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1ドル104.6円が上値メドに/「ヒラリー圧勝ムード」を過信は禁物=ゆきママ

ドル円は抜けそうで抜けない状況が続いています。概ね1ドル=100~105円という値動きは3か月近く続いているわけですが、上抜けるにせよ下抜けるにせよ、それなりの材料は必要でしょう。(『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』)

※本記事は有料メルマガ『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』2016年10月23日号の抜粋です。毎週いち早くゆきママさんの解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

上値メドは104.50~60円近辺。米大統領選挙の動向に要注意

1.先週のドル円相場総まとめ(1ドル=103.16~104.36円)

先週(10月17日~10月21日)のドル円相場は、1ドル=103.16~104.36円(ゆきママの予測レート:102.50~105.50円)でした。もう少し余地はあるかと上値を警戒していましたが、ドル高主導による上昇は厳しくなったといった印象です。

むしろ、ドル高で支えられている相場ですから、もしドル安材料などが出てきた場合は結構危ないのかなと。今週は週末に米GDPの発表などもありますから、指標の下振れなどには警戒しておきたいところです。

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(10月17日)
東京市場は、1ドル=103.90~104.30円台のレンジ内で大きめな上下を繰り返した。日経平均株価は冴えない値動きだったが、104.00円の節目ラインの底堅さもあってか上値を試す場面もあった。ただし、材料のない中では上値も限定的だった。

海外市場は、1ドル=103.70~104.30円台で右肩下がりの値動き。欧州市場では、東京市場と同じく上値を試す場面もあったが、抜けられないと反落し、高値圏での小動きが続いた。

NY市場では、NYダウがジワジワ押し下げられる展開だった。10月米NY連銀製造業景況指数が予想を大きく下回ったことをはじめ、株安や原油安、米長期金利(10年債利回り)の下落も加わり、軟調な推移となった。また、フィッシャーFRB副議長は利上げに前向きな姿勢を示していたが、ここ最近はタカ派発言が続いていることもあり、具体的な言及がない中ではあまり材料視されなかった。

(18日)
東京市場は、1ドル=103.60~104.10円台で小じっかりとした右肩上がりの展開。序盤こそ押し下げられたものの、日経平均株価の上昇に合わせ、その後はドル円も素直に値を戻して104円台を回復した。

海外市場は、1ドル=103.70~104.10円台のレンジ内での上下。欧州市場では、104円台での重さが意識されたのか、一旦は反落。ただし、欧州株が堅調な推移だったこともあって底堅さは変わらず、再び値を戻すなど方向感の見えない動きが続いた。

NY市場では、序盤に発表された9月米消費者物価指数のコア指数が予想を下回ったことで初動はドル売りとなったが、昨今の原油価格の上昇から消費者物価自体は5か月ぶりの伸びとなったことが評価され、再度反発して高値をつけた。しかしながら、その後は伸びきれず、米長期金利(10年債利回り)の低下とともに押し下げられて取引を終えた。

(19日)
東京市場は、1ドル=103.50~103.90円台で材料待ちといった雰囲気も漂い始めた。日経平均株価がほぼ横ばいの中で、ドル円もモミ合いといった雰囲気。ただし、上値の重さが嫌気されたのか徐々に下を試す動きへ移行し始めた。

海外市場は、1ドル=103.10~103.60円台で軟調な動き。欧州市場では、序盤から下を試す動きが鮮明となった。背景には次回11月の日銀金融政策決定会合で追加緩和が見送られるほか、物価上昇目標達成時期を先送りするといった報道があり、円買いから強まっていた。一目均衡表の雲上限を割り込んだこともあり、下値試しが鮮明に。

NY市場では、原油高に下値を支えられる格好で反発する底堅い動き。翌日のECBを控えてユーロドルでドル買いが優勢となったことも波及していた模様。

(20日)
東京市場は、1ドル=103.30~103.70円台で右肩上がりの値動き。日経平均が大幅高となったことに加え、第3回となる最後のテレビ討論会もヒラリーが無難にこなしたという評価から、トランプリスク後退としてリスクオン(選好)気味に上値を伸ばした。

