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今が買い場?「フィジカルAI」関連株が急伸…中長期的に成長が見込める日本企業4社とは=田嶋智太郎

エヌビディア主導でロボットの自律制御「フィジカルAI」が急伸し、日本企業や大学も協業を加速。厨房・介護など難領域への普及が進み、市場規模は50兆ドルに拡大する見通しだ。東京市場でも関連株が急騰しており、短期の過熱感に注意しつつ中長期の投資テーマとして注目されている。そこでいくつかの関連銘柄を挙げておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

【関連】外食産業に復活の兆し。恩恵を受けて急成長が見込める「外食サポート企業」5社とは?=田嶋智太郎

※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年12月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

フィジカルAIで大注目のロボット関連

いま、ロボット業界で米半導体大手エヌビディアが存在感を高めている。日本でもファナックや安川電機といった大手が競うように人工知能(AI)分野で協業を打ち出し、大学や新興企業もエヌビディアを頼る。エヌビディアのスマートマシン事業統括部長、ムラーリ・ゴパラクリシュナ氏は日本経済新聞の取材に応え、AIがロボットを自律制御する「フィジカルAI」時代が到来していることを強調。

同氏は、厨房や介護現場といったこれまで導入が困難だった領域にもロボットが広がると指摘し、これは「かなり長く続くトレンドになる」としている。フィジカルAIの関連市場は50兆ドル(7,700兆円)規模に膨らむと見込む。米オープンAIの「チャットGPT」の登場が生成AIの社会実装を一気に進めたのと同様に、目下はフィジカルAIが実用段階へと駆け上がる転換点にあると見ている模様だ。

東京市場でも、ここにきてにわかにフィジカルAI関連銘柄への物色が盛んになってきている。日によっては値幅制限上限まで一気に値を上げる銘柄もあり、短期的な高値警戒感が強まっているものについてはやや警戒も必要だが、息の長い大きなテーマでもあり、中長期的な買い場をじっくり探っていくためにも、ここでいくつかの関連銘柄を挙げておきたい。

ファナック<6954>

同社は12月1日、米半導体大手のエヌビディアと提携し、AIを搭載したロボットを開発することを明らかにした。AIが機械を自律的に制御する「フィジカルAI」が脚光を集め、ロボットへの参入企業が増えるなか、AI半導体の雄との協業を通じて開発競争を勝ち抜く。

今回、ファナックがフィジカルAIへの取り組みを対外的に表明するのは初めて。高性能AIチップとフィジカルの組み合わせによって、AIの社会実装が具現化して行く流れに乗る。

足元は、主力のロボットが自動車関連の設備投資の停滞響く。IT需要一巡でロボマシンには一服感も漂う。ただ、NC装置は中国やインドの需要堅調。なお、関税に伴う費用増は価格転嫁で対応している。

26年3月期は、売上高が前期比2.7%増の8,188億円、営業利益は同10.7%増の1,759億円、純利益は同6.6%増の1,573億円を見込んでいる。2Q発表時に通期予想を上方修正した。

ファナック<6954> 日足(SBI証券提供)

株価は本日(5日)、取引時間中の年初来高値を更新。長らく上値を押さえてきた5,000~6,000円の価格ゾーンをクリアに上抜けるかどうかが当面の焦点。

安川電機<6506>

同社とソフトバンクは1日、AIロボットの実用化で協業すると発表。安川電機のAIロボ技術とソフトバンクの情報処理技術を組み合わせることで、オフィスビルなどの不特定多数の人がいる環境でもロボが自律的な作業を安全にできるようにする。病院や学校、商業施設などにも導入して人手不足を補うことを目指す。両社は、AIを活用してロボが現実世界の動きを認識し最適な行動をとれるようにする「フィジカルAI」の社会実装に向けた協業の覚書を交わした。

10月初旬には、エヌビディアが富士通と製造現場でロボットを自律的に動かすAI基盤の開発で提携すると発表し、安川電機と3社で実用化に向けた協業を検討するとも伝わっている。

足元は、柱のロボットがアジア中心に自動化需要を受けて堅調であるものの、サーボは半導体や電子部品向け需要の回復が想定以下に留まっている。26年2月期は、売上高が前期比2.4%減の5,250億円、営業利益は同4.3%減の1,759億円、純利益は同35.1%減の370億円を見込んでいる。

安川電機<6506> 日足(SBI証券提供)

成長期待を背景に株価は本日、取引時間中の年始来高値を更新。節目の5,000円処をクリアに上向けてくるかどうかが当面の焦点となる。

Next: まだある「フィジカルAI」関連で成長が見込める日本企業…投資するなら?



ナブテスコ<6268>

産業機械向け精密減速機、鉄道車両用ブレーキの大手メーカー。産業ロボットの関節用精密減速機は世界シェア約6割、鉄道車両用ブレーキは国内シェア5割程度を占める。減速機は、モーターやエンジンの回転速度を低下させてトルクを増加させるための重要な機械装置で、産業用ロボットに用いられるモーターにとっても必要不可欠。

足元は、中国の投資需要が戻り、精密減速機が想定超の伸び。さらに、鉄道機器も上振れで、自動ドアも堅調に推移。25年12月期は、売上高が前期比7.2%増の3,007億円、営業利益は同60.7%増の208億円、純利益は同47.2%増の149億円を見込む。

ナブテスコ<6268> 日足(SBI証券提供)

株価は11月4日に年初来高値を更新した後、いったん調整するも11月下旬以降に再び騰勢に転じており、昨日(4日)の大幅高で25日移動平均線を上抜けている。

シンフォニアテクノロジー<6507>

独自のモーションコントロールと、エナジーコントロール技術で様々な分野に製品を提供。電気制御技術をコアに、半導体搬送装置から宇宙ロケット用電装品、試験装置、振動搬送機器、小型モーターや電磁クラッチ/ブレーキ、プリンタなどを手掛ける。

足元は、半導体装置向けクリーン搬送機器において先端ラインへの対応など製品構成を改善して利幅を拡大。航空機電装品も防衛需要が旺盛。26年3月期は、売上高が前期比4.9%増の1,250億円、営業利益は同4.9%増の165億円、純利益は同6.6%減の113億円を見込むが、純利益に関しては政策保有株の売却に伴う特別利益の計上があり得る。

シンフォニアテクノロジー<6507>

株価は10月9日に上場来高値を更新するも、その後はいったん大きく下押し、ここにきて急反発してきている。12月3日~6日まで開催されている「2025 国際ロボット展」にも出展している。

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image by: Jirsak / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2025年12月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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