株式市場は3月に入ってからもトランプ政権の関税政策や米国の経済指標の弱さなどから不安定な値動きが続いている。為替水準を巡るトランプ氏の発言で円高に振れるなど為替相場も乱高下。市場からは「関税の影響を受けにくい内需型の企業が物色されやすい状況が続きそう」といった声が多く聞かれる。ここで、あらためて代表的な関連銘柄に焦点を当てておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年3月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
トランプ関税の影響を受けにくいゲーム関連株
米大統領にトランプ氏が就任した1月20日から2月末までの株価上昇率の首位はディー・エヌ・エーだった。トランプ政権の関税政策の影響を受けにくいとして、決算内容が良好だったゲーム関連の企業に投資マネーが流入したわけである。
ゴールドマン・サックス証券のブルース・カーク氏らは「トランプ政権の関税政策をめぐる不確実性が払拭されないなか、投資家が内需関連株に投資対象を切り替えている」と指摘する。足元でゲームやエンタメなどの知的財産(IP)関連銘柄に投資マネーが流入している。
株式市場は3月に入ってからもトランプ政権の関税政策や米国の経済指標の弱さなどから不安定な値動きが続いている。為替水準を巡るトランプ氏の発言で円高に振れるなど為替相場も乱高下。市場からは「関税の影響を受けにくい内需型の企業が物色されやすい状況が続きそう」といった声が多く聞かれる。
ここで、あらためて代表的な関連銘柄に焦点を当てておきたい。
ディー・エヌ・エー<2432>
24年10月にリリースしたスマートフォン向けゲーム「Pokemon Trading Card Game Pocket」(ポケポケ)が業績のけん引役となっている。
カードゲームのなかでポケモンカードは世界トップレベルの地位に君臨している覇権コンテンツである。勝利条件をはじめとして、デッキ枚数や各種カード制限など、独自ルールを採用することでアプリならではの手軽なプレイを実現して、ライトユーザーを取り込み、好評を博している。
結果、24年4〜12月期(3Q累計)の連結最終損益は黒字転換。同社は通期予想の開示を見合わせているため、ここでは3Q実績を確認しておく。売上高は前年同期比12.1%増の1,167億円、営業利益は前年同期に計上した276億円の赤字が209億円に黒字転換、純利益も前年同期に計上した312億円の赤字から157億円の黒字に転換している。
ちなみに、前期はゲーム事業において新規タイトルのリリースに伴う償却費やマーケティング等の関連費用が嵩んだことや、中長期での事業ポートフォリオの強化に伴う「産みの苦しみ」などが営業利益段階からの赤字に陥る要因となっていたが、会社側は今期について期初から増収増益に結び付けるとしていた。
ディー・エヌ・エー<2432> 日足(SBI証券提供)
2月28日、「ポケポケ」においてテーマ拡張パック「超克の光」を新たにラインナップに追加。株価には目先の材料出尽くし感が強まっているが、下値は自ずと限られると見られる。
バンダイナムコHD<7832>
「ドラゴンボール」の新作ゲームや「ワンピース」などのトレーディングカードゲームが好調。また、玩具はトレカやプラモデルが好調に推移する。
ガンダムシリーズなどの映像配信やライセンスビジネスも伸びており、足元はIPを軸とした戦略に回帰しつつある。大阪・関西万博における同社のパビリオンでは、高さ約17メートルのガンダム像が出迎える。今年夏ごろにプラモの新工場が稼働する見込み。生産能力は26年度の本格稼働時に23年度比35%増産見込む。
25年3月期は、売上高が前期比17.1%増の1兆2,300億円、営業利益は同98.5%増の1,800億円、純利益は同26.1%増の1,280億円を見込むが、3Q時点の進捗率は営業利益で99.5%、純利益で100.5%に達しており、最終着地は上ブレ必至。過去最高益を更新する。
バンダイナムコHD<7832> 日足(SBI証券提供)
株価は、3月4日に上場来高値を更新。その後も高止まりの状態が続いている。
Next: まだあるトランプ関税の影響を受けにくい銘柄。投資するなら…?
コナミグループ<9766>
サッカーゲーム「eFootball」が24年10月時点で世界累計8億ダウンロードを超えるなど既存の運営型ゲームが絶好調。24年10月に発売した家庭用ホラーゲーム「SILENT HILL 2」のリメーク版も1月に累計出荷本数200万本を超え、当初の販売計画を大きく上回っている。
1月31日に発表した今期3Qの連結純利益は42%増の631億円、売上高は23%増の3,108億円だった。いずれも同期間として過去最高。25年3月期は、売上高が前期比14.3%増の4,120億円、営業利益は同24.6%増の1,000億円、純利益は同18.3%増の700億円を見込んでいるが、3Q時点の進捗率は営業利益で86.7%、純利益で90.1%に達しており、最終着地は上ブレ必至。過去最高益を更新する。
コナミグループ<9766> 日足(SBI証券提供)
株価は2月19日に上場来高値を更新。その後は調整含みながら、JPモルガン証券は11日、同社の目標株価を18,400円から22,800円に引き上げている。
CRI・ミドルウェア<3698>
グロース市場から1銘柄。映像・音声・ファイルシステム・音声認識などの分野でミドルウェアの開発・販売・サポートを手掛ける。コナミグループが販売するニンテンドースイッチ向け「ときめきメモリアル」シリーズでは、同社の統合型サウンドミドルウェアが採用されている。
国内は値上げが浸透しているうえ、営業強化が奏功して中国など海外での販売が上向く。組み込み系はカラオケ機器向けや車載向けが伸びる。
25年9月期は、売上高が前期比6.1%増の33.6億円、営業利益は同4.2%増の3.8億円、純利益は同2.5%増の3.1億円を見込んでいる。
CRI・ミドルウェア<3698> 日足(SBI証券提供)
株価は、2月半ばに一目均衡表の週足「雲」をクリアに上抜け。当面は、23年7月高値=1,224円が上値の目安となりやすい。 ※2025年3月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年3月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
<初月無料購読ですぐ読める! 3月配信済みバックナンバー>
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
『
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2025年3月14日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による