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終映迫る劇場版『ONE PIECE』、悲願の“興収200億円”超えのため特典乱発の必死ぶり。挙句の果てに“転売ヤーも利用”と批判が殺到

今月29日に終映する人気アニメ『ONE PIECE』の劇場版『ONE PIECE FILM RED』だが、15日に新たな入場者特典を配布することが発表。ファンからは素直に喜ぶ声があがるいっぽうで、興収の積み上げに必死だといった冷めた声も多く飛び交っているようだ。

報道によれば、終映まで残り僅かとなった本作を映画館で鑑賞した人へTHANK YOUグッズということで、21日から「ONE PIECEカードゲーム フィナーレセット」が配布開始になるとのこと。くわえて28日と29日には2日間限定で「クライマックスクリアファイル」を終映記念として配布するようだ。

また、15日から終映の29日までの期間限定で、本編の後にフィナーレ映像を上映。さらに終映前日28日には、田中真弓さんをはじめとした麦わらの一味声優陣やウタ役の名塚佳織さんらが集っての舞台あいさつの開催も決定しており、その模様の全国生中継も実施されるようだ。

都合14度目の特典配布に?

日本国内における歴代の興行収入第1位作品といえば、2020年に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で、その額はなんと404.3億円。以下『千と千尋の神隠し』『タイタニック』といった作品が続くなど、歴代興収トップ10のうち7作品がアニメーション映画といった状況である。

そんななか、今回取沙汰されている『ONE PIECE FILM RED』だが、その興収は2023年1月9日時点で190.6億円と歴代9位の位置。配給会社の東映は、それまでの年間興収の最高記録が09年の179億8,025万4,340円だったのが、2022年は同作品だけで約187億円を記録するなど、年間興収は325億6,366万570円と過去最高の数字になったとのことだ。

このように現時点でも東映はもとより、日本映画の歴史にも残る大ヒット作だと言えそうなところなのだが、配給側としては残り期間の“追い込み”によって、キリの良い興収200億円超えを狙うとともに、他社配給作品である『ハウルの動く城』(歴代興収196.0億円)、『もののけ姫』(同201.8億円)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(同203.0億円)あたりの歴代興収も、一気に抜き去りたいといった思惑の模様。

しかしながら、今回の『ONE PIECE FILM RED』に関しては、入場者特典の乱発が過ぎるのではないか、といった声もかねてから多数あがっているところ。実際、今回実施されるもので特典配布はどうやら“第14弾目”、あるいは数え方によってはそれ以上との声もあり、22年8月公開から今月末の終映までの約5か月間のうち、半分以上の週で何らかの特典が配布されていたとの指摘もあるほどなのだ。

とはいえONE PIECEのファン、なかでも“ガチ勢”と呼ばれるような熱狂的マニアとしては、後日再び手に入れることが困難になりそうなアイテムなら、なんとしてもゲットしてコレクションしたいということで、新たな特典配布の度に劇場に足を運び、同じ作品を再び観るということに。

要は今や200億円に迫り、今後それを超えそうな歴史的な興収は、そんなONE PIECEファンらのマニア心を過剰にくすぐることで、成し遂げたものといっても過言ではなさそうということで、これが今の時代の映画の楽しみ方といえばそれまでなのだが、それにしてもやり方が露骨すぎないかと、違和感を訴える声が噴出しているというわけだ。

まさに切り札“トレカ配布”で転売ヤー大挙か

いっぽうで、残り約半月という短期間で興収を大きく上積みし、悲願の200億円超えを狙うため、いわば“切り札”という形で繰り出したのが、巷で人気のトレーディングカード「ONE PIECEカードゲーム」の終映記念限定バージョンだ。

【関連】私的流用2.5億円「カードラボ」前代表の脱税発覚。市場規模が急拡大中のトレカ業界だけに“氷山の一角”との憶測も多数

2021年度にはその規模が過去最高となるなど好調な国内玩具市場だが、その好調ぶりの牽引役となっているのが、言わずと知れたトレカ業界。

シリーズ誕生から数十年が経つ「遊戯王OCG」「ポケモンカードゲーム」などといったタイトルがなかでも根強い人気を誇り、過去の希少なカードなどはその価格が高騰。またコレクター層が増えたことで、カードが資産価値があるものとして注目を集めるようにもなり、最近ではそれらを狙ったカードショップへの窃盗事件も急増するなど、いわば社会現象と言えるような活況を呈している。

そんななか発売開始は22年7月と、数あるタイトルのなかでも後発組といった「ONE PIECEカードゲーム」だが、もともと世界的にも人気の作品を題材にしたトレカということもあって、発売直後からその人気が大爆発。レアなカードの価格は早々に高騰し、いわゆる転売ヤーによる高額転売も横行していると、各メディアで取沙汰されるほどだ。

それだけに、15日から特典として配布されるという「ONE PIECEカードゲーム」に関しても、後々レアなものとなるのではという見方もされているところ。ゆえに今回の上映に関しては、トレカとしての資産価値上昇を見越した転売ヤーらも、大挙して劇場に訪れるのでは……としきりに取沙汰されているのだ。

配給側としては、純粋なONE PIECEファンにくわえて邪な転売ヤーらまでも大いに呼び込み、興収200億円突破に向けて盤石な態勢といったところかもしれないが、世間で蛇蝎のごとく嫌われれている転売ヤーを利用してまでも興収を増やしたいのかと、これにはさすがにドン引きといった反応が、SNS上で溢れているといった状況。

最近では、人気漫画『SLAM DUNK』の劇場版『THE FIRST SLAM DUNK』に関して、声優陣の全交替やスタッフが原作を茶化すといった出来事もあり、上映される前から批判が殺到するといった出来事もあったが、逆に『ONE PIECE』は終映も間近といったこのタイミングで、思わぬ形で評判を落とす格好となっているようだ。

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