海外市場は、1ドル=103.50~104.00円台でジワリと上昇。欧州市場では、ECBイベント待ちで序盤はモミ合いが続いた。ECBの発表した政策に関しては、事前の予想通りの現状維持の据え置き判断となっており、特に材料視はされずドラギ待ち。

NY市場では、注目されたドラギECB総裁の定例記者会見でテーパリング観測が完全に否定され、緩和姿勢を堅持したことでユーロ安(ドル高)の流れから、ドル円も上値を伸ばした。104円台を回復する場面もあったが、滞在時間は短めだった。

(21日)
東京市場は、1ドル=103.70~104.10円台で終盤に下落した。序盤から小じっかりとした推移で104円台での動きが続いていたが、14:07ごろに鳥取県中部で震度6弱の大地震という速報が流れると、円買いが進んだ。また、週末も意識されたのか株式市場と共に日本が手仕舞いムードとなったことも影響した。

海外市場は、1ドル=103.50~104.00円台で行って往い。欧州市場では、ECBに対する緩和期待で上昇してきた欧州株が反動からか冴えない動きとなったことで、ドル円もリスクオフ(回避)気味に軟調な推移となった。

NY市場では、序盤は流れを引き継ぐ形で押し下げられて安値をつけたが、NYダウの下げ渋りとともに反発し、104円にタッチする場面もあった。

Next: 2.今週のドル円相場の展望(1ドル=102.50~105.00円)



2.今週のドル円相場の展望(1ドル=102.50~105.00円)

先週はユーロドルが比較的大きな値動きを記録しています。とはいえ、今年はドル円以上に膠着感のあった通貨ペアなので、ある意味では当然といった感もあります。

一方で、ドル円は抜けそうで抜けない状況が続いています。概ね1ドル=100~105円という値動きは3か月近く続いているわけですが、上抜けるにせよ下抜けるにせよ、それなりの材料は必要でしょう。

(ファンダメンタルズ)
予定されているイベントの中では、今週は週末の7~9月期米GDP・速報値が最も注目されるでしょう。速報値ということもありますし、もし予想を大きく下回るようなことがあれば、12月利上げが吹き飛んでもおかしくはありません。

利上げに関しては、どんな結果となったとしても即座に結論が出ることにはならないでしょうが、少なくともかなり弱ければ利上げ後退といった見方から、これまでドル高で主導してきたドル円相場が大きく崩れることになりかねませんので、一定以上の警戒が必要です。

とはいえ、月末ということを考慮(輸入企業の決済が多い)すれば、これら輸入企業を中心とした円売り&ドル買いの動きは期待できそうですから、それなりに下値が支えられそうです。

とりあえず、終盤まではそこそこ底堅い動きが期待できそうですが、週末の米GDPの結果次第では、大きく下落することもあり得るでしょう。

(テクニカル)
純粋にテクニカルのみで見ると、決してドル円は弱い状況ではありません。下値の切り上げ感もあり、上値を試してもおかしくはないでしょう。

107.58円(200日移動平均線)
106.94円(ボリンジャーバンド3σ上限)
105.55円(ボリンジャーバンド2σ上限)
105.00円(心理的節目)
104.63円(今月高値・10月13日)
103.90円(日足の一目均衡表・転換線)
103.51円(日足の一目均衡表・雲上限)
102.75円(21日移動平均線)
102.67円(89日移動平均線)
102.35円(日足の一目均衡表・基準線)
102.21円(日足の一目均衡表・雲下限)
100.00円(心理的節目)
99.96円(ボリンジャーバンド2σ下限)
98.79円(年初来安値・6月24日)
98.57円(ボリンジャーバンド3σ下限)

上値抵抗(レジスタンス)については、104.50~104.60円近辺が日足ベースかつ10月高値といった抵抗がありますから、ここが目先のメドとなるでしょう。この上は105.00円という心理的節目があり、輸出企業の売りが相当あるとされています。

もし、105.00円ラインを明確に抜けて上に放たれるようであれば、107円ぐらいまでは真空地帯となりますので、一段と上に行く動きにも警戒しておく必要に迫られるでしょう。

下値支持(サポート)は、ちょっと難しいですね。一応、103.50円近辺にある一目均衡表・雲下限がそれなりの支持にはなっていますが、頼りなく、何度もブレイクしていることもまた事実です。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

そう考えると、雲抜け移行は一度も割り込んでいない89日線が102.70円近辺にありますから、21日移動平均線も重なるここを割り込んでしまうと、下落リスクが高まることとなります。

ちなみに、21日移動平均線はせり上がっており、今週中盤には103.00円近辺に達することが予想されます。なので、中盤以降は103円台を明確に割り込むことがあれば、テクニカル的には下値リスクの点灯と捉えておいた方が良さそうです。

Next: 3.ますます読めない米大統領選挙(今週のホットイベント解説)



3.ますます読めない米大統領選挙(今週のホットイベント解説)

投票日が11月8日なので、今週というよりは再来週のホットイベントとなりますが、米大統領選挙の動向は注意深く見守っておく必要があるでしょう。日本のメディアはアメリカの大手メディアの受け売りで報じていることもあって、すでにヒラリー圧勝を予想していますが、エコノミストの一部からはトランプが巻き返しているのではないかといった指摘もあります。

アメリカのメディアもヒラリー支持ということで、なかなかヒラリーに関してネガティブな報道はされなくなっていることにより、実際の状況と市場の値動きの乖離を発生させる可能性は十分ですから、仮にヒラリー勝利で相場が進んでいる場合は、要注意でしょう。

加えて、今後は日々報道される支持率に踊らされてはいけないということも覚えておきましょう。これは米大統領選挙の仕組みに由来しますが、メイン州とネブラスカ州を除いた州は勝者総取り方式となっており、その州で勝利を収めれば予め割り当てられた票(選挙人)を全て獲得することができるようになっています。

なので、支持率の比がダイレクトに得票数に結びつくわけではありません。支持率に全く意味がないわけではありませんが、要は多くの票が割り当てられた州の勝ち負けが勝負を決することになりますので、むしろそちらに注目しておく必要があるでしょう。

現状で、ヒラリーは特に選挙人が多く割り当てられた(人口が多い)、いわゆる都会で高め支持率となっていることもあり、それが圧勝予想の根幹となっています。

しかしながら、裏を返せば選挙人の多い州でトランプ支持が高まるようだと、一気にわからなくなってくるということでもありますから、予断を持たずにしっかり見極めるように努めましょう。

ちなみに、逆パターンで考えれば、トランプが支持率で逆転したからといって、単純にトランプ勝利とも言えないわけで、もしそういった際に相場がネガティブに大きく傾くようであれば、投資のチャンスとして捉えるといったこともあり得るかと思いますので、とにかく報道の中身をしっかり検討した上で、戦略を決定していきたいところです。

4.ゆきママのトレード観

基本的にはリスクオン気味の相場が続いているので、強いて言えば流れに逆らわす、ロングを中心にトレード方針を組み立てたいところです。ただし、値動きは小さく、小刻みなトレードを続けるしかなさそうなので、短い時間軸でのトレードが苦手という場合には、様子見で問題ないでしょう。

ワンポイントとして、エントリーのチャンスを十分に待つということでしょうか。値動きが小さいので、高い位置でエントリーすると、含み損を長い時間抱えることにつながりかねませんから、普段以上に引きつけることは意識しておきたいですね。

具体的なレートを含んだトレード戦略については、日々ツイッターで公開していますので、どうぞよろしくお願いします。

※ゆきママのツイッターアカウント


※本記事は有料メルマガ『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』2016年10月23日号の抜粋です。毎週いち早くゆきママさんの解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」』(2016年10月23日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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