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クレカ支払い滞納で「ブラックリスト」に載るとどんな不都合があるのか?=岩田昭男

延滞などでクレジットカード会社からの信用を失うと、銀行ローンの審査にも影響します。今回はクレジットカードの基礎と「信用情報機関」の仕組みを解説します。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

※本記事は、『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2017年7月15日号の抜粋・再構成です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
岩田昭男の上級カード道場:http://iwataworks.jp/archives/12912

延滞したら必ず正しい対処を!自分自身の「信用」を失わない方法

携帯キャリア参入でクレジットカード信用情報の現場がパニックに

最近、「延滞って何?」「信用情報とは?」「クレジットスコアについて」といった記事がブログでよく読まれていると聞きます。その理由は何でしょうか。

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私はキャリア(携帯電話会社)の参入にその理由があると思っています。数年前に携帯電話会社の契約方法が変わり、毎月の携帯料金の支払いの中に本体の割賦代も含まれるようになりました。その結果、携帯電話料金は、割賦販売法の規制対象(金融マター)になったのです。

そのため、これまで携帯料金を滞納していても何の問題もなかった人たちが、突然、1~2回「延滞」しただけで督促を受けるということが起こりました。また、3カ月ほど放っておいたら、ブラックリストに載せられて青ざめるといった事例も増えています。

携帯料金の「延滞」がいつの間にか、クレジットカードの「延滞」と同じ厳しい扱いを受けるようになっているのです。こうした変化に気づいた若者たちが、改めてクレジットカードの仕組みを知ろうと「延滞」や「信用情報」に関する記事に注目しだしたのではないかと思います。

そこで今回は、「クレジットカード」と「信用情報機関」という2つのキーワードで、クレジットカードの基礎を紹介したいと思います。

クレジットカードの支払い遅れは厳禁

最近はクレジットカードを気軽に利用する人も増えてきましたが、その行為の実態は「借金をしている」ということです。

したがって、クレジットカードの引き落とし日に残高不足になり、そのままにしておくと、カードの利用を停止されたり、カードの資格を剥奪されたりします。

さらには、「遅延」「未入金」として、信用情報機関に登録されてしまいます。信用力を落とさないためにも、支払いに関するポイントを押さえておきましょう。

「突然カードが使えなくなった」その理由は延滞

カード利用が停止になるのは「延滞の回数」ではなく「引き落としの確認が取れない」ことが影響しています。支払い日を過ぎても引き落としの確認が取れなければ、そのカードは即時に利用停止となります。

その仕組みはこうです。延滞すると、口座のある銀行から、「引き落としができなかったカードのリスト」がカード会社に送られてきます。その間、2~4営業日かかりますが、知らせを受けたカード会社はすぐに利用者のカードを停止します。停止状態は、入金が確認されるまで続きます。

入金さえすれば、カードは再び使えるようになり、取り引きは再開されます。ただし、「延滞」を繰り返している場合は、カード会社の再審査が入って、利用停止の期間が延びるか、悪くすると、カードの強制解約に進むケースもあります。

強制解約とは、カード会社が一方的にカード会員資格を解除することです。こうなると、そのカードはもう利用することができず、リボルビングやローンの残債は一括返済を求められます。

なお、引き落としができなかった場合、カード会社は、信用情報機関に「遅延」「未入金」の入金情報を登録します。最短で支払日の4~5日後から登録はできますが、20~30日の延滞でも、カード会社内部の記録に留め、信用情報機関に登録しないところもあります。

カード会社によって登録のタイミングはまちまちですが、信用情報機関に登録されると、その情報は2年間にわたって残り、その人の信用を毀損し続けますから注意してください。

Next: 督促を無視していると、いよいよブラックリスト入りへ



それでも払わないでいると、いよいよブラックリスト入りへ

滞納がはっきりすると、カード会社からは支払いの督促状が届きます。また、督促の電話もかかってくるようになります。これは勤務先や家族に迷惑がかかるので、会員のプレッシャーになります。

しかし、それでも経済的困窮を理由に入金しないでいると、さらに泥沼にはまります。

返済の見込みがないとわかると、カード会社はそのカードを強制解約して、ハサミをいれて返却するように言ってきます。また、残金の一括返済の督促もきます。ローンやリボルビング残高が大きすぎて一括での支払いが無理とわかれば、分割で払うように言われます。

それでも支払いができない場合は、「給料」「車」「自宅」などの財産を差し押さえられてしまいます。

さらに、引き落とし日から61日以上または3ヶ月以上返済が滞っている場合には、ブラックリストに載ります。とはいっても、実はブラックリストというものは存在しません。カード会社は、信用情報機関に長期延滞を意味する「異動情報」を登録して、ネガティブ情報(事故扱い)にします。こうなると、完済から5年間はクレジットカードを作れません。オートローンや住宅ローンを組んだりもできなくなります

