トレーディングカードの販売などを手掛ける「カードラボ」と西浦恵一郎前代表が、1億5000万円余りの所得を隠し脱税したとして、刑事告発をされたと報じられ、大きな反響を呼んでいる。
報道によると西浦前代表は、知人男性から「遊戯王OCG」や「ポケモンカードゲーム」の希少カードを仕入れたように装って所得を圧縮。虚偽の請求書に基づいて、カードラボから知人の銀行口座に資金を移し、その後95%程度を返金させて、自らの口座に入れていたという。
いっぽうカードラボ側は、西浦前代表が会社の資金を私的に流用するため、代表の立場を利用して不正に手を染めたと主張しており、不審に思う社員はいたものの、社長の指示なので逆らえない空気があったということ。西浦前代表が私的に流用した会社の資金は合わせて2億5,000万円にのぼるといい、本人はその資金を趣味であるワインの購入や遊興費に充てたと説明しているという。
なお、カードラボはすでに修正申告を済ませているといい、今後は西浦前代表を刑事告訴する方針だという。
急拡大するトレカ市場
先述の「遊戯王OCG」「ポケモンカードゲーム」にくわえ「デュエル・マスターズTCG」といった、シリーズ誕生から数十年が経ち、世代を超えて親しまれているものはもちろん、
最近では「ワンピースカードゲーム」も販売開始直後から注目を集めるなど、大いに盛り上がりをみせているトレカ業界。
日本玩具協会が毎年発表している国内玩具市場規模において、2021年度は8946億円と前年度比で8.5%増加と、統計を取り始めて以来としては過去最高の金額に達したのだが、なかでも「カードゲーム・トレーディングカード」は、同じく21年度は1782億4900万円と前年比で実に45.6%増、金額では558億円増と、国内玩具市場の好調維持の牽引役となったようだ。
このようにトレカ市場の盛り上がりとともに活況を呈しているのが、今回取沙汰されているカードラボも含まれる中古トレカ市場で、その市場規模は上記のいわゆる“一時流通”を上回っているという話も。
時計やスニーカーなどと同様に、トレカに関しても希少なものはカード価格が高騰。それによってコレクター層が増えたことで、資産価値があるものとして注目を集めるに至ったということだが、近年ではフリマアプリやSNSの普及で海外ファンとも取引が容易になったのもくわえ、さらにはコロナ禍も取引の活性化に寄与したという。
実際、ネットショッピング・オークション市場におけるトレカの取引推移を調査したというデータによると、1回の取引あたりの平均落札額は、2018年は2,151円であったのに対し、4年後の2022年には5,507円と、実に約2.6倍もの値上がりとなっているというのだ。
取引価格も高騰の一途と、もはや子どものおもちゃだとは侮れない資産性を備えるトレカだが、そのいっぽうで同じ型番のカードでもキズや汚れなどの有無やカードゲームの公式大会におけるルール変更、あるいは扱っている店によっても、その価格が大きく変わったりまちまちだというのも常。そういったところが逆に、今回のような脱税に関しては好都合で、カードの価値が分からないだろう国税にはバレないと高をくくってしまったのでは……といった見方も、一部からはあがっているところだ。
メロンブックスの社長がカードラボに移動になってたけど、これのからみだった…
中古トレカは原価や売価がまちまちだから、脱税やりやすいのかな? https://t.co/EWDVSIrvYp
— もりべ (@mo_ri_be) December 1, 2022
あーあ。
架空仕入れかあ。
4,500万ってことは1.5億くらい?
カードの価格なんて国税はわからないとはいえやりすぎなんだよね( ˙꒳˙ )アニメイト関連会社を告発 4500万円脱税疑い | 2022/12/1 – 共同通信 https://t.co/EDyATASPVQ
— ハンプティダンプティ (@hampti_dampti) December 1, 2022
「見えない汚れ」を理由に査定額ダウン?
このように“値段があってないようなもの”といった感もあるトレカだが、それらを扱うカードラボに対しては、この手の商売を手掛ける業者の宿命でもあるのだが、買取価格の多少などを巡って、利用者からの不満も少なからずあった模様。
当然トレカ販売店側とすれば、安く仕入れて高く売るというのが商いの常道中の常道であるのは間違いないのだが、カードラボはその一環としてカード査定の際に、なんと「見えない汚れ」という理不尽を通り越してもはや笑ってしまうような理由で、買取価格を減額していたと、かなり広範囲で噂されているというのだ。
一部からは「見えない汚れ=在庫過多なのでいらない」という意味らしい……という説も浮上しているこの話。とはいえ、そんな理由でトレカの値段を買い叩かれたといった向きからは「会社の方に見えない汚れ」という風に、今回の件を揶揄する声が。さらには、従業員からの密かなSOSサインだったのでは……といった憶測も一部からは飛び出しており、トレカ愛好家の失笑を誘っているようだ。
カードラボって言ったら見えない汚れがあるので減額ですでお馴染みの企業だから
脱税を前社長がしてたって見ても
やっぱり黒の場所はやってるんだなと認識— レダ (@Rduzx) December 1, 2022
カードラボ買取担当「ここ見えない汚れあるので減額です~~笑」
東京国税局「会社の方に見えない汚れがあったので刑事告発します~~笑」— しげわら .受験 (@Shigewara_DMP) December 1, 2022
某所のカードラボで開けたてのプリシクを「見えない汚れがあるので値下げでの買取になります〜」言われて「見えない汚れは汚れてないのでは?」って釈然とせんくて許して無かったけどカードラボの方が見えない汚れひどかったからどうでも良くなってきた
— みとがわ (@mitogawa) December 1, 2022
買い取りの見えない汚れ問題、従業員からの密やかなSOSサインだったのか
— ゴトウ (@gotaka_8june) December 1, 2022
とはいえブームが過熱の一途といったなか、荒稼ぎしている業者や個人もかなり多いと囁かれているトレカ界隈。それだけにSNS上からは、今回の件に関して“氷山の一角”といった見方も少なからずあり、事件の余波が続くことも大いに考えられそうだ。
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