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お祈り投資法からの卒業と「試食のススメ」分割売買のメリット=林知之

トレードの損益をコントロールするために最も大切なのは、予測の当たり外れを容認し、「当たったときの対処」と「外れたときの対処」をあらかじめ用意しておくことです。(『林知之の2勝3敗で“勝つ”トレード』林 知之)

※本記事は『林知之の2勝3敗で“勝つ”トレード』(2016年6月25日号)の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:林 知之(はやし ともゆき)
1963年生まれ。東京国際大学教養学部卒業。1986年に証券界に入り、3社(山加証券、泉証券、ジーク証券)で営業を経験。2000年に林投資研究所代表取締役に就任。一般社団法人投資顧問業協会において、業務第五部会員、自主規制第五部会員、関東部会幹事を兼任。

相場の先行きをズバリ当てるのは至難の業。分割売買の技法を学べ

「なんとなく」建てたポジションは儲からない

トレードの決断は大切なカネの問題を左右することなのに、“なんとなく”行動を決めてしまうケースがみられます。

全く動きのない銘柄が突然、大暴騰する――。

こんなことが起こるのがマーケットですから、つい「これは大チャンスかもしれない」とばかりに手を出すケースがあり、人によってはそれがクセになっています。「まずは手をつけ、ダメなら切る、良さそうなら増し玉してねばる」というのは、極めて適正な取り組み方ですが、「まずは手をつける」の基準が全く定まっていない場合は論外です。

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わかりやすい例は、個人投資家がカラ売り銘柄を選ぶときの様子ではないでしょうか。多くの人が、価格の上昇とともに材料が取りざたされた銘柄に注目し、「買おうかどうしようか」と検討します。こうして参戦者が増加することで、株価が上伸します。デイトレードが盛んになった現代では、ザラ場だけの上昇で終わってしまうこともあるのですが、数週間、数カ月といった期間の上げ相場が始まるときにも、こうした新規参入者がいるのが当然です。

しかし、このように「外部からの情報で新しい銘柄に目をつける人たち」は、同じように強い動きをみせている銘柄にカラ売りを仕掛けることもあるのです。「非常に強い。しかし、下げたら早いだろう」という論理です。本人にとっては、上昇の度合いや材料の評価などに判断の可否があるのでしょうが、冷静な第三者なら、どちらも「話題になっている銘柄をいじろうとしているだけ」とくくるほど、浮ついた取り組み方といえます。

銘柄を選別する手法がダメ、ということではありません。しかし、非情なカネの取り合いが演じられるマーケットで「勝とう」というのですから、事前に選んだ数少ない銘柄の中でタイミングを計るか、対象とする範囲が数十銘柄やそれ以上に広い場合は、相当に厳密な選定基準がない場合は、“なんでもアリ”の無手勝流です。

価格の変動は予測不能です。だからこそ、自分をコントロールするために、計画性をもってスキのない姿勢で臨むことが求められるのです。

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「お祈り投資」からの脱却に分割売買を活用せよ

では、「なんとなく手がけた」場合、実践者の内面はどのような状態になるでしょう。たまたまつくったポジションが利益になることを願う…それだけです。刻一刻と変わるマーケットを評価し直すことなどなく、「上がってくれ~」とか「もう下げてくれよ」とお祈りするだけの状態です。

トレードから離れた例を出しましょう。貴重な休日を使い、以前から楽しみにしていた山登りに出かけたとします。せっかくの余暇、せっかくの山登りですが、山の天候に逆らうことはできませんから、懸念材料があるだけで中断、あるいは計画の大幅な変更もやむを得ません。命がかかっていることですからね。

トレードには、命の次に大切なカネがかかっています。山の天候と同じように、相場に抗うことはできません。祈ってもムダですし、どんなに頑張っても、個人投資家には状況を変える力などありません。ダメだと思ったらあきらめ、被害を最小限にとどめる努力をするだけです。ダメな勝負に時間やエネルギーを費やすことなく、とっとと撤退して次のチャンスを探すのが正解ということです。

こういう、落ち着いた考え方から生まれたのが、分割売買の技法です。

いくら考えても、相場の先行きをズバリ当てることは至難の業。「それならば、様子を見ながらポジションを増減させよう」ということです。多くの人が「そんな方法があるの?」と驚くのですが、ビジネスに限らず日常生活にもある、ごく当たり前の対応です。

まずは試して、ダメならすぐ切る

分割売買と同じ狙いを持つ、ふだんの行動について、例を挙げてみましょう。

どんな分野でも、どんな立場でも、「まずは試しにやってみる」というのが当然なのですから、ましてやトレードでは、積極的に取り入れるべき行動指針です。

分割で仕掛ける場合、初期段階のポジションを「試し玉」と呼びます。例えば総量1万株の場合に、まずは千株買ってみる(売ってみる)のが試し玉です。「よしいける!」と徐々に増やした場合、2回目以降、あるいはもう少し先からは、試し玉に対して「本玉(ほんぎょく)」といいます。予定通り1万株になったとして、最初の千株だってポジションの一部で総量の1割を占めるのですが、あえて「試し」と分類することで、「ダメそうならば、とっとと切ってやり直す」という姿勢を確認しておくのです。

超短期のトレードは、どうしても単発的になりがちで、試し玉と本玉に分けて考えたり、のんびりと分割することは少ないでしょうが、本格的に資金を投入する前に実験売買を繰り返す、といった対応は考えつくでしょう。頭の中で考えただけで「それドン!」と大金を動かすなんて、ちょっと乱暴です。

常識的な慎重さを常識的なオトナとしての行動に落とし込めば、「試しにやってみる」という発想に至ります。これを恒常的に行うのが「試し玉」で、必然的に「分割売買」を実行することになるのです。


※本記事は『林知之の2勝3敗で“勝つ”トレード』(2016年6月25日号)の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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林知之の2勝3敗で“勝つ”トレード』(2016年6月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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