当然、経済的状況も悪化しますので、債務整理や自己破産という選択肢も考えねばならなくなります。将来への不安はさらに大きくなります。

再引き落としや振り込みを活用して自らの信用を守る

こうした破局を迎える前に、「延滞」に気づいたら、一刻も早くカード会社のコールセンターに連絡して相談してください。その際に延滞の理由をしっかり伝えることです。

不注意からの「うっかり延滞」なのか、今後も滞納する可能性のある「重度の延滞」なのか、自分のケースを詳しく伝えておくと後で役立ちます(カード会社が将来、何らかの便宜を図ってくれる可能性もあります)。

カード会社によっては、再引き落としをしてくれるところもあります。ドコモの「dカード」の場合、引き落とし日は毎月10日ですが、三大メガバンクなどの大手銀行の口座を利用しているなら、月末まで毎日(20日間)再引き落としをしてくれます(信用情報への「遅延」の登録はありません)。1度遅れても、同じ口座に入金をしておけば翌日には引き落としてくれるので安心です。

また、地方や中小の金融機関(ゆうちょも含む)の口座を使っていたり、10日以上の延滞の場合には、再引き落としでの救済範囲は限られます。その場合には、指定口座に振り込むやり方で対処しましょう。自分の使っているカードがどういう対応をしているのか、知っておくことが大切です。

Next: カード会社、銀行、消費者金融が信用情報を共有している



カード会社、銀行、消費者金融が信用情報を共有している

カード会社は、会員の信用情報の収集について、2段構えで対応しています。1つは、社内のデータベース・インフラ。もう1つは、外部の信用情報機関のネットワーク(主にCIC)です。

カード会社は、各会員のカード利用状況をデータベースに記録して、毎月それを最新のものに更新しています。この情報を元に、毎月の利用代金を会員に請求しており、これがカード会社の収益を支える柱になっています。

このデータベースがあるおかげで、会員の誰かがゴールドカードへのアップグレードを希望したとしても、社内にストックしたカード(個人)情報やクレジットヒストリーをチェックするだけで審査ができるため、希望通りに素早く発行することができます。

しかし、仮にその人が、すでに銀行カードローンで焦げつきがあるうえに、他社のクレジットカードを複数枚もっていて浪費しているといった場合は、自社のデータベースだけを見ていてはわかりません。

その結果、ゴールドカードを発行したものの、すぐに限度額を超える利用がなされ、返済が滞って、大きな被害を被るといったことになります。

このリスクをなくすために、2009年にバラバラだった信用情報を1本化することになり、信用情報機関がリニューアルされました。そして、クレジットカードは「CIC」、ローンや消費者金融は「JIIC」、住宅ローンや銀行関連は「全国銀行個人信用情報センター」という3つの機関に集約され、それぞれの機関が情報を共有するようになりました。

CICにはクレジットカードだけでなく、消費者金融、ローンなどの借入れ状況(カード枚数、リボルビング・ローン借入れ額など)、返済状況(毎月の返済額、遅延・延滞など)、事故情報(ブラックリスト、自己破産、債務整理など)も集まるようになり、個人の信用情報がすべて明らかになりました。

ですから、いまは、前述のようなゴールドカードへのアップデート希望があっても、自社のデータベースを参照するだけでなく、信用情報機関(CIC)に問い合わせをして、銀行カードローンの異常な利用や他社クレジットカードの使いすぎなどがわかるようになっています。

Next: 悪い情報は24カ月たたないと消えない



悪い情報は24カ月たたないと消えない

CICの業務の中心になっているのは、毎月更新される入金情報です。カード会社は毎月の会員の返済状況を信用情報機関に登録する義務があります。引き落とし日にきちんと返済されたら「$」。入金確認ができなければ――
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達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』(2017年7月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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世の中すっかりカード社会になりましたが、知っているようで知らないのがクレジットカードの世界。とくにゴールドカードやプラチナカードなどの情報はベールに包まれたままですから、なかなかリーチできません。また、最近は電子マネーや共通ポイントも勢いがあり、それらが複雑に絡み合いますから、こちらの知識も必要になってきました。私は30年にわたってクレジットカードの動向をウォッチしてきました。その体験と知識を総動員して、このメルマガで読者の疑問、質問に答えていこうと思います。ポイントの三重取り、プラチナカード入会の近道、いま一番旬のカードを教えて、などカードに関する疑問にできるだけお答えします。

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