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孤独死の7割が50代以下。普通に起こる「入居者の死」そのとき大家は?=姫野秀喜

住民の孤独死・自殺は大家さんにとって避けられないリスクですが、具体的にどれくらいの損害になるかご存じでしょうか?賃貸物件における現状を解説します。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

孤独死のうち60代以上は3割だけ。賃貸物件に与える損害額は?

避けて通れない「孤独死」のリスク

大家さんにとって避けては通れないリスク、それが孤独死です。

民法の改正により、損害賠償の限度額を設定しなくてはいけなくなるなど、万一の時の賠償に対して、大家さん側はより立場の弱い状況になることが予想されます。

今後、保証人などに満足いく損害賠償を請求できなくなるとしたら、大家さんは自衛する必要があります。その自衛手段こそが、保険なのです。

今回は孤独死についてその現状と、保険の支払状況についてお伝えします。

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どの世代にも起こりうる「孤独死」の現状

一般社団法人日本少額保険協会(2017年3月2日)の『第2回 孤独死現状レポート』によれば、賃貸住宅の単身世帯数は約1000万世帯もあり、かなりの潜在的なリスクが予想されます。

孤独死している人の年齢分布としては、男女ともに60歳代が最も高く、男性32%女性22%です。

また、39歳以下の孤独死では男性が9.8%と少ないのに対し、女性は17.5%と非常に高いです。つまり、若年層では女性の方が、男性よりも孤独死する確率が高いということです。

次に、孤独死の死因ですが、最も高い理由は「病死」で全体の59%を占めます。次いで高いのが「自殺」で13.2%です(サンプル数:1095)。

賃貸物件での「自殺」は、告知義務があります。孤独死の中でも1割以上の死因が「自殺」であるという事実を、大家さんは重く受け止める必要があります。

「自殺」の中でもは男女で比率が異なり、男性は11.6%であるのに対し、女性は19.9%もあります。女性の方が、孤独死の要因として「自殺」の割合が高いという結果になります。

2016年の同様のレポートによれば、39歳以下の死因の6割は「自殺」とのことであり、若い女性の方が「自殺」しやすい傾向にあるようです(※ただし、2016年レポートでは統計的に有意なサンプル数がとれていないことを一定考慮してお読みください)。

Next: もし賃貸物件で孤独死すると、どれくらい迷惑をかけてしまうのか?



「賃貸物件での孤独死」はどれくらいの損害になる?

あくまで保険に入っている人のデータですが、孤独死による損害額とその保証としての保険金の額も出ています。

原状回復にかかった費用の平均は約34万円に対し、保険支払の平均額約26万円ということで、平均だけ見ると大家さんが8万円ほど自己負担しているという状況です。

また、保険によって支払われる家賃保証の金額は平均約32万円ですので、6万円の家賃の物件で約5ヶ月分に相当します。

ケースバイケースですが自殺などで孤独死が起きた場合、その後の2年間は家賃が50%下落する(12ヶ月分の家賃に相当)と考えます。

つまり、半年分の家賃に相当する額を大家さんが負担しなくてはならないということになります。

入居者も保証人も助かる「保険」

先述の通り損害額と保証額を比べると、どうしても大家さんの持ち出しが発生する場合があることは確かですが、保険を活用することで、それでもずいぶんと金銭的なダメージは小さくなります。

一般的な保険料は、一戸あたり月々300円とお手頃だと思います。とはいえ、賃貸不動産を100戸も1000戸も保有する大家さんだと、保険代も莫大なモノになると思います。

可能であれば、入居者の保険として加入を義務づけることができれば良いと思います。現状でも、入居者は火災保険など保証会社に保険料や保証料を支払っています。この料金内に追加できれば最も簡単でしょう。

それが無理なら、共益費を300円ほどアップし、保険料に充当するというのも手でしょう。

入居者やその保証人に損害賠償請求を行うはずだった金額が、月々300円の保険でまかなわれるわけですから、入居者やその保証人にとっても良い(マシ)な制度だと思います。

こういった保険を活用することで、孤独死の3割を占める60代の方の入居申込を嫌がらずに受け入れる大家さんも増えると思います。また、自殺してしまった入居者の親族に、心苦しくも損害賠償請求をしなくてすむようになります。

社会的に見ても望ましい保険が、もっともっと普及していくといいなと思っています。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2017年6月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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