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NYダウはどこまで上がる?現時点で予測できる上値目標と当然の結末=伊藤智洋

必ずそうなるわけではないことを断った上で予測するなら、現在のNYダウは暴落前の準備期間と見ることができます。その理由を説明しましょう。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年6月25日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

小額投資家が大儲けするには、この「仕掛けられた動き」を読め

未来を予測できる年とできない年

価格の上昇、下降の振れ幅で利益を得るための投資は、上下どちらかのシナリオを描き、それに乗ることで利益を得ます。未来のことなど、ほとんどわかるわけがありませんが、人のやることだからこそ、一定の期間だけ、正確に予測することができます。値幅で利益を得る投資がギャンブルと異なるのだとするなら、その一点で未来予測が可能だからです。

例えば、昨年、FRBが今年利上げを実施すると考えた方が多いのだと思います。そのように予測した方は、それぞれ、利上げの根拠が異なるのかもしれませんが、そのどれが理由になっていようとも、今年、利上げすると考える何かがあったわけです。

実際、今年は、3月と6月で、すでに2回の利上げが実施されています。

値動きで利益を得るには、人がやることだからわかることを基準にして、そして、大勢の思惑を推し量り、その流れに乗り間違っていた場合に損にならない戦略を組み立てます。

投資経験の浅い、かじっただけの人が間違っていることの多い考え方は、いつでもチャンスがあると思っていることです。人のやることだからわかるといっても、実際に積極的な行動を起こす場面にならなければ、その行動の先になる未来を読むことなどできません。

だから、本年のように、FRBが利上げすると誰もがわかっていた年は、一定の方向性が明確になっているのですから、チャンスに満ちているということを理解すべきです。

2017年現在から2021年までのシナリオは明快

現在は、

ということがはっきりしています。少なくとも、その状況が来年まで続くわけです。少額の投資家は、このような状況を理解して、そして、その先に待ち受けている結末も考えて、大儲けを企むべきなのです。

金融緩和の先には、引き締めがあり、その先に株価の下落があります。この一連の流れは、日程がずれることがあっても、順を追ってやってきます。少額の投資家は、今年から来年に向けての上昇局面、そして、その先に来る株価の下落という一連の動きのすべてを利益にして、満腹になって撤退することをお勧めします。

第二次安倍政権は、憲法改正を目的として、実行できる準備が整うまで、長く政権を維持する必要がありました。そのため、安倍首相は、長く政権を維持するための経済政策を推し進めています。目的を持った政権だからこそ、見える未来があります。

今回の株価の上昇、下降の一連の動きの経過とともに、2021年には安倍首相が退陣し、新たな政権が舵を取ることになります。そのとき、自民党内の誰が総理になろうとも、見える未来がなくなります。

NYダウの上昇は何を意味しているか?

図1:NYダウ日足

図1は、NYダウ日足です。

1900年からのチャートを見るとわかりますが、リーマンショック後の2009年以降の上昇局面は、一時的な上げ場面ではなく、以前からの上昇が全体で5波のパターンを作る過程での3波目の上げ局面である可能性があります。

一定の流れができている場合、5つの波のパターンを作るとは限りません。特に、複数年以上の長期のチャートには、なんの関連性もないので、チャートの期間が長ければ、それだけ、基準になる形に意味が薄れます。

その上で、あえて、一定の流れができている場合の5波のパターンを当てはめるとするなら、2009年から始まっている現在の3波は、21927ドル以上を目指す上げ場面だと推測できます。言い換えると、21927ドルを到達した後、いつでも、(リーマンショックの時の下げ場面である)2波と同程度(7729ドル下げ)の4波の下げ場面へ入る可能性があるということです。

Next: 「仕掛けられた動き」としてのリーマンショック。再来の可能性は?



「仕掛けられた動き」の再来はあるか?

