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【11月米雇用統計】トランプ相場の流れに変化は?想定レンジ112~115.5円=ゆきママ

まさかのトランプ勝利後、ドル円相場は一体どこまで進むのかというぐらい、日々、容赦無く円安ドル高の流れが続いています。果たして、今日の雇用統計で一体どうなるのか? 雇用統計の結果とともに考えていきますので、よろしくお願いします。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

初動はストップロス狙いの一段高も?安易なショートは危険

利上げがほぼ確定し相場への影響力は限定的?

まず、今回の結果に関わらず、12月14日のFOMC(連邦準備制度理事会)で利上げが決定される可能性は極めて高いと言えるでしょう。理由としては、イエレンFRB議長を始めフィッシャー副議長や各連銀総裁が利上げに前向きな姿勢を示して地ならしをしていることや、さらにFedウォッチ(金融先物市場が織り込む利上げ確率)は94.9%となっていることが挙げられます。

12月の利上げは94.9%とほぼ完全に織り込まれています。


また、今回の予想値を含めて雇用統計における6回分の非農業部門雇用者数は、以下のようになっています。トレンド的には、よほど弱い数字が出たとしても利上げすることが可能と言えるでしょう。

非農業部門雇用者数の推移。単位は万人、11月は予想値。

イエレン議長は、毎月+10万人弱の雇用ペースを確保できれば、労働市場への新規参入者を吸収できると明言しています。仮に今回(11月分)の雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが全くなかったとしても、マイナス圏にでも陥らない限りは、前回(10月分)と前々回分(9月分)を合わせれば3ヶ月平均で+10万人は越えることになりますからね。6ヶ月平均なら言わずもがなです。

利上げがあると目されていた今年6月のFOMCでは、直前に発表された5月分の雇用統計で非農業部門雇用者数が+3.8万人という衝撃的な弱さを記録したことで利上げが見送られました。そのため、今回も一桁台といった数字に終わると市場の見通しに若干の変化が出る可能性は否定できませんが、トランプ勝利後のインフレ期待の過熱ぶりなども考慮すれば、利上げを見送るといった選択肢はほぼあり得ないでしょう。

したがって、もはや今回の雇用統計が12月の利上げに与える影響というのはほとんどなさそうで、単純に米国の景況感を確認するための指標といった位置付けになりそうですから、普段よりも相場を動かす力が限定的かもしれないという点に留意しておく必要がありそうです。

Next: 先行指標は良好、戦略は買いだが週末の手仕舞いに気をつけたい



先行指標は良好で期待感はそれなりにありそう

それでは、先行指標事前予想値注意すべきポイントなどについて解説していきましょう。

まずは先行指標からとなります。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)。

ISM非製造業部門については、11月分はまだ発表されていません。ISM製造業部門の雇用指数についてはやや弱含んではいますが、特に問題のある数字ではありません。ADP雇用報告もしっかりと伸ばしていますので、トータルで見れば問題ないでしょう。

そして、事前予想値については、非農業部門雇用者数が+18.0万人、失業率が4.9%、賃金上昇率が前月比で+0.2%と、比較的強めな数字が並んでいます。

特に雇用者数については、ハリケーンが10月の雇用を抑えた面があるため、今回(11月分)は反動が見込めるといった話や、年末商戦へ向けた季節要因からの単純な雇用増を指摘する声が多いため、この予想値よりも期待感としてはもう少し高い数字を見ているかもしれません。

なので、これまでより本質的に影響度はやや下がっている雇用統計ではありますが、相場とともに期待感先行気味に推移している分、弱い数字には反応しやすい可能性がありますので注意しておきましょう。

想定レートは1ドル=112.00~115.50円!戦略は買いからですが…

今回の雇用統計は極端な数字でもなければ、何かが変わるといったイベントではないため、本来であればそれほど動いてこないと考えるのが妥当でしょう。ただ、ここまで大相場になってしまうと、調整下落も含めてそれなりの値動きというのは想定しておく必要がありそうです。

そこで、本校執筆時点(2日午前11:30時点)で1ドル=113.65円というレートから、今回の雇用統計のレートは1ドル=112.00~115.50円を想定しています。

この上昇トレンドにあって下方向への意識もあえて強めなのは、先ほど書いたように市場の期待感がそこそこ高いこと、また、この上昇トレンドが始まって以降、週末は比較的利益確定の動きが出やすくなっていることがあります。上昇幅を考えれば、この程度の調整はいつあってもおかしくありません。

トランプ大統領誕生後のドル円は週末に調整の動きが発生しやすい。

雇用者数、賃金上昇率ともに予想を大きく上回る数字、つまり非農業部門雇用者数+20万人以上・賃金上昇率+0.3%以上といった数字が出れば、来年の利上げを見越してといった話になりがちです。ですが結局のところ、それはFRBがどうするかという話で、再来週のFOMCにおいてのイエレン議長の発言などを聞かなければはっきりしませんからね。そういったこともあって、上値余地というのはやや少なめに見ています。

そして、トレード戦略としては、発表直前の水準にもよりますが、114円未満ならロング(買い)を狙っても良いかもしれません。先行指標や季節要因といった面からも、下振れよりも上振れの可能性が高そうですからね。個人的に初動は上方向を期待しています。

また、一気に115.00円ラインという数字に迫った場合は、ここ最近の投機筋の仕掛け的な動きを考えると、ストップロスを狙ってブレイクし一段高というパターンはあり得そうなので、初動で接近できれば115.50円ぐらいまでは見ていても良いかもしれません。

しかしながら、繰り返しになりますが、急な上昇相場で2週続けて週末はそれなりの調整下落が出ていること、さらに今週末にはイタリアで国民投票が予定されており、結果によってはEU全体の政情不安ということになりかねないことから、ポジション調整する向きは強そうなので、初動の動きが終わったら手仕舞いすることは考えておきましょう

大体こんなところでしょうか。トレンドがトレンドだけに、どうしても買いから入るしかないので戦略は限られていますが、とにかく安易に逆張りショート(売り)は避けた方が勝てる可能性が高いと思いますので、特に初心者の方はトレンドフォローという基本に忠実なトレードを心がけていただければと思います。

それでは、今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年12月2日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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