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北朝鮮と対峙する日本に必要なのは遺憾の意か?敵基地反撃能力か?=三橋貴明

記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年7月7日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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「断固たる抗議を!」「万全の対応を!」叫ぶばかりな日本の丸腰

中国に北朝鮮問題を解決する気はない

よりにもよって、アメリカの独立記念日にミサイルを発射した北朝鮮。アメリカ政府は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルの種類について、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」だったと初めて確認しました。

北朝鮮が4日に発射した弾道ミサイルについて、米政府は同日、北朝鮮が主張しているとおり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったと確認した。

レックス・ティラーソン国務長官は、米国や世界に対する「脅威がさらに深刻化した」とし、米国は「核武装した北朝鮮を絶対に容認しない」と述べた。

出典:米政府、北朝鮮のICBM発射実験を確認 – BBC(2017年7月5日配信)

金正恩は、アメリカの独立記念日に合わせて発射したことについて、「アメリカはわれわれからの贈り物を不快に思うだろうが、今後も大小の贈り物を頻繁に贈ろう」と述べたとのことです。

ロシアを訪問中だった習近平国家主席は、プーチン大統領との会談後に共同声明を発表。北朝鮮のミサイル実験を「受け入れられない」と批判しつつ、アメリカと韓国の共同軍事演習の凍結、さらには「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備中止を要求しました。

中国は北朝鮮のミサイル危機を自国の外交ツールに使うのみで、解決する気など全くありません。まあ、最初からわかっていたことではありますが。

トランプ大統領の「他人事ツイート」が意味するもの

気になるのが、アメリカのトランプ大統領のツイッター

Hard to believe that South Korea…..and Japan will put up with this much longer. Perhaps China will put a heavy move on North Korea and end this nonsense once and for all!

韓国や日本がこの状況を我慢し続けるとは信じ難い。おそらく中国は北朝鮮に対して厳しい姿勢をとり、このばかげた行為を今回限りで終わらせるはずだ!(訳:ハフィントンポスト)

中国が北朝鮮のミサイル実験(あるいは核実験)を「今回限り」で終わらせるなどということはあり得ません。また、日本は「我慢」できなかったとしても、打てる手は現時点では何もありません。総理が、「断固たる抗議を!」「万全の対応を!」と繰り返すのみです。

トランプ大統領の、何というか「他人事」のようなツイートは、東アジアが新たなフェーズに入ったことをまざまざと感じさせます。アメリカは北朝鮮問題について、主導権を手放そうとしているように見えるのです。

このままでは、日本は完全無防備の状況で、各国のエゴがぶつかり合う「東アジアの戦場」に放り出されることになります。

Next: 軍備増強ができない日本は生き残れるのか?



軍備増強ができない日本

先日も書きましたが、自民党は今年の3月に「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム(座長・小野寺五典元防衛大臣)」を発足させました。検討チームはすでに「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」を政府に提出し、「我が国独自の敵基地反撃能力の保有」の実現のための予算措置などを求めています。

とはいえ、現在の自衛隊は敵基地への反撃が可能な装備体系にはなっていません。敵基地攻撃を実施するためには、敵基地の位置情報の把握、レーダーサイトの無力化、そして精密誘導ミサイルによる攻撃能力などが必要になりますが、自衛隊は保有していないのです。

自衛隊が敵基地反撃能力を保有するためには、兆円単位の追加的な予算と、時間を必要とします。

無論、日本国が核武装しないというのであれば、北朝鮮という現実の脅威がある以上、敵基地反撃能力の保有は当然です。

とはいえ、日本には敵基地反撃能力の保有について、例により「お花畑左翼」の方々が、猛烈な反対運動を繰り広げるでしょう。

さらに、PB黒字化目標に縛られた日本政府は、果たして敵基地反撃能力の保有に十分な予算を投じることができるのか。「PB黒字化目標があるため、日本は対北朝鮮の軍備増強ができない」などというオチになる可能性がゼロでない時点で、我が国は狂っています。

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三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年7月7日号より

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