リーマンショックのときのような下げは、仕掛けられた動きです。仕掛けのない動きであれば、取引が一時的に停止するか、まだ下があるかを確認する作業として、大幅な下げのところどころで中段もちあいを形成して、結果として底値をつけるまでに数年かかります

また、天災によって、突発的にあらわれた下げであれば、一時的に下げた後、すぐに値を戻すことになります(2011年の日経平均を思い出してください)。

リーマンショックのような下げは、後処理までも計画済みであり、守られる側がはっきりしているからこそ、取引停止にもならず、まだ下げるのかどうかという踊り場も作らず、ただ、行けるところまで行くという動きになったのです。

そのような下げは、何か思惑のある場面でしかあらわれません。前回は、大統領選挙の年であり、ブッシュ元大統領からオバマ前大統領へ、共和党から民主党へと政権交代がありました。

次回も同様に大統領選挙に関連した仕掛けがあるとするなら、現在のNYダウの上昇は、暴落前の準備期間ということになります。

以下のことを紹介する前に、必ずそうなると見ているわけではないことは付け加えておきます。

次の大統領選挙でトランプ大統領を引きずりおろし、再び民主党が政権を担うため、2020年に暴落が仕掛けられるとする場合、2004年から2008年までの期間と、2016年から2020年までの期間では、利上げと株高という共通するポイントがあることに気づきます。

図2:2004~2008年、2016~2020年のNYダウの動き方の共通点と予想

図2の上段は、2004年から2008年までのNYダウ日足と、そのときの事象です。下段は、2016年から2017年まで日足と、予想線と起こりうる事象です。

2004年は、以前からの金融緩和により、景気が上向きに推移していることで、4年ぶりの利上げを開始した年です。その後、05年末までに13回連続の利上げを行い、06年7月に見送るまで利上げを続けています。

06年に利上げを見送りとなった後、株価が好感して上昇を開始しています。

07年は、メリルリンチやシティにサブプライムローンの焦げ付きがあり、巨額の損失が表面化したことで株価の上値を抑えられました。その際、FRBは利下げで対処しましたが、結果として役に立ちませんでした。

2016年12月、FRBがようやく利上げを開始し、2017年は、すでに2回の利上げを実施しています。一昨年ごろに想定していた利上げスピードからすれば、緩やかなものになっているため、株価が上値を抑えられる動きになっていません。

利上げによって、株価の上値が抑えられる可能性があるのは、現在の値動きを考慮すると、来年ごろだと推測できます。今年後半は、トランプ大統領が予算を通過させて、減税、公共投資を実施することになれば、米国への投資が膨らみ、株価が上昇すると考えられます。

2004年から2008年までが似た展開になるとするなら、2006年の上昇が2017年にあらわれて、2005年の上値重い動きが2018年にあらわれると考えられます。まだ先の話なので、2018年の下げの大きさや、下げ期間については、このメルマガでいずれ紹介してゆきます。

Next: 次の大暴落はまだ先のこと、まずは「大天井」を確認へ



次の大暴落はまだ先、まずは「大天井」を確認へ

さて、以上のような展開になる場合、2017年後半から2018年前半にあらわれるだろう上昇によって、大勢の3波の上値目標値である21927ドル以上をつける展開になると考えられます。

そして、その後、2018年の下げを経過して、2019年に再度高値を若干だけ更新してから、大天井の確認となり、2020年の大統領選挙に合わせた下げ局面へ入ります。

次の暴落は、(それがあるとするなら)まず、人民元の自由化へ向けた日程が示され、中国経済の停滞により、地方銀行を中心とした不良債権問題が表面化し、人民元の暴落という流れの中であらわれるのではないかと見ています。

先のことはわかりませんが、以上のシナリオが正しければ、今年後半(9月以降)は――
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伊藤のパワー・トレンド理論を実践 少額投資家のための売買戦略

2017年6月25日号 目次

1. 日経平均は○○○までに○○○円以下まで下げる可能性を考えておく
2. パワー・トレンド講座、第二十八回 積極的な動きのない期間の考え方
※日経平均株価の具体的な時期と価格水準は、有料メルマガ内で詳しくご紹介しています


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年6月25日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した項目(直近の日経平均株価の詳細な分析)もすぐ読めます。

※過去の日経平均株価のシナリオの精度は、以下のアドレスで確認できます。
http://www.p-trend.jp/docs/Ito-NKPFM160801.pdf

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『少額投資家のための売買戦略』』(2017年6月25日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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値動きには理由があります。一般的に言われているような確率や、需給の変化を見るだけでは、先のことなどわかりません。確率論や、統計データ分析をやりつくし、挫折を味わった経験があるからこそ、理解できた値動きの本質を書いてゆきます。

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