今週は、先週の株価・外貨の戻り地合いが継続すると予想しますが、内外ともにパンチのある材料が乏しく、二進一退の相場付きで、上値は重いままになりそうです。そのような中で参院選の投票が7/10(日)に迫り、議席予想も足元の情勢を交えて、さらに多く発表されるでしょう。(『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』)
※本記事は『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年7月3日号)の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!
参院選前後の株価はどうなる?市場動向の注目ポイント
戻り基調継続も上値は重い
英国のEU離脱が、日本や米国など非欧州諸国の経済実態に与える影響は極めて限定的である、という見方は変わりません。そのため、6/24(金)の内外市場の反応は過剰であり、先週その安値からの市況回復があったのは、当然の動きだと考えています。
したがって、今週の世界市場においても、そうした株価・外貨相場の戻り基調が継続すると予想します。ただし、今週は、株価や外貨相場の上昇を力強く後押しするような材料に欠け、既に先週表れていた、上値の重さも続きそうです。
注目指標は6月米雇用統計
内外の経済指標で最も注目されるのは、やはり週末(7/8、金)の米国の6月分の雇用統計でしょう。今のところ市場では、失業率は5月の4.7%から4.8%に小幅上昇するものの、非農業部門雇用者数前月比は、5月の3.8万人増という低い数値から、17.5万人増に回復すると見込まれています。
やはり、5月分の失業率の低下と雇用者数の伸びの低さという、ちぐはぐな数値が異常値だった、という見解なのでしょう。とすると、市場の予想通りの数字となっても、投資家はどう解釈したらよいのか、消化不良になると思われます。
日本国内では大手小売り決算
日本国内では、小売を中心とした2月決算企業の、3~5月期四半期決算の発表が続きます。今週はイオンやセブン&アイなど、大手小売りの決算が多いです。消費者心理が警戒的なところから、低価格品は好調だが高価格品が不振だ、と伝えられており、そうした消費のデフレ的な動きが、小売企業の収益にどの程度影響しているかが、注目されそうです。
注目の参院選、自民単独過半数確保か
参院選の投票も7/10(日)に迫り、議席予想も足元の情勢を交えて、さらに多く発表されるでしょう。
このところの議席予想の精度が高いと評判になっている、ヤフー・ジャパンのビッグデータ分析(6/30、木 付)では、自民党は改選121議席のうち、57議席を得ると予想されています。非改選議席が65あるので、自民党は合計で122議席となり、参議院全議席(242)のぎりぎり過半数を、公明党抜きで得ることになります。
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改憲勢力「2/3議席」もぎりぎり達成か
また、1つの焦点になっている、憲法改正を発議するのに必要な2/3の議席(162議席で、全議席の2/3超え)ですが、憲法改正に賛成とみられる諸党(自民、公明、おおさか維新、日本のこころ)の合計で、非改選議席が84あります。
ヤフー・ジャパンの分析では、改選議席について、選挙後は自民57、公明11、おおさか維新10(日本のこころは不明)の合計78議席と予想されていますので、非改選と合わせて162議席となり、こちらもぎりぎり2/3超えです。
今のところ野党は、「安倍政権じゃなきゃ、何でもいいでしょ」という戦略以外に目につくものがなく、国民の支持を大いに得るとは見込みにくいです。株式市場に限って言えば、現政権の安定的な継続は悪材料にはなりにくいと考えられます。
豪州準備銀行理事会
なお、豪州では、7/5(火)に、豪州準備銀行理事会が開催されます。豪州の経済自体をみると、利下げの必要性は薄いと考えられ、市場でも政策金利の据え置きを見込む向きが多いようです。
ただ、英国のEU離脱を受けた世界市場の混乱を受けて、理事会時の声明で、場合によっては先行き追加利下げを行なって対応する可能性がある、などの文言が盛り込まれると、一旦は豪ドルを売る動きが表れそうです(ただし、豪ドル安がそうして生じても、長続きはしないと見込みます)。
参院選と株価のアノマリー
これは拙著『勝率9割の投資セオリーは存在するか』でも書きましたが、過去15回の参院選をとって、投票日前1か月間と投票日後1か月間の日経平均株価の騰落をみると、投票日前は上昇8回、下落7回と、ほぼ五分五分で、投票日後は、上昇6回、下落9回と、下落が優勢です。
さらに最近6回をみると、投票日前は上昇2回、下落4回、投票日後は6回ともすべて下落と、株価が特に投票日後に不振です。
ただ、今回の選挙の場合、選挙に向けて経済政策がどんどん具体化したかと言えば、そうではありませんでした。選挙前に政策の花火が次々と打ち上げられ、選挙直後からその期待に対する反動で株価が下落する、という過去のような展開にはなりにくそうです。
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参院選後も「政策期待」が株価下支え
今年は、既に秋に経済対策を打ち出す、という政府の方針自体は報じられていますが、さらに具体的には、9月26日から開会するとみられる、臨時国会において、第2次補正予算などが審議されると見込まれます。
実際の補正を含む経済対策の概要が、国会が始まる段階で初めて決まるというより、その前から(8月から?)内容が固まってくると推察されます。
また、日銀の金融政策決定会合が7/28(木)~7/29(金)ですので、7月終わりから8月にかけて、政策期待が株価を下支えする方向で働き、政策の一巡感が出て株価が勢いを失うのは、参院選直後ではなく、9月以降になりそうです。
理解の種~世界経済・市場の用語などの解説
<臨時国会>
国会には通常国会、特別国会、臨時国会があります(憲法や国会法では、「常会」「特別会」「臨時会」という名称)。
通常国会は年1回開催されるものとの定めがあり、近年では1~6月に開催されて、予算などの審議を行ないます。特別国会は、衆議院が解散し総選挙があった直後に開かれる国会で、内閣総理大臣の選出が行なわれます。臨時国会は、衆議院が解散でなく任期満了で選挙が行われた直後、あるいは参議院選挙の直後、もしくは国会が必要とされるときに、適宜開会されます。
参議院選挙が7/10(日)に行なわれますので、その後に臨時国会が開会されることになります。今回は、8月上旬に、参議院議長を選出するなどのため、数日間に限り開会されると見込まれています。
このため、既に方針としては決定されている消費増税の再延期を定める法案や、経済対策に関連する第二次補正予算案、(もしあれば)それに伴う法改正・新法などは、今のところの政府・与党の方針では、9/26(月)から新たに別個の臨時国会を開催し、そこで議論する運びになっています。会期は12月上旬頃までと見込まれています。
※本記事は『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年7月3日号)の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!
『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年7月3日号)より一部抜粋
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