、先述の鈴木プロデューサーは昨年12月時点で、いわゆる“スラムダンク方式”で行くことを、早々と宣言していたとのこと。

昨年12月に公開されたアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』では、メインキャスト5人のキャストをテレビアニメ版から一新することを、公開1か月前に発表したことが話題になるなど、作品のビジュアルなども含めた作品の情報を小出していくという異例の宣伝戦略を採用。あらすじに至っては、公開前に明かされることはなかったのだが、それが功を奏したのか、作品興収が150億円に迫る大ヒットとなったのだ。

「理解が追いつかない」との声も

もちろん、こういった“成功例”に倣うといった思惑もあるいっぽうで、事前に何も情報が無いまっさらな状態で、作品を見てもらいたいといった意図も垣間見える、一部からは“サイレント興行”とも呼ばれるこのスタイル。だが、公開初日の状況を見るに、今のところはその“悪影響”が目立っているといったところ。

というのも、事前のプロモーションがほとんど行われなかったということで、どうやら宮崎駿監督の新作がいよいよ公開されるといった、いわばベース中のベースといった情報すらも十分に周知されていなかったのか、公開日である14日の劇場は「ガラガラだった」という報告が全国から相次ぐことに。

都内の一部劇場では盛況だったという声も一部からはあがっていたものの、ネット上やメディアにおいて今作に関して大いに取沙汰され始めたのが昨日今日からといった状況で、しかも公開日が3連休直前の平日ということもあってか、よほどのファンか暇な学生などでない限り、急には見に行けなかったということなのかもしれない。

また今回は作品ビジュアルも、事前に公開されていたのがポスターに描かれていた“謎の鳥”だけだったということもあり、映画興行会社「ユナイテッド・シネマ」の鑑賞キャンペーンで提供される販促品が、トートバッグやマグカップなど様々あるものの、すべてが同じ鳥が描かれたデザインとなっており、SNS上からは「シュール」だとのがあがっているという。

いっぽうで、先述した『THE FIRST SLAM DUNK』に関しては、声優陣がTV版から一新されたことへの拒否反応も大きく前評判は最悪だったものの、公開後のクチコミでは絶賛の声が溢れ、そのことが大ヒットに繋がったわけだが、今回の『君たちはどう生きるか』に関しては、「上映後は拍手が起きた」といった声もあがっているいっぽうで「宮崎駿史上初の駄作です」との声もあり、評価は激しく分かれているといったところ。

また、そのタイトルからしても、事前に心配されていた“説教臭さ”に関しては、言及する声がさほどなかったものの、「一度観ただけでは理解が追いつかない」といった趣旨の声が多いなど、その難解ぶりも大いに取沙汰されているようである。

宮崎駿監督作品といえば、これまで興収100億円超えのヒット作品を数々生み出したものの、最後の監督作品だと見られていた『風立ちぬ』は興収80億円程度と、少々寂しい結果に。また、その『風立ちぬ』以降の10年間には、他のアニメ映画で興収的に大成功を収める作品が多く出現し、『千と千尋の神隠し』が長らく君臨していた日本における歴代興収トップの座も、2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に譲ることとなった。

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今作は、それらのことへの“リベンジ”といった思惑も大いに込められていそうなのだが果たして思うような結果を残すことはできるのか。もっとも公開後になり、声優陣が菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉などの錚々たるメンバーで、また主題歌は米津玄師が担当していることが判明し、俄然注目度がアップしているところで、15日からの3連休の動員とそれらのクチコミの内容が、明暗を大いに分けることとなりそうである。

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