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海鮮丼が7000円近く…2月開業「豊洲 千客万来」飲食店のあからさまな価格設定に「インバウン丼」「格差を見せつけ…」との嘆きが噴出

東京・豊洲に2月1日にオープンする「豊洲 千客万来」のフードコートにおいて、海鮮丼が高価なもので7,000円近くという価格設定がされていることが分かり、大きな波紋を呼んでいる。

豊洲市場に隣接するエリアに登場する「豊洲 千客万来」は、温泉に入れる「温浴棟」と様々な食事が楽しめる飲食店街の「食楽棟」の2つからなる施設。今回取沙汰されているのは、その「食楽棟」に出店予定のとある飲食店のメニューのようだが、本マグロを用いた海鮮丼が軒並み6,000円台と、一般的な海鮮丼と比べてもかなり高額な価格設定に。

インバウンドの海外富裕層をターゲットにしたと思われる明らかな“観光地価格”な値付けに、SNS上では「インバウン丼」なる新語まで登場。さらに「格差を見せつけられた感じ…」「いままでは日本人が観光地でボラれる側だったけど、いよいよ逆になってきたか」などといった嘆きの声も広がっているようなのだ。

事業者の撤退が相次ぎ遅れに遅れての開業に

移転問題のすったもんだを経て2018年にようやく開場した豊洲市場だが、当初はその市場と合わせてオープンする予定だった、隣接の商業・観光施設。

ところが、最初に都から運営を委託されていた大和ハウス工業と「すしざんまい」を運営する喜代村の2社は、東京都と計画を巡って揉めてしまい、2015年になって相次いで撤退することに。

その後、代わりの事業予定者として選定されたのが万葉倶楽部だが、小池百合子都知事による市場移転延期表明、そして旧築地市場跡地の活用方針を巡って、またもや都側と対立する展開となり、こちらも一時は“撤退”を示唆したこともあった。

その後、両者の関係はなんとか修復したようだが、こういった事業者の度々の交代にくわえ、さらにコロナ禍への突入といった不測の事態もあり、当初抱いていた“東京五輪前のオープン”というプランはもろくも崩れ、このタイミングでの開業となったわけだ。

ただ、事業者の万葉倶楽部としては当初、170のテナント誘致を提案していたということだが、誘致のタイミングとコロナ禍が重なってしまったこともあって、最終的には約70店と計画の半数以下にとどまったとのこと。

さらに、開業後に観光スポットとしてのライバルとなりそうだと目されているのが、他でもない築地場外市場。

市場自体が去った後も営業が続く築地の場外市場では、コロナ対策の緩和を受けて、最近では“食べ歩き”の人気が沸騰しているといい、インバウンドも多く訪れているとのことだが、そんな築地が銀座からも至近の好立地なのに対し、都心からのアクセスがやや不便な豊洲はどうなるのか……といった懸念もあるようだ。

このように、いわば“厳しい船出”であるとの見方も多い「豊洲 千客万来」なのだが、その直前のタイミングで追い撃ちのように拡散された、今回の“インバウン丼”な価格設定だけに、下手をすると日本人客の出足に影響が出るのでは……と心配になってしまうところなのだ。

高級店だけでなくラーメン屋などもラインナップ

もっとも“観光地価格”といったものの類は、別に今に始まった話ではないのだが、富裕層が多いインバウンドをターゲットとした、地元の日本人からすれば「法外な価格では?」と思ってしまうような価格設定が、大いに取沙汰されるようになったのは近年のこと。

つい最近も、海外からスキー客が大挙して訪れ、今や一大リゾート地に変貌した北海道のニセコにおいて、キッチンカーの天ぷら蕎麦が3,500円で販売されていることが、大いに話題となったばかりである。

【関連】海外マネーが大流入のニセコ、時給がついに“東京超え”。その反面で“天ぷら蕎麦3,500円”など物価はそれ以上にバグり中

さらに、そんな“観光地価格”横行のなかでも、特に酷いケースだとして、昨年のなかばあたりに大いに話題となったのが、大阪・ミナミの「黒門市場」。

なんでも、インバウンド向けに“カニ足4本3万円”“エビ1尾3,500円”といった、明らかに強気すぎる価格設定をする店が続出したことで、SNS上では「ぼったくりだ」との批判が殺到。実際、地元客はほとんど来なくなるという事態を招いたというのだ。

ちなみに、その後の黒門市場では炎上による批判を受けてか、以前よりかは良心的な値段に改める店が増えたとのこと。一応の自浄作用が働いた格好だが、その反面で中国人オーナーの店舗は、依然として“ぼったくり価格”での営業を続けているということだ。

今回ようやく開業の日を迎える「豊洲 千客万来」も、仮にあまりにもインバウンド狙いが過ぎると、そういった“日本人離れ”を招きかねないところだが、ちなみに同施設の公式サイトで飲食店のラインナップを見てみると、やはり寿司店など海鮮系を扱ういかにも高級そうな店が多いなか、その反面ではラーメン屋が複数軒あるのにくわえ、月島もんじゃの店やホルモン丼をメインに据えた店、さらにはたこ焼き「銀だこ」の居酒屋業態など、日本のごく普通の一般庶民でも気軽に入れそうな雰囲気の店も、少なからず存在する模様。

7,000円の海鮮丼を躊躇なくオーダーできる富裕層のインバウンドと、家族でひとつの舟皿のたこ焼きを突っつく一般庶民の日本人客が、うまく棲み分けられることができるかどうかも、今後「豊洲 千客万来」が成功を収めるか否かのキーポイントとなっていきそうである。

Next: 「値段設定は別に好きにすればいいんだけど…」



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