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海外マネーが大流入のニセコ、時給がついに“東京超え”。その反面で“天ぷら蕎麦3,500円”など物価はそれ以上にバグり中

新型コロナウイルスの5類移行後、多くの観光地でインバウンドの活況ぶりが伝えられているが、北海道南西部に位置するニセコエリアでは人手不足が顕著で、その結果として、バイトの時給が東京の水準を超える事態になっていると話題になっているようだ。

話が取沙汰されるきっかけとなったのは日本経済新聞の記事で、それによれば同地では、宿泊関係だけでも必要な人材の2割超が足りないという、深刻な人手不足の状態ということ。企業側は待遇改善による人手確保に躍起ということで、そのことが時給アップに繋がっているというのだ。

時給換算で2,000円に迫る案件も

その上質なパウダースノーが、スキー・スノーボードの愛好家から支持を集めているニセコ。当初はオーストラリア人が多いといわれてきた来訪者だが、次第に香港や中国などのアジアからの宿泊客も増えるなど、今では世界各地から観光客を集める一大スキーリゾートに。

いっぽうで、そんな活況ぶりと同時に海外資本による同地の開発も急ピッチで進行。海外の超富裕層をターゲットとした高級リゾートへと変貌していったわけだが、それでも欧米のスキーリゾートなどと比べると不動産価格が半分以下で、さらなる価値上昇が見込めるということで、格好の投資の対象にもなっているよう。いわば海外に買われる日本の観光地の代表的存在といったところである。

いっぽうで、ニセコに限らず観光業界における人手不足の問題は依然として厳しい状況で、それによる需要取りこぼしも、大いに懸念されているところ。

人手確保のためには給料の引き上げが手っ取り早いということか、先述の記事によれば昨年11月のニセコ町における求人平均時給(全職種)は1,524円となり、東京都と比べて90円高くなったということ。

実際、某飲食チェーンの時給を比較しても、同じ北海道内の札幌とニセコを比べると、かなりの大きな差があるといった報告もあるなかで、これを観光関連に絞り込むとさらに水準があがるようで、いわゆるスキマバイトアプリで同地の案件を見てみると、時給換算で2,000円に迫る、あるいはそれを超えるといったものも多く存在するようだ。

時給アップもそれ以上に物価が上昇のニセコ

これら一連の状況に対して、SNS上では「インバウンドが飲食・サービス業の賃金上昇に繋がるなら、とてもいいこと」などと、好意的にみている声が多いようで、さらに人手不足とされながらも賃金が一向に上がらない業界に従事している向きからは、いわゆる“やりがい”やら“アットホーム”はいいから賃金をさっさと上げろ、といった声も多くあがっているところ。

以前、世界的な小売チェーンである「コストコ」が、とある地方の店舗で“時給1,500円”という高額求人を出したのに対し、地元のガソリンスタンド経営者が高すぎると苦言を呈したことが、広く労働者から怒りを買う事態になったことがあったが、今回の件もそんな“人手不足だけど賃金は上がらない”といった状況に日々もどかしさを覚えている向きを、大いに刺激する格好となったようである。

【関連】コストコ、時給1,500円求人での“地方の賃金破壊”に「日本は外圧が無いと変わらない」との声。熊本では半導体企業の進出で“食堂のおばちゃんが時給3,000円”との話も

ただ、そんな時給アップに沸くニセコとはいえ、実際にこれで求人が殺到するかというとそうでもないようで、そのひとつの“障害”となっているとされるのが、現地の異様な物価の高さ。

チェーン店はともかくとして個人経営の飲食店などでは、富裕層が多いインバウンドをターゲットにした高額な価格設定がすっかり定着し、なかには“天ぷら蕎麦3,500円”といった、いわゆる観光地価格といったレベルを凌駕するような値付けになっているところも。平均時給が1,500円を超えるニセコだが、この天ぷら蕎麦を食べるためには2時間以上は働かないといけない計算になるというのだ。

先日発表された、日本国内における昨年11月分の実質賃金は前年同月より3.0%減となり、これで前年を下回るのは20か月連続に。海外では物価高を賃金上昇が上回る状況となっている国が多いなか、日本はマイナス圏の低迷が続いているわけだが、時給アップに沸くニセコでもその状況は変わらないといったところのようだ。

Next: 「このニセコバブルいつかはじけそうな気がしてしまう」

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