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「ヘッジファンドのビットコイン買い」と「日銀のETF買い」大相場の予感=江守哲

ヘッジファンド業界でも真剣に議論されはじめた仮想通貨への投資。現時点での参入は少数派ですが、いずれは投資せざるを得なくなるとの指摘もあります。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年6月26日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

ヘッジファンド業界は現在の仮想通貨市場をどう見ているのか?

「すごい相場」がやってくる

回復基調が伝えられるヘッジファンド業界では、仮想通貨への投資が議論されています。

2017年に入ってから、ビットコインが3倍近い上昇を見せたことで、投資家の注目が集まっていることはご承知の通りです。

一方で、現時点で仮想通貨に投資しているヘッジファンドはごく少数派のようです。

しかし、その少数派がS&P500を上回るリターンを上げたと報じられています。こうなると、苦境に立たされているヘッジファンドが、一発勝負で仮想通貨に手を出す可能性があります。

というのも、仮想通貨を含む通貨インデックスである「HFRI Macro:Currency Index」の過去1年のリターンは、月率3.49%、年率8.22%だったというのです。

へッジファンド全体の5月のリターンは0.46%、過去1年間の平均リターンは3.54%であり、月率1.16%、年率9.61%のS&P500をも下回っています。

このように比較すると、仮想通貨を含む通貨インデックスのパフォーマンスがいかにすごいかがわかります。

しかし、ご存知のように、仮想通貨への投資にはリスクがあります。これがヘッジファンドに二の足を踏ませています。

変動率が高すぎることや、盗難・ハッキングなどセキュリティー面でのリスクが懸念されます。ヘッジファンドは投資家の資金を預かっていますので、投資する際には説明責任も求められます。仮想通貨に対する知識や経験の低さは、投資を難しくします。

しかし、仮想通貨の上昇を考慮すれば、いずれヘッジファンドも投資をせざるを得なくなるとの指摘もあります。そうなると、価格はますます上昇することになりそうです。

したがって、いったんヘッジファンドの投資が始まると、すごい値動きになるかもしれません。

この点を理解しておくと、今後の仮想通貨の動きがある程度想像できるかもしれません。検討する価値はあるかもしれませんね。

Next: 「日銀のETF買い」を否定しないことで見えてくる日本株の未来



「日銀のETF買い」を否定しないことで見えてくる未来

日経平均は先週も2万円を維持しながら、動きに乏しい展開でした。しかし、全く気にする必要はありません。方向性は決まっています。言い過ぎかもしれませんが。

私は全く気にしていません。今日・明日の動きを解説する人たちや、取引させて手数料を稼ぐ人たちは大変ですが、投資家はゆっくりとみていれば良いだけです。

いまは、2万円を固める準備期間です。これが次の大相場につながっていくわけです。

日本経済新聞には、日銀のETF買いに関する記事が掲載されていました。

一部には、この行為が市場をゆがめているとの指摘もあります。私もこの点をかなり指摘してきました。しかし、最近はこのように考えるようになりました。

「この行為を否定せず、肯定すれば違うものが見えてくる」

つまり、日銀の買いが今後も続けば、日本株は下がらないということです。

アナリストの計算によると、日経平均は日銀の買いで2000円ほど押し上げられているといいます。

以前であれば、「株価がゆがめられている」と批判していたことでしょう。しかし、いまは「それは結構なことですね」というスタンスです。

日銀は行けるところまで行く

日銀がこの政策に踏み込んだ以上、株式を売ることはできません。少なくとも、安倍政権が続く以上は売られることはないでしょう。

安倍首相は少なくとも、2020年の東京五輪までは自民党総裁=総理大臣で居続けるつもりです。

いろんな問題が噴出していますが(ここでは特に触れません)、野党のだらしなさもあり、何とか乗り切るのでしょう。

安倍政権と黒田日銀は一心同体です。黒田総裁の任期切れが近づいていますが、このままでは再任される可能性が高そうです。

また、現在の政策の反対派である佐藤委員と木内委員がいずれ退任します。そうなると、ますます反対派が居なくなり、いまの政策が続くことになります。

出口論などは全く語られることもないでしょう。むしろ、これからますます加速するはずです。

東京五輪まで景気を持たせる必要があります。株価も下げさせられません。これまでの政策が否定されてしまいます。

黒田総裁は「インフレ率が2%になるまで、政策を継続する」と言っていますが、実際には株価維持が目的になっている可能性もあります。

その真偽はわかりませんが、少なくとも株価は維持されるでしょう。

日銀は好きなだけ紙幣が発行できます。株式を購入する資金をいくらでも作れるわけです。これは非常に大きいですね。

いまは大型株があまり動いていません。しかし、本当に強い相場になってくると、重かったこれらの銘柄群が上昇し始めるでしょう。

そうすれば、本当の大型相場に発展します。それを演出するのが日銀であり、潤沢な資金といえます。

Next: 「出口なしの大相場」は、2019年半ばまでが勝負だ



2019年半ばまでが勝負

最終的には、株価が上昇し、日銀が望んでいるインフレになるかもしれません。その結果、インフレが暴れ出し、手が付けられなくなるかもしれません。

そうなると、時すでに遅しです。日銀がいくら引き締めをしても、経済や市場は言うことを聞かなくなるでしょう。

そして、最後は株価の暴落で終わります。

そのようになるのには、まだ相当の時間があると思います。2020年の前年、つまり2019年がポイントになりそうです。それまでは、いまの状況が真の意味で加速するでしょう。それも徐々にです。

1989年の日本の資産バブル、1999年の米国のハイテクバブル、2008年の資源バブルと、世界的かつ歴史的な大相場が約10年ごとに到来しているのは興味深い事実です。

大きく収益を上げるには、このような流れに乗ることが重要です。日銀が手を緩める姿勢を見せない以上、行くところまで行くでしょう。

日銀の政策に対する批判は評論家に任せて、投資家はそれをいかに利用するかを考えるようにしましょう。

2019年半ばまでが勝負です。これは米国株でも触れたとおりです。

【日経平均株価:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ18335円~23400円(17年末23020円)/弱気シナリオ14970円~19915円(17年末15620円)

【日経平均株価:6月の想定レンジ】

強気シナリオ20085円~21750円/弱気シナリオ17690円~19245円

【TOPIX:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ1473~1860(17年末1833)/弱気シナリオ1215~1574(17年末1270)

【TOPIX:6月の想定レンジ】

強気シナリオ1626~1750/弱気シナリオ1407~1524

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初月無料購読で今すぐ読める!2017年6月26日号の目次

・マーケット・ヴューポイント~「ハイテクバブル2.0へ」
・株式市場~米国株は本格上昇の前段階、日本株は日経平均が2万円を固める動き
・為替市場~ドル円はレンジ取引継続
・コモディティ市場~金は底堅い動き、原油の安値はどこか?
・今週の「ポジショントーク」~何も変わらず
・ヘッジファンド投資戦略~「投資には二の足?」-投資戦略構築のポイント
・マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件=今回はお休みします
・ベースボール・パーク~「野球はお休み」
・セミナー・メディア出演のお知らせ


本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年6月26日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した米国株式、為替、コモディティ各市場の詳細な分析(約2万文字)もすぐ読めます。

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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

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