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「東京チカラめし」都内復活で注目集めるSANKO MARKETING FOODS。大量閉店「金の蔵」も“官公庁食堂”“水産業”など意外な戦略で巻き返しへ

一時は東日本地域から完全に撤退した牛丼チェーン「東京チカラめし」が、5月7日に東京都内にて“復活”すると報じられ、大きな話題となっているようだ。

新たに出店するのは「東京チカラめし食堂」なる店で、場所は東京都千代田区。東京法務局などが入居する九段第二合同庁舎の地下1階にオープンするとのことで、看板メニュー「元祖!焼き牛丼」にくわえ、日替わりの定食、麺メニューなどを販売。営業は平日11時~14時で、一般来場も可能だという。

東日本エリアからの消滅から約半年での復活

2011年に1号店がオープンするや、急速に店舗数を増やしていき、翌2012年には早々に累計100店舗を達成するなど、その急成長ぶりが当時大いに取沙汰された「東京チカラめし」。

しかしながら、店舗網の急拡大に人材育成が追い付かなかず、当初の1号店、2号店では出せたクオリティーが、他の提供できないといったケースが多発し、それが客側に嫌気されたことで、その後はどんどんと店舗網が縮小することに。

2023年11月には、東日本エリアで唯一残っていた千葉県鎌ケ谷市内の店舗が、物件の定期借家契約満了のため閉店の憂き目に。現存する店舗は、大阪市にある大阪日本橋店の1店のみになっていたのだ。

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その際、東京チカラめしの運営会社であるSANKO MARKETING FOODSは、リリースにて「できるだけ早いタイミングで東京都内に新店舗オープンのご案内ができるよう、現在はふさわしい物件を探している」とコメント。

ただ、それまでの店舗減の流れを見るに、このままチェーンが消滅してしまう可能性も大いにありえるとも取沙汰されていたなかで、それからわずか約半年後にまさかの東日本エリアでの復活ということで、SNS上は大いに沸いている状況のよう。

東京チカラめしの焼き牛丼といえば、その名の通り肉をタレに漬け込んでから焼き、再度タレに付けて提供することで、既存の牛丼になかった香ばしさを前面に押し出した点が広く支持を得て、当時の「ヒット商品番付」において「焼き系丼」が関脇に入るほどの人気に。

しかし、一時は首都圏を中心に最大130店舗ほどまで伸ばした東京チカラめしだったのだが、その栄華を誇ったのはわずかな期間で、さらにそれも10年以上も前のことだと考えれば、今もなおその店舗の閉店や開店が世間から大いに気にかけてもらえるというのも、なかなか無い話だといえそうだ。

コロナ禍で居酒屋「金の蔵」も大量閉店の憂き目に…

いっぽうで、東京チカラめしが今回新たに出店した場所だが、先述の通り東京法務局などが入居する官公庁のビル。

実は東京チカラめしの運営会社であるSANKO MARKETING FOODSだが、2020年3月の時点において早々とコロナ禍が長引くことを見越して、賃料の高い都心の繁華街エリアに展開していた大箱の居酒屋の大半を順次閉店させたとのこと。“全品270円居酒屋”として全国に100店舗程度あった「金の蔵」も、今では1店舗を残すのみとなっているという。

その代わりとして、同社が推し進めていったのが、官公庁の庁舎内にある食堂などの運営受託だ。

この手の職員食堂といえば、各省庁で働く人々らが一定数訪れるといった手堅さはある反面で、稼ぎ時は基本的に平日のお昼時のみという難しさもあり、そこに近年ではセキュリティーの強化により、職員以外の利用がさらに期待薄になったこともあり、このところ霞が関などでは、撤退が相次いでいるとの報道もあったばかり。

そんななかでSANKO MARKETING FOODSは、財務省・法務省・厚生労働省といった省庁にある職員食堂の運営を近年次々に受託しているといい、なかでも入館手続きを行えば一般客も利用できる農林水産省内の「あふ食堂」は、すこぶる評判が良いようのだという。

ちなみに同社では、同じくコロナ禍真っ只中の2020年9月には、静岡県沼津市にある漁業組合と業務提携をし、2022年からは漁船を得て漁業にも参画。さらに仲卸業者も子会社とするなど、飲食業とは毛色が異なる水産業も今後の収益の柱のひとつにしようと、模索を続けているとのこと。コロナ禍で苦しんだ飲食業は実に多いわけだが、SANKO MARKETING FOODSは他社とはかなり異なるアプローチで、その苦境に立ち向かっていたようなのだ。

そういった流れもあって、今回“チカラめし”はいわゆる官公庁ビルに開店するに至ったことのようなのだが、先述の通りその店名は「東京チカラめし“食堂”」となっており、焼き牛丼以外に日替わりの定食や麺など幅広いメニューを提供。さらに、今後は会食弁当や会議用のコーヒー、宴会コースメニューの提供なども予定しているということで、その方向性はまさに官公庁内にある食堂のソレそのものといったところ。

そういった意味では、今回の新規開店を以前の東京チカラめしの“復活”だとみなすのは、少々微妙なのかもしれないのだが、とはいえ、多くの者を魅了したあの味わいが、東日本エリアでも再び味わえるようになったということで、ひとまずは喜んでいるといった向きが多いといったところのようだ。

Next: 「やっぱり焼いた肉の方が旨いのは旨いのよ